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第1話「ちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 それは俺が学校から帰って、自室でくつろいでいる時に起きた、俺の今後の人生を大きく左右するような事件と言っても過言ではないようなって自分で言っててよく分からなくなってきた。とにかくそれは、俺が自室でくつろいでいる時に起きたんですわ。


 コンコン。


 ドアがノックされたが俺はさり気に無視を決め込んだ。なぜかって、俺の部屋をノックする人間はうちの家族以外にはいないからだ。つまり、うちの家族はさり気に無視したくなるような個性派だってことだ。


 まあ、悪く言えば変人だけど家族を悪く言うのもなんだしな――ってもう遅いか。まあ、ここで隠しても話が進んでけばいずれはバレることだしな。


 コンコン。コンコン。


「ちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 2度目のノックの後に聞き覚えのない声がドアの向こうから響いてきた。つーか誰もピザなんか頼んでねーし、明らかな不法侵入だな。あ、そういや、今うちには俺しかいなかったんだっけな。


 うん。うちの家族は変人ってぶっちゃけはまだいらなかったな。つーかこの場合はドアの向こう側にいる不法侵入者の方が問題か。


「こんちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 しれっとまだ言ってるよ。勝手に他人の家にあがり込んでる時点で宅配じゃねーだろ。つーか、相手に聞かれた瞬間バレる嘘って、どんだけ嘘が下手な奴だよ。それともこれはボケってことなのか?


「こんちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 あれか。ツッコまれるまで一生ボケますってノリか。


「こんちわ〜。ピザの宅配に――」


「誰も頼んでませんが、間違いじゃないですか。つーか、警察に通報していいですか」


「困ります」


 即答かよ。つーか、困りますって。確かにそうだろうけど、んなこと逆ギレ気味に返されたって。なんか、俺のツッコみがだめだめみたいな空気になってんじゃん。


「いや、誰もピザなんて頼んでまへんがな!」


 みたいなの期待してたわけ? だとしたら、ますますもって向こう側の意図が分からねえよ。少なくとも、警察って言葉ちらつかされてとんずらしないってことは泥棒じゃないってことか。まあ、泥棒の方がよっぽど――。


「ちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 やり直し要求!?


「って、ふざけんなこらあ! 人が下手に出てりゃつけあがりやがって! マジで警察呼ぶぞこらあ!!」


「だから、困ります」


 はい。上手に出ても駄目でした。


「こんちわ〜。ピザの宅配にきました〜」


 そして、再度のやり直し要求。もう、お手上げだ。ここまでマイペース、もとい自分勝手な奴は俺の16年の人生を振り返ってみても1人も見当たらねえよ(身内を除いて)。ちなみに声色からして相手は女の子らしいな。


 つーわけで、俺は仕方なくアホらしいとは思いながらもベタなツッコみを試みた。


「いや、誰もピザなんて頼んでまへんがな!」


「ええ! ここって、マイケルさんのお宅じゃないんですか!」


 まだ続くのかよ……。つーか、マイケルってなんだよ。どう間違ったら佐々木って表札してある家にマイケルさんの注文したピザを届け違うんだよ。


「うちは佐々木ですけど」


「ええ! ここってマイケルさんの家じゃないんですか!」


 いちいちツッコめってわけか。こうなったらもうヤケクソだな。


「なんでマイケルやねん!」


「えーと、ノリかな」


 普通に返すのかよ! ってか、ただのノリ!


「ってわけで、あきちゃったから早いとこここ開けてくださーい」


「ふざけんな、バカヤロウ」


「? なに怒ってんの?」


「自分の胸に聞け」


「なによう。開けないと君の個人情報暴露しちゃうよ?」


「は? お前が俺のなに知ってるってんだよ」


「佐々木広之ひろゆき、16歳、現在高校1年生。11月3日生まれのサソリ座。血液型はA型」


「……」


 ……当たってやがる。


「まだ開けてくれない?」


「く……」


 不法侵入&わけの分からんボケ&俺の個人情報入手しちゃってるってくれば、あれか。情緒不安定なストーカーとかそういう系か。なんにしろ関わり合いたくね――。


「ちなみに君が密かに想いを寄せてる女の子は、一月前入学式で見かけて一目惚れした名前は――」


「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」


 ベッドの上に寝っ転がっていた俺は、そりゃあ勢いよく飛び起きてドアを速攻開けてやりました。そして、言ってやりましたよ。


「勝手に人の心のアイドル暴露しようとすんなあぁぁぁ!! つーか、なんで知ってんの! なんで入学式で一目惚れしたってとこまで知ってんの! 俺誰にも言ってねえぞ!!」


 思いっきりツッコんだ後に俺の目に飛び込んできたのは……。


「……」


「あはは。初めまして〜」


 おたふく面を被った不審度1000%の変態だった。






 俺は絶句した。


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