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俺の日常

まだまだ未熟でおかしな点もあると思います。

間違いなどを見つけた際は、コメントしてくださると助かります!

『どうも皆さんこんにちは。初めましての方は初めまして。いつも見てくださっている方はありがとうございます』


これが俺・弐劉ことSaMの挨拶。だけど、声は出さない実況者。出さないって言うより、出すのが面倒なんだ。けど、説明はしない。説明するのが面倒だからね。


『龍…これ…』


 隣にいるのは弟の龍。五人兄弟いる中の三男。


『龍、早、く…!』

「わかったからちょっと待って兄ちゃん」


 自分の言葉がたどたどしいのは昔から。


『これ、どう、いう、意味…?』

「えっと…pass the dark……暗いところを通れって書いてあるよ」

『ん』


 今俺がやっているのは脱出ゲーム。巷で言われてた難解のゲームらしい。他の実況者もやっていたみたいだけど、今のところ俺はさくさく進んでる。

 ネタバレは見ていないよ?決して。


『ん…ゴール、出来た…!』

「おっ!おめでとう」

『ん!』


 最後まで止まらずに出来て嬉しい…!


「兄ちゃん…もう動画出すの?」

『少し、編集、する』

「そっか。夜ご飯の時また呼ぶからね」

『ん…わかっ、た』


 パソコンを起動させて、編集を始める。知っている人は知っていると思うけど、編集は大変だよ。早く終わるときは1時間で終わるけど、長いと5時間もかかるんだ。それでも止めないのは楽しいから。


『(ここは、面白くない…)』


 カットしたり文字を入れたりするのが好き。でも一番はサバイバルゲームをしている時。昔のことを思い出すから。昔ってのはね、第一次世界大戦の事。昔は薬莢が落ちる音、爆撃の音。それが自分にとって安らげる音だった。他の皆にこんなこと言えばおかしいって思われるのは知ってる。でも、仕方ないんだ。それが生きがいだったから。その音を聞くために依頼で人も殺した。今はそんなことしたら捕まっちゃうからしていないよ。その代わりにサバイバルゲームをしてる。


『(出来た…!)』


 やっと編集が終わってこれから投稿する。龍に手伝ってもらってから二時間かかったのかな…?


「弐劉の兄ちゃん―!ご飯出来たよー!」


 投稿準備をし終わり、呼ばれたから下に向かう。ご飯食べてる間に投稿されるかな?早く終われるかは内容次第だけどね。


『お、母、さん』

「ん?」

『今日、の、夜ご飯、カレー…?』

「そうよ~」

『ん…!楽し、み…!』


 お母さんが作るカレーが一番好き。もちろんどれも好きだよ?でも一番はカレー。これは譲れないんだ。生前は盗んで食べたりしてたから、まともな食事をしたことなかったし。

なにより、家族と一緒に食べるのが好き。


「いつに増しても嬉しそうでござるな、弐劉」

『ん…!カレー、一番、好き』

「左様か」


 武士口調の男は俺たちの一番上の兄貴。長兄ってやつかな?ちなみに兄貴も元徒士の生まれ変わり。もちろん記憶もある。だから、兄貴は剣を扱うスポーツが得意なんだ。剣道とか居合。他にもあったけど忘れちゃった。


