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第一の予言2

 ついに午前三時である。地震の発生時刻まであと二十七分だ。私は再度非常用持ち出し品の確認をした。彼女に送ったLINEは昨日の午後九時を最後に既読がついていないから、寝ているのだろう。


 地震の発生時刻が近づくにつれて、ネット上は段々と盛り上がってきた。私についての話題で盛り上がっているのだ。一つ一つの書き込みやつぶやき、ネットニュースを確認していく。

 地震発生まで十分を切った。胸の鼓動が早くなっている。地震への恐怖が原因であろうか。それとも別の理由があるのだろうか。もう一度スマートフォンに通知が無いことを確認し、何かあった時にすぐに連絡できるよう机の上に置いた。それから、また念のため、非常用持ち出し品の確認をした。そして、身の回りに命を危険にさらすようなものが無いことも確認した。私の命ははきっと大丈夫だろう。心配なのは、彼女と友人、そして同僚の命である。

 ついに地震発生の時刻まで一分を切ってしまった。「予言者」として、最後の書き込みをした。

『さあ、約束の時間だ』

 あとは、地震が起こるのみである。他にやることはない。

 なぜ私は今、地震が起こるように願っているのだろうか。そう思った途端、時計は運命の時刻をさした。


 五月十七日月曜日、午前三時二十七分。緊急地震速報が嫌な音を発しながらテレビで流れると同時に、地鳴りと強い揺れが私を襲った。急いで私は机の下にもぐり、身を守る。その強い揺れと地鳴りは十五秒ほど続いた。

 揺れが収まると、まず私は掲示板を開く。掲示板は、私の予言があたったという内容のスレッドだらけであった。そのうちの一つ一つに書き込んでいく。それから、「予言者」として自らを讃えるスレッドを立てた。それからSNSサイトに出向き、「予言者」として活動していく。いまや、私はネット上ではヒーローである。


 スマートフォンには数多くのメールとLINEが来ていた。過去に私が地震が来ると周知した同僚、友人たちである。どうやら、私のお陰で地震に対して意識を向けることが出来たらしい。彼女からの連絡は無かった。

 また、大きめの揺れを感じた。余震だろう。

 その時、急に電気とテレビが消えた。停電だ。神様はライフラインは寸断されると言っていた。まさに現在その通りになっている。


ラジオでは緊急報道特番が組まれていた。ラジオは神様の言った通り、マグニチュードは7.1で、震源は神奈川県。私の住んでいるところの震度は6強であったと伝えた。

 幸いにも今のところ、救急車の音は聞こえてこない。きっと私の目的は達成されたのだろう。そう満足したところで徹夜明けの夕方のような強い眠気が私を襲った。しかし、このまま寝てしまったら、そのまま二度目の死に至る可能性もある。私は生きるため、必死で目を開いた。

 私は耐震構造のマンションに住んでいるため、特に避難をしようとは思わなかった。むしろ、無理に外に出て、落ちてきた窓ガラスやコンクリートにぶつかってしまうほうが危険である。

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