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第5話「キャラ変わってんじゃねえか!」

 さて。天使が俺の家に居候するに当たって大きな問題が一つある。それは、うちの家族が天使の居候を認めるかどうかってことだ。


 わけ分からんアホ(例えばおたふく面被った天使とか)が唐突にうちに居座ることになる場合、主人公は一人暮らし。両親は海外出張、もしくはすでにこの世にいないってのがセオリー(独断と偏見)だが、あいにくとうちは一軒家に家族四人で住んでんだな(ちなみに家族構成は父、母、姉、俺ね)。


 つーわけで、天使がうちに居候するには親父とお袋と姉貴の承諾が必要なわけですな。


 つまり、俺にもまだ希望が残ってるわけです。うまくいけば、このプライバシー侵害ヤロウを追い出すことができるかもしれないわけです。


 今まで、こんだけうちの家族に期待を持ったことはありません。今だけは家族がいてよかったと思えます。


 つーことで、人のベッドの上に寝そべってマンガを読みふけっている天使に、早速その旨を伝えたところ――。


「大丈夫だよ。普通の人に私の姿は見えないから」


 打ち砕かれました。夢も希望もなにもかも。


「ってちょっと待て。その原理からいくとお前と普通に会話してる俺は普通じゃないってことか?」


「だね」


 いや、軽くショックなんだけど……。


「大丈夫だよ、ヒロ君。普通じゃないっていっても変人ってだけだよ」


「ありがとよ、チクショー」


 ――ん? ちょっと待て?


「ちょっと聞いていいか?」


「んー?」


「今の話の流れだと(俺的には不本意だが)変人にはお前の姿は見えるわけか?」


「うん。あらゆる要素の中の一つだけでも常人より五倍突出してたら私にお目通りがかなうのよ」


 いや、なんだその基準。つーか、できればお目通りかないたくねーよ。


「ちなみにヒロ君はツッコみ部門担当、変人率32%ね」


「……なんだそりゃ」


「あ、今ツッコまなかったから変人率31.7%に下がったよ?」


「いや、いちいち変動すんのかよ」


「うん。0%になったら私のこと見えなくなるから気をつけてね」


「……」


 つーか、そっちの方が手っとり早くこいつから解放されんじゃねえか? うん。そうだよ。今後一切こいつにツッコまなけりゃ――。


「ちなみに0%になったら、イフリートと強制タイマンデスマッチのイベントが発生――」


「待てえぇぇぇぇ!」


「あはは。なんちゃって」


「……」


「今のでヒロ君の変人率が526%に――」


「いや、おかしいだろ! 減り方と増え方釣り合ってねえじゃねえか!」


「なんちゃってー」


 やっろお……!


「あはは。駄目だよヒロ君。ツッコみがいないとこの話成り立たないよ?」


「……」


 お願いだから誰か替わって……。


「ルンルンルン〜♪」


 んで、この天使散々無駄に人にツッコませといてご機嫌でまたマンガ読みだしました。


 つーか、変人率なんてのほんとに存在すんのか?


 どうしても気になるんで(俺の変人率ってほんとに30パー越えてんの?)とりあえず聞いてみるか。


「なあ、天使」


「……ポ」


「あ?」


 なんか、声かけたら俺の顔見てすぐ顔を伏せましたこいつ。なんか照れてるみたいだな(おたふく面被っててよく分かんねーけど)


「なんだよ?」


「そんな、いくら私が天使のようにかわいいからって、天使って……」


「いや、てめえの種族の名称呼んだだけだろ。俺たちからすりゃ人間って呼ばれるようなもんで、そんなもんで照れる奴なんか恐らく一人もいねえぞ」


 つーかおたふく面被ってんだから、かわいいもくそもねえよ。


「今のでヒロ君の変人率525.5%に下がっちゃったよ?」


「いや、ちょっと待て!526%ってほんとだったのかよ!」


「ヒロ君は変人率をちらつかせば無条件で食いつく……と」


 く……。


 こいつなんかジーンズからメモ帳と鉛筆取り出して、メモしました。いちいち内容声に出しながらメモしました。


「なに書き込んでんだ?」


「な・い・しょ」


「になってねーよ」


 つーか、小道具持参とは芸細かいな。


「あはは。実はこれにヒロ君の個人情報みんな書き込んでんだ」


 はい。ただの小道具じゃありませんでした。


「全部って、名前から心のアイドルまでか?」


「そうだよ〜。ヒロ君が高校の入学式で、入学生代表で宣誓したピーちゃんが宣誓を終えて舞台から降りてくるときの凛とした横顔に一目惚れしたこととか――」


「そこまでにしとけえぇぇぇ!! つーか今すぐそれよこせえぇぇ!」


「あっ」


 はい。天使につかみかかり、メモ帳まであと一センチのところで、天使のピアスがまばゆい光を発しました。


 イフリートの登場です。


「小僧……」


 まばゆい光が消え、俺の目の前にふんどし一丁のムサいマッチョな大男が立ちはだかりました。つーか、体中から湯気が立ち昇ってます。なんか、怒り心頭なご様子です。


「殴り殺されるか、絞め殺されるか、消滅するか……どれがいい?」


 だから、選べねーよ! つーか死の選択を五秒以内に即決さそうとすんじゃねえ!


 と、俺は心の中で叫んでやりました。


 もちろん、現状蛇ににらまれた蛙状態です。


 んで、五秒経過……。


 イフリートは右拳にあっつあつの炎をまとわせました。


 そして、ヒートナックルを俺の顔面めがけて――。


「この前はよくも俺の出番をカットしてくれたなあぁぁぁぁ!!」


「えええ!」


 それで怒ってたの! つーかそれ俺のせいじゃねえよ!


「ぁやかましゃあぁぁ!」


「って、あんたも人のナレーションにリアクションしてんじゃねえよ!」


 俺は命からがらイフリートのヒートナックルをかわしつつ、しっかりとツッコんでやりました。


「ぁんなもん関係あるかぁぁ! んなぁにぃがぁしばぁらくお待ぁちくだぁ! カンカンカンカカン! さいじゃボケェェェェ!」


「いや、なんだよその中途半端な歌舞伎口調! キャラ変わってんじゃねえか!」


「ぁそれえをぉ知られたからにゃあぁ! カカン! ぁ生かしちゃぁおけねぇ!」


 とか言いながらイフリートは床にしりもちをついてる俺の頭上にヒートナックルを打ち下ろした。


「うっぎゃあああああああ!!」


果たして俺の運命は!!


――次回に続く!


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