「如何した?」

『う、うん…何、でも、ない』

「左様か」


 そろそろ手伝いしなきゃ。働かざる者食うべからずだからね。


「「「「いただきます」」」」

『いた、だき、ま、す』


 うん、美味しい。お母さんが作るカレーは、甘辛と中辛を混ぜたやつ。竜之介の兄貴が辛いの苦手だからね。俺は辛いのは大好き。


「なぁ弐劉の兄ぃ。あれクリアしたのか?」

『ん。龍に、手伝って、もらっ、た』

「へぇ~」


 今のは三男の慶。龍と慶は二卵性の双子なんだよ。よく慶とFPSで遊ぶ。経験者からみても慶はそれなりに上手いと思う。


「なぁ、ご飯たべ終わったらしていいか?」

『ん、いい、よ』

「よっしゃ」


 俺だけがゲーム機を持ってるから、たまに借りたりしてる。勝手に借りる時もあるけどね。でも許すよ?家族を大事にしてるし、家族間で不仲になりたくないからね。

 もちろん他人が勝手に使ったら怒るけど。


『?』

「どうしたの?」

『龍牙、は…?』

「外走ってるわ」

『10、km…?』

「そうね。それくらい走らないと気が済まないみたい」


 龍牙っていうのは俺たちの末っ子。龍と同じくらい冷静で静かな弟なんだ。でも静か過ぎて【凍ってる男】って言われているらしい。本人に聞いてみたら、「……その言い方は間違ってない」って言ってた。本当に静かで、気配を消すのがすごく上手いんだ。俺も気配を隠すのは得意だけど。

前、兄弟全員でかくれんぼした時があって、気配を消して隠れていたのに見つかっちゃったんだ。その時「なんでわかったの?」って聞いたら、「……ごくわずかだけど、気配でここにいるなって分かった」って言ってた。すごいよね。普通なら気付かない気配に気づいたんだよ?


ガチャ


『帰って、きた』

「おかえり。夜ご飯出来てるわよ」

「……ただいま。今日はカレーか。手、洗ってくる」


パッと見て、手を洗いに行った。あの一瞬で見分けたみたい。


「ごっそさん」


相変わらず慶は食べ終わるのが早い。俺は一番遅いんだ。今度で15になるけど、いまだにまともにスプーンが持てないんだ。何とか人並みに出来るようになったけど、まだ難しい…。


「弐劉の兄ぃ、借りるよ」

『ん』


勝手に借りてもいいって言ってるけど、やっぱり確認する。


「ご馳走様でござる」

「ごちそうさまでした」


竜之介の兄貴と龍が食べ終わった。龍と竜之介の兄貴はよく出来てると思う。自主的にお母さんの手伝いをよくするから。二人とも料理が上手いんだ。竜之介の兄貴は和食。龍は洋食とデザートを作るのが得意って言ってた。俺?俺は手伝ってないよ?モデルガンの扱いと編集以外はまったくダメ。手伝おうとしても、逆に迷惑かけちゃうからしてない。


「……いただきます」


龍牙が隣に来て座った。左手にスプーンを持って食べ始めてる。あのね、俺たちって不思議でね。長女の凛姉とお母さんとお父さん以外、全員左利きなんだ。俺と竜之介の兄貴については知ってるよ。生まれ変わる前も左利きだったから。龍と慶、龍牙についてはよく知らない…。本人達に聞いてもたぶん分からないって言うと思う。そろそろお腹いっぱいになってきた…。


『ごち、そう、さ、ま』

「弐劉の兄ちゃん、食器持ってきて」

『ん』


食べ終わった食器とスプーンを持っていく。


「ありがと」


龍に渡したし、そろそろ動画アップロードされてるかな…?見に行こう。部屋に入ったら、慶がCoDしてた。

椅子に座ってパソコンを確認すると、すでに動画は上がってた。


『ん…上がって、る』

「何を上げたんだ?」

『難解、ゲー、ム』

「ああ、あれか」

『ん』

「反応あったか?」

『えっと、ね』


パソコンを確認すると、コメントが来ていた。


『反応、あった、よ』

「なんて?」

『長い、から、見て』

「ちょっと待ってくれ」


ゲームを止め、パソコンに近づいてきた慶。


「なになに?

“これ難しいゲームなのによく解けましたね!すごいです!”

“すげー!!”

“うぽつ!”

“どうせカットとかしてるんだろ?”

