身体測定
前回と同様にほのぼのとしています。
「弐劉~!朝よ~!」
『んぅ~…zzz』
「早く起きないと遅刻するわよ?」
『ねむ、い…』
「眠いのは仕方ないけど、朝ご飯食べられなくなるわよ?」
『ん…』
モソモソと起き上がる。寒いし眠いけど、朝ご飯が食べれなくなるのは嫌だ。
「ほら、いっちにいっちに」
寝ぼける俺の手を握りながら誘導してくれてる。
「もうすぐよ~」
『…んぅ…zzz』
「ほら、起きて」
朝は苦手…。
「はい、到着~」
『あり、が、と…』
「いいえ~」
今日は普通に白ご飯に魚、それとお味噌汁。
『いた、だき、ま、す』
手を合わせ、箸でご飯を食べる。ご飯がホクホクしてて、美味しい。
『お姉、ちゃ、ん、海苔、ちょう、だ、い』
「はい」
袋に入れられた海苔を受け取り、ご飯の上にのせて巻いて食べる。端っこからこぼれちゃうけど、この食べ方美味しいよ。
「ごちそうさま」
今日は龍牙が一番早かった。あれ…?龍は…?
『お、母、さん、龍、は…?』
「龍は先に行ったわよ。日直だから先に行くって」
『そっ、か…』
日直っての小学校の時したけど、大変だったのを覚えてる。朝が弱い俺にとっては苦痛でしかなかったから。
「今日は入試説明会だったよね」
『う…っ!』
説明会嫌だぁ…。あれって長いし、お尻が痛くなる。それに眠くもなる。
「寝ちゃだめよ?」
『ん…努力、する…』
ご飯を食べ終わって歯磨きをした後、制服に着替える。
「行って参ります」
『行って、来、ます…』
今日は龍が作ってくれたお弁当を持って、学校に向かう。
「弐劉、おはよ~」
『ん…おは、よ』
「今日身体測定あるんだぜ」
『…身長、伸びた、かな…?』
「弐劉は伸びただろ」
『…分か、ん、ない…』
どれくらい伸びたか気になるな…。
「お前昨日何してた?」
『サバゲ―、行って、た、よ』
「マジか、休日満喫してたんだなー。俺は勉強に追われてた」
『お、疲れ、様』
「お~う…」
教室に着いて自分の席に鞄を置き、座る。椅子が冷たい。
「サバゲ―どうだった?」
『いつ、もと、同じ、で、楽し、か、った、よ』
「俺も行きてぇ~!」
『紹介、し、よう、か…?』
「いいのか?」
『ん』
紹介するのは別に構わないからね。ルールを破らなければ。
『行く、なら、動き、やす、い、服だと、いい、よ。後、ゴーグル、とか、』
「貸出とかはないのか?」
『エアガン、の、貸出、は、ある、けど、ゴーグル、とか、は、ない、よ』
「マジか」
「そろそろ朝礼始まるよ~」
時計を見ると、始まる15分前だった。
「!行こうぜ」
『ん』
席を立ち、体育館に向かう。
『寒、い…』
体育館の中は冷え切ってて、学ランの袖から下に来てる服の袖を引っ張り出して手を完全に入れる。男だけど萌え袖状態。
『う~…』
並ぶ順番は背の高い順。名前順だと目の前が高い人だった場合、見えないからね。
「弐劉君寒そうだね~」
『ん…マフラー、欲し、い』
「私も欲しいわ~」
『お互い、だね』
「そうね~」
隣に並んでいる女子も寒そうにしている。男子は長ズボンだからまだ大丈夫だけど、女子はスカートだから、更に寒そう。
「静粛に」
『(始まった…)』
それからの記憶はない。たぶん寝てたと思う。隣の女子に起こされたからね。
『ふあ…』
「弐劉君寝てたね?」
『ん…。眠た、かっ、た』
「微動だにしてなかったから、顔覗くまで分からなかったよ」
『動、か、ない、自信、は、ある、よ』
スナイパーは耐久が命だからね。
「どこでそれ得たの?」
『ん~、と、サバ、イ、バル、ゲー、ム、かな』
「サバイバルゲームってすごく動くイメージがあるけど…?」
『動く、時、は、動く、よ』
「へぇ~!サバイバルゲームって女子もいる?」
すごく聞いてくるけど、興味あるのかな……?
