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再会

幸代は一人になると、

夫のデジカメの写真を撮影した写真を何度も見た。


これからどうしようか。


写真を見たことを夫に言ったとしても、

この写真ではただの友達と言われるだけだ。

そしてそれ以上追及することは、幸代には出来ないだろう。


やっぱり忘れるしかないのだろうか。

これ以上知ってしまうと、何かとんでもないことになってしまうのではないかという不安もある。

知らないほうが幸せと、よく言われているではないか。


今まで工藤の事を考えていた心も、さすがに夫の事でいっぱいになっていた。


そんな時、幸代の携帯が鳴った。


「もしもし、奥山さんの携帯でしょうか?突然電話してすみません、中学校の同級生の工藤ですが」

そこから聞こえたのは、ずっと聞きたかった工藤の声だった。


「・・・雄くん?」

つい、中学時代に二人でいるとき、呼び合っていた名前で呼んでしまった。


「さっちゃん?突然電話してごめんね。この前あまり話せなかったから気になって」

工藤雄介。「雄君」と幸代はいつも呼び、工藤は「さっちゃん」と呼んでいた。


「ううん、私もこの前はびっくりして、うまく話せなくてごめんね」

「いやいや、俺の方こそ話しかけるタイミングが悪くてごめんね」


少し沈黙が流れた。


「あの中学を辞めてからも、ずっとさっちゃんのことは気になってて。会いたいと思ってたんだ。

さっちゃんが都合の良いとき、会えないかな?」


「・・・うん。私も会いたい」

素直に、思わず言葉が出てしまった。


「・・・今はどこにいるの?」


「今?今は会社からの帰りで、駅に向かってるよ。東京駅の近所」


「俺も仕事が終わって、東京駅の近所なんだけど、今日はさすがに難しい?」


突然の誘いに幸代は戸惑った。

今日もいつものように、義母は食事を用意して幸代を待っている。

会いたい。でも、会えない。


「・・・大丈夫」

断らなくてはいけないのに、反対の言葉が出てしまった。

夫が好き勝手にしているのに、何で自分ばかり我慢しなくてはいけないのだ。

もうどうにでもなれ!という衝動的な気持ちだった。


それから10分後、あっという間に幸代は工藤に再会した。

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