“こんなの簡単じゃん”

“タヒね”か。ハッ!言われ放題だな」


評価が割れるのは仕方ないし、気にしてないよ。実況とかしてると、こんな意見普通に来るからね。相手がなんて言おうが、結局はネットの中だから実際に言われるよりかは平気。

それよりも


『こいつ、は、一度、恐怖、を、味わった、方が、いい、と、思う』

「ああ…“タヒね”か」

『ん!死の、恐怖、本当に、知ら、ない…!』


前言った通り、俺は人を殺してた。命を狙われる怖さ、人の命を奪う重さを十分っていうほど知ってる。だから、気軽に言っていい言葉じゃない。でもね、ネットから人物を特定するのって難しいの。クラッカーでもない限り。

だから――


「アカウント、バンさせるか?」

『ん~…。いつも、の、様に、無視、する』

「おk」


俺の答えを聞き、またゲームを再開した。何気に登録者の所を見たら15万人超えていた!


『!慶!』

「!?なんだよ…!びっくりしたじゃねぇか…!」

『登録、者、が、15万人、超えた…!』

「!!マジかよ!やったな!弐劉兄ぃ!」

『ん!!』


嬉しいな…!目標としてた数字だから…!


「な、何事ぞ!」

「何があったの…?」


声を聞きつけた竜之介の兄貴と龍が入ってきた。


「弐劉の兄貴のYoutubeの登録者が15万人超えたんだってよ」

「真か!」

「おめでとう、弐劉の兄ちゃん」

『ん!』


本当嬉しい…!これだから辞められないんだ。


「……はしゃぐのはいいけど、声もうちょっと抑えたほうがいいよ。夜だから声が周りに響くし」


鞄を持った龍牙が竜之介の兄貴の後ろにいた。


「!す、済まぬ」

「……とりあえず、おめでと。弐劉兄」

『あり、が、と』

「だれかお風呂入って来て~」

「……僕、先入るから」


鞄を自分の部屋に持って行った後、お風呂に向かった。


「とりあえず落ち着こうか」

「そうでござるな」


皆して深呼吸する。周りから見ればおかしな光景だね。


「そういえば、宿題まだ終わってなかった…」

『龍…』

「いつものようにだね」

『ん』


何もかも龍のお世話になってる。申し訳ないって思ってるけど、一人じゃ本当に何もできないんだ。勉強とか生活も。前、龍に聞いたんだ。「迷惑じゃない?」って。そしたら、龍は「全然迷惑だと思ってないよ」って。

嘘だとかいう人がいるかもしれないけど、俺ら全員嘘が嫌い。嘘をいろんな人から言われてきたから。特に人を悲しませる嘘とかは特に。俺だけじゃなくて龍や慶、龍牙、竜之介の兄貴も言われてきた。だから俺らは嘘をつかないんだ。人を楽しませる嘘はたくさんついてるけどね。それは許されてるでしょ?

とにかく龍のおかげで、何とか勉強についていけてる。


「相棒~教えてくれ~」

「どこを?」

「算数」

「わかった。じゃあ宿題持ってきて」

「おう」


龍はまだ12歳なのに、高校二年生の勉強も出来るんだ。なんで出来るかっていうとね。生前で、強制的に勉強させられていたからなんだ。生前は友達と遊ぶことも許されてなくて、勉強しかさせてもらえなかったんだって。しかも勉強が出来なかったら鞭で打たれてたって言ってた。酷いよね……。毎日毎日苦痛で仕方なかったって。そのことのせいで、たまに塞ぎこんで体調を崩しちゃうの。でも、龍自体はいたって健康だよ。


コンコンッ


『…ん…?』

「……お風呂あがったから誰か次入って」

『某が入る』

「……うん」


 龍牙と竜之介の兄貴が入れ替わりで、部屋を出ていった。


「……みんなで勉強中…?」

「うん。龍牙も一緒にやる?」

「……うん」


 自分の部屋に宿題を取りに行った龍牙。


『龍、これ、どう、する、の…?』

「これはね」


 今、龍に数学を教えてもらってる。


「……龍兄」

「ん?」


 なんだろ?遠慮がちにドアを開けてきた。


「……ごめんだけど、一緒に出来なくなった」

「急用?」

「……うん」

「それなら仕方ないね。気を付けて」

「……うん」


 そっとドアを閉めて行っちゃった。ここ最近夜に出かけることが多くなったと思う。前から出かけることが多かったけど、10歳を過ぎてからはさらに多くなってきてる。

 龍牙はあまり「忙しい」とか「疲れた」なんて言葉を言わないから、時々心配になる……。顔に表れたらまだなんとか出来るけど、それもないんだ。疲れが溜まってなければいいけど……。