『同年、代、は、見かけ、ない、けど、大人、の、女性、は、いる、よ』
「へぇ~」
『実際、見たら、分かる、かも』
「いつかね」
『ん』
会話しながら教室へと向かい、自分の席に着いた。席は相変わらず冷たい。
それから先生が来て、ショートルームを始めた。毎日似たようなことだから聞いてないけど。
今日は一時間授業を受けて、身体測定だけだから比較的楽かな。
一時間目は、古文。古文だったら竜之介の兄貴が得意。話し方も少し難しくて、俺が首を傾げてしまうことがほとんどな程。仕方ないと思ってるよ。あの話し方の方が話しやすいみたいだから。
『…ふぁ…』
後ろにいると寝ていてもあまりばれない。ばれる人はばれるけどね。ここでも気配を消すのが役立った。
『…?』
外に誰かいる…?体育の時間なら団体でいるはず……。ってことは…。
『嫌、だな…』
本当に小さい声で呟く。地獄耳じゃなきゃ聞こえないくらい。
あ、こっち見た。しかも向かってきてるし。
「ミタナァ」
『……』
窓すり抜けて来たし…。無視を決め込もう。
「ミエテルンダロウ?」
『……』
聞こえないと言わんばかりに、顔を伏せた。あまりにもうるさかったら聞かせればいいし。
「ヘンジシロォ」
『……』
うるさいな。
「ギャア!」
前と同じくお経を聞かせたらどっか行った。ふぅ。
『…ぁふ…』
ようやく静かになったし寝よ。それから鐘が鳴るまで寝た。
授業が終わり、ジャージに着替える。今の時代のジャージってカッコいいね。あれ?あの時代の時って、ジャージあったかな?なかったかも。俺、学校とか行ってなかったから分からない。
ジャージのチャックは一番上まで上げる。だって首元寒いんだもん。
身体検査で使う紙を貰って、順番ずつ回る。最初は身長。
「弐劉~!一緒に行こうぜ~!」
『ん』
友人と身長測定に向かう。
「弐劉身長デカいよなぁ~」
『そう…?』
「おう。最初会った時は俺と同じくらいだったのに」
『?あ、まり、分か、ら、ない』
「無頓着そうだしな~お前」
『そう、かも』
身長測定する場所に行き、並ぶ。長蛇の列になってるけど、すぐ順番は来るだろう。
それからしばらくして、順番が来た。
『お、願い、しま、す』
紙を渡して、測定器の上に乗る。
「はい、終わり」
『あり、が、とう、ござ、い、ます』
紙を受け取って確認する。身長が1cm伸びて170cmになってた。やった。
「お~デカいな~!俺169cmだぜ~」
『1㎝、違い…?』
「みたいだな~。羨ましいぞ~」
『そう…?』
「ああ」
身長の話で盛り上がりながら、次は体重。
「はい、終わりだよ」
『ん』
受け取って見ると、体重が少し増えていた。
「!お前、軽すぎじゃね?」
『これ、軽い、の…?』
俺の体重は56kg。軽いのかな?
「俺、59kgだぜ?」
『そう、考え、る、と、軽い、かも…』
「なに?動きやすくするため?」
『かも、しれ、ない』
それから視力、聴覚をしていった。視力は右目が2.0。左目は見えないから図ってないけどね。聴覚はちょっと低かった。たぶん、サバゲ―とかでエアガンを使ったりしてたからいかれちゃったのかも。全く聞こえないって程じゃないけど。
それで今日はお昼を食べ終わったら終わり。
「弐劉~」
『!!』
お姉ちゃんが向こうから来る!
「お昼終わったら、私の教室来て?2組にいるから」
『ん、分か、った』
何か用なのかな?悪い事してないから思い当たる節が無い。
「今のって弐劉の姉ちゃんか?」
『ん』
「めっちゃ綺麗じゃん!」
『ん。自慢、の、お姉、ちゃん』
「羨ましいぞ~」
肘でこのこのっとつついて来る。くすぐったいよ…。
「彼氏とかいるのかな?」
『さぁ?聞いた、こと、ない、よ』
「聞いてないのか?」
『ん』
「狙ってる男子は一杯いそうだなぁ」
そういう友人の目は、お姉ちゃんを追っている。
『お姉、ちゃん、を、彼女に、したい、なら、俺が、まず、どんな、男、か、見る、よ』
「手厳しいなぁ」
『ん。それ、から、兄貴、と、弟達、にも』
「弐劉ってシスコンか?」
『シス、コン…?』
シスコンってあれだよな?兄が妹のことを好きな対象として見るってやつだよね?
『違う、よ?ただ、お姉、ちゃん、が、大事、な、だけ』
「本当か?」
『ん。本当』
優しいお姉ちゃんが大事なだけ。姉弟と愛情はあるけど、恋愛対象としては見たことがない。あれと似てる。親が子を大事に想うのと一緒。
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