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拝啓 樋田陽香様


ここ暫くは酷暑が続いており冷房の点けっぱなしや冷たいものの摂り過ぎ等、日頃の習慣が祟る時期かと存じますが、御身体に変調を(きた)してはいないでしょうか?

熱中症を起こさぬ様日射を遮り、通気性、吸水性の高い服を着て、作業に臨んで下さいね。

今日手紙を差し出したのは、思わず気持ちより体が先に動いてしまうような純心を、貴方から貰ったからです。

ですが夜にジッと蝉が短く鳴くのには、生命の儚く……しかし尊い、刹那の隆盛に空しさを覚えます。

けれど僕と陽香さんの見た花火、直ぐ消えていったのに未だ記憶にとどまっていて、あぁ……どんなにか弱くとも命に無駄などないのだなと、実感しました。

そして風が靡いて風鈴がちりんと鳴り陽香さんと僕の目が合った時、黄色い花弁を咲かせた香木の匂いが吹き抜けて、僕は愛を知ったのです。

垂髪が乱れて肌蹴(はだけ)た服に掛かり、ぽかんと口を小さく開く陽香さん。

普段とは違う幼げな陽香さんに僕は扇情的にさせられてしまって、理性を失うのでした。

香気にほだされたのか横になる陽香さん……貴方の弱さ、僕は受け入れる覚悟あります。

けど、僕なんかじゃまだ駄目ですよね……。

こんな壁、早く無くなればいいのに。

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