今…助けに行く
ヒューザーは第2層の中で3番目に大きい街だ
そして、僕は最も有名な人物であるに違いない
僕がこの街に来たのはとても小さい頃の事だった
あまりにも小さかったから母の顔も覚えてないし、父も知らない
街の人の話だと、母と僕の2人でここ(ヒューザー)に来てすぐに母は亡くなったらしい
それを聞いても僕は全く悲しくも何かしらの感情を持つこともなかったことだけははっきりしている
それはきっと、母との繋がりが浅いからだろうと思うのだが果たしてそうなのか今でも僕の中で1つの謎として残っている
そして、もう一つ…僕の最大の謎
僕は一体なんの種族なのだろうかと言う事だ…
檻にかかっていた布(これからはマントと呼ぶ)で所持している中でも1番キレのいいナイフを包んでバックに押し込んだ
ナイフ1本で魔族に対してどれほど交戦出来るだろうか
定かではないが少しは役に立つはずだ
デット「…………」
やはり不安である
僕の計画を説明しよう
まず目的は、あの堕天使の救出と魔族の計画の阻止または妨害…
祭りは3日間行われるがメインイベントは今日のお昼ちょうど
恐らく、堕天使は見せ物にされるだろうから魔族の偉いやつが出てくるタイミング…演説か何かでチャンスがあるはずだ
だからそこでなんとかする…ナイフ一本で
デット「なんて無茶苦茶な計画なんだーーーーー!!計画らしい計画じゃないじゃないか…」
机に突っ伏して頭を抱えていると何かがひゅっと抜かれる感じがした
驚いて頭を上げると書き出した計画表がない
デット「え…あれ?計画表は?………やばいよ!!誰かに見られたらやる前に殺されちゃうよ〜」
???「落ち着けって、お前の言う計画表とやらはここにあるからよ。とりあえず座れって」
家をでかけた僕に半分笑いをこらえたように後ろから声がかかった
デット「……ルヴァンじゃないか…驚いちゃったよ…」
ルヴァン「わりーわりー、お前の驚き様には俺も驚いたよ」
真っ赤な髪に黒い角、年がら年中コートを着ているこの少年はルヴァン、僕の唯一の友達と呼べる存在だ
ルヴァン「で、このダサい計画表はなんだ?」
デット「…信じないとは思うけど」
ルヴァン「なんだそりゃ、いいから話せよ」
デット「笑うなよ…絶対だぞ…。実は…な…」
数10分後…
ルヴァン「堕天使…ね」
デット「……(こく)」
ルヴァン「…分かった。俺も協力するぜ」
デット「……………は?」
ルヴァン「なんだよ。協力するって言ってんだよ」
デット「なんでだよ、信じられないだろ?こんな話…」
ルヴァン「信じるよ、友達だろ?それに、今の俺暇だし」
デット「暇って…これは暇つぶしじゃないんだぞ」
ルヴァン「なんなら密告してやろうか?」
デット「……分かったよ…」
ルヴァン「よっしゃー!まずは、えーっと…堕天使の救出…?」
デット「うん」
ルヴァン「本当にこれ計画表かよ?過程がすっ飛んでんぞ」
デット「…うるさい」
ルヴァン「まぁ、いっか。じゃあ最初に堕天使助けに行こうぜ」
デット「…え」
ルヴァン「なにボケーっとしてんだよ。堕天使が収容されてる所に行って開放すんだよ。そのついでに、魔族どもの計画も探れば一石二鳥だろ?」
デット「おお!!さすがルヴァン!」
ルヴァン「だろ?そうと決まれば行くぜ!!」
とんでもないスピードで家を出るルヴァンを追いかけようとして、バックを忘れていることに気付き戻って紐に手をかけた時、疑問が頭をよぎった
デット(………なんで…あの時…)
ルヴァン「おーい、早く行こうぜ〜」
デット「ちょっと待ってよー!」
(後でいっか…)
ルヴァン「おせーよ。んじゃ行こうぜ!」
デット「ああ。まずは堕天使の救出…行き先は魔族の泊まってる街の中心、トレティア城の奥…クリストフの庭だな」
(今…助けに行く!)