天国に近い場所
その昔、誰かが、天国に一番近い場所を見つけたという伝記を読んだことがある。
そこは、時が止まったかのように美しく見るものを圧倒する場所だったと。
そして、そこには天女が美しく舞っていたと…………
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一体どれぐらい寝てしまったのだろうか。
気がつけば、山から太陽が出現し、仄暗い草原を段々と明るくしていった。
こんなに美しい世界が現実にあったのか。
そう思わせるのは草原を埋め尽くす花々と朝日を照らして輝く湖だった。
学園の庭園なんか比べモノにならない。
棒になっていた足も嘘みたいに軽く、いつもよりも目覚めがいい。
空気がおいしいからだろうか。
服に媚びれついた草木を払い、立ち上がると隣にいた、リースとかいう少女がいないことに気がついた。
寒いだろうと思ってかけた制服は丁寧に畳まれたまま、そこに残っており、その上には滅多に咲かないことで有名な花、雪月花が添えられていた。
しかし、それが何を意味するのかはバサラにはよくわからなかった。
なので、潰さないように手に取ってカゴの中にしまった。
「喉が渇いたな……」
そういえば、昨日から飲まず食わずだった。
水筒の中の水も底をついてるし、食料はペニツルカンゴタケがあるが、生で食うのは流石に腹を下しそうでやめておくことにした。
「あそこで汲むか……」
数百メートル離れたところには湖があるここらか見てもわかるほど青く透きとおった色をしている。
飲めること間違いない。
早速湖へ向かうことにした。
「ほぇー、やっぱり綺麗だな……」
まじかで見ると先ほどよりも水が青く輝いて見える。
早速、水筒に組んで飲んでみることに。
「上手い!」
まるで空気みたいに軽かった。それでいて山の清流よりも強い香りと清涼感で満たされ、全身にくまなく水分が行き渡る感じが伝わってくる。
こんなに上手い水は初めてだ。いままで飲んでたのがクソみたいだ。
一口飲むとゴクゴクと止まらず飲みだしてしまい、気がつけば、満タンに入れていた水筒も空になっていた。
再び汲もうとすると、不意にぽちゃんという水音が聞こえてきた。
振り向くとそこには少女がいた。
リースだ。
その光景にバサラはポカン、と立ち尽くしてした。
髪を下ろし、なめらかなミルクのような白い肌を優しく水で洗い流す。
そう、全裸だった。
「…………」
「…………」
偶然かそれとも質然か。たまたま水を汲みに来た先でばったり再会してしまった。
目が会うと、バサラの背筋にスゥーと冷たい汗と寒気が伝わった。
やばい、殺される。
理性はすぐに逃げろと告げている。
でも、動けない。
正直、見惚れてしまっていた。
そんな行動をとるバサラとは裏腹に、リースは一点をジーと見つめるだけであった。
不意に現れたバサラが驚きすぎたのか、それとも状況を飲み込めてないのかキョトンとしてある。
だが、それも直ぐに終わりを迎える。
「あー、その……ごちそうさまです。」
言い訳をするくらいなら正直に言ってしまおう。しかし、それがそもそもの間違いであった。
「へ、へへへへ…………」
顔をこれでもかってくらい、赤くして湯気が昇っている。
本人は隠しきれていると思うだろうが、思いの外、胸がでかいせいで隠しきれていない。
「変態!!」
リースの声が木霊すると、どこからか取り出したのかわからない小石をバサラめがけて投げつけてきた。
「ぶは!?」
リースの投げた小石は見事ハザラの眉間にヒットしそのまま、気絶してしまった。
ああ、最後にいいもの見れた。我が生涯に一切の悔いなし!
そんなことを思うハザラであった。