 龍牙の部屋から窓を開ける音が聞こえた。


「龍牙は大丈夫かな…?」

「帰ってくるのを待つしかないよ…」

「そうだね…」

『……』


 皆が心配して、静かになっちゃった。


「みんなして、意気消沈しておるが如何した…?」

『…皆、龍牙、の、心配、してる』

「龍牙のことか…」

『ん…』

「無事を祈るしかないで御座るよ」

『…ん…』


 それから皆お風呂に入って、俺の宿題も終わって寝静まった時にちょうど帰ってきた音が聞こえてきた。


『!帰って、来た…!』


 大丈夫か心配で隣の部屋に向かった。急いでたから、ノックをするの忘れてた…。

ノックもせずに入ったけど、龍牙は驚いていなかった。


「……まだ起きてたの…?」

『ん。心配、だった、から。怪我、ない…?』

「……どこも怪我してないよ。それより、早く寝なきゃ。明日皆で出かけるんでしょ?」

『ん。おや、すみ』

「……うん、おやすみ」


 とにかく無事でよかった。静かにドアを閉めて、自分のベッドに向かって毛布に包まって寝たよ。



In 夢



『…ここ、って…』


 また同じ夢…。いやだな…。夢って自分じゃ何もできないから…。それが過去ならなおさら。

自分の手には血で濡れた愛用の銃がある。その目の前には事切れた死体が沢山。大人の男性も女性もいる。さすがに子供はいないけど。


『…ぁ…』


 見つけてしまった…。この頃の自分にとって大事な人の死体を…。


『…ゃ…』


 見たくない…。けど、目線が外せない…。


『うぇ……』


 気持ち悪い…。怖い…。


『……ぅう…』


 吐き気で胃酸が上ってきた…。目の前では、死体が近づいて来る…。片づけなきゃ…。でも体全部動かない…。


『ぅあ…!』


 目の前の死体に体を包丁で刺された。言葉は話さないけど、目が語ってる。

お前を殺してやるって。


 痛い痛い痛いいたいイタイ……!


「………ぃ…」


 誰だろ…?もうわからない…。


「……じ……にぃ…!」


 声が遠い……。


「弐劉兄…!」

『ッ!』


 汗を一杯かいて飛び起きた。龍牙が起こしてくれなきゃ……。



「……魘されてたけど、大丈夫…?」

『……』

「……いつもの夢…?」

『……』


 魘されてるときに叫んじゃって声が出ない。頷くことでなんとか返事は返せるけど。


「……そっか。水とかいる…?」

『……』

「……わかった。じゃあ一緒に行こ」

『……』


 あの夢を見たときは誰かが近くにいないと落ち着かない。それは家族みんな知ってる。


「……ほら、行こ」

『…ん…』


 少し回復して話せるようになったけど、立てないから支えてもらってる。お水を飲んで、やっと落ち着いた。


「……落ち着いた…?」

『…ん。あり、がと』

「……いいよ。どこで寝る…?」

『…お母、さん、と、寝る』

「……わかった。おやすみ」

『…おや、すみ…』


 自分の部屋に寝に行った龍牙を見送ってから、ゆらゆらとお母さんが寝てる所に向かった。


「大丈夫…?」

『…ん…。少し、落ち、着い、た』

「そう」


 お母さんの隣に寝ると、抱きしめて頭をなでてくれた。


「おやすみ、弐劉」

『…ん…』


 今度はゆっくり眠れそう…。

最後まで見てくださり有難うございます。

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