プロローグ
入学式のお話です。
「…は…烏」
…ここは…どこだ?何も見えない。
…夢…だよな?
「我…役…ろ…」
遠くから声が響く。
耳にではなく直接頭の中に響いてくる。
次第に声が大きくなる。段々と近づいているのか?どこから?
そこでふと、自分は目を開けていることに気付く。普通は何も見えない恐怖を感じるはずなのだが、不思議と落ち着く暗闇だった。
「汝は……を…得…だろう」
ぼんやりと聞こえてきた声に耳を傾ける。するとはっきりした声で「それ」は言った。
「力を欲するか?」
……力か……まあ、無いよりは欲しいかな?
「良かろう。ならば聞け、我の…我が名は!…」
…ぱっと目が覚める。今度は現実のようだ。
「……なんだ?今の」
身体を起こしながら、まだ半分寝ている頭で考える。
「なんだか変な夢…」
…俺の上で寝ている猫の姿を見て、考えるのを止めた。
「…何してる、美華」
ちょうど膝のあたりの上で寝ている猫…美華に話しかける。背中を丸めて規則正しい寝息をたてている。…あ、起きた。
「ニャ?」
なぜかこっちを見て首を傾げる。
「お前、俺を起こして来いって言われたんじゃないのか?」
「ニャ!」
そう言うと、今思い出したかのように首を縦に振る美華。
しっかりしてくれよ…内心そう思いながらベッドから出る。その際、美華も床へと飛び降りる。
「それじゃあ着替えてから行くから。」
そう言うと美華は頷き、背中から翼を生やしてふわふわと部屋を出ていく。
(…あれがなかったら普通の猫だよな。どう見ても)
そう思いながら真新しい制服を着ていると、朝の夢のことは覚えていなかった。
次回は詳しい舞台設定を載せていきたいと思います。
遅くなったらごめんなさい。