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どうして私が、できると思ったの

「なんで、そんなこともできないの?」


学校で、よくそう言われ、怒られた。次に言われることは、なんだっただろう。

「人の話をちゃんと聞きなさい!」

「勝手なことをするな」

そして、

「あいつに言っても、どうせわからない」

いや、その前は「言い訳するな~」とも怒られた。


口の中が震え、動かしても、中が張り付いたように動かない。

それなのに、みんなが私を気持ち悪い目で見る。


まるで、全てが私のせいだと、言わんばかりに・・・。

他の人と同じようにしているはずなのに、いつも私が怒られる。

まるで、私がすべて悪いみたいに。決めつけ、それが当然だと言うように・・・。

そして、誰も・・・私の話を・・・聞いてくれない。


視界の隅。私を遠巻きに見つめる視線、顔が視界いっぱいに広がっていた。

一瞬、こちらを向いては、すぐ視線を戻すヒトがいる。そういう人は良い。


少なからず、視線を戻すということは、それが不思議。おかしいと、そう思ってくれている。気にしてくれているのだから・・・。

でも、ニタニタと。いや、笑っているかどうかは、知らない。分からない。

でも、何もしないで、影で隣と小さな声で話し、クスクス笑うヒト。指を差し、笑っているヒト。

あの子たちは、これがまるでショーのように見えているに違いない。


笑い、バカにし、まるで自分たちが、悪を懲らしめるヒーローを見ていように、こちらを見ている。実際は、自分たちが、安全だから、笑っていられる。そう思う。


でも、まぁ、それは、正直、どうでもいい。いや、よくはないけど、そう思うしかない。

それは、先生が大人だから。大人は間違えるはずがない。


正しいことを言っているのだから、誰も言わない。それが”フツウ”だから、立ち上がて、先生に事情を話したり、説明したりしてくれる人はいない。


そんな守ってくれる、助けてくれる、そんなヒーローのような人はいない。“ミンナ”なら、言いに行くのに。

だから、仕方ないと思うしかない。でも、せめて、「どうしたの?」くらい、声を上げてくれてもいいと思う。


(………いや・・・違う)

心の中で否定の言葉が出てきたら、胸がぎゅっと苦しくなる。

私は、先ほど、先生に言われたことを、思い出す。


体育の時間。

雨で、グラウンドが使えず、体育館に変更になったのは、授業開始――いや、休み時間に入って、しばらくしてからだった。


私は、前の授業のノートや教科書、筆箱をランドセルにしまい、時間割を見ていた。


クラスの男子から「バスケだ!」「おっしゃぁぁら」と叫び声が上がり、女子は「えぇぇ、むっす~」「転んだら、痛いじゃん」と言った。


私が、体操着を取りに後ろのロッカーに向かった時、男子の何人かが一目散に走り出し、女子はお喋りをし始めていた。


私は、男子が全員、いなくなるのを待ってから、裾に手をかけ、着替え始めた。チラッと、隣のグループの一人(確か、小さい頃は一緒だった子)が、話しかけようと口を開けるのが、視界に見えた。


でも、結局何も言わずに、着替え始める姿を見て、私は、なんとなしに左に視線を動かす。すると、3人の女の子が、首を動かした後のように、毛先が横に舞っていた。それで、なんとなく、意味を察した。


私は、確か・・・いや、どうなんだろう。そう考えて、結局、(別にいいか)と思い、とりあえず、着替えを済ませて体育館に足を向けた。


階段を降り、一階の渡り廊下を通りかかった際、右に曲がらず、少し先。

1、3、6年生がいるもう1つ校舎に続く渡り廊下まで行って、その角を曲がる。そして、角に隠れ、振り返る。


一人、二人とクラスの人が、渡り廊下を歩いて、話をしながら向かっている。そして、最後に、先程の3人の女の子が、目の前を通り抜けた。話し声がやたら大きく、内容が聞こえた。


「あぁ、メンド……」

「でも……男子って……なんで……」

「それって……あの…もそうじゃない…。ママ……も…って、言ってた……」

「マジ……ウケる……同類…」

「それは…男子に……失礼…」

「確かに!!」


そんな話をしながら、彼女たちは、体育館に向かった。笑いながら、私の名前を言いながら、気持ち悪い笑い声が聞こえた。


私は、彼女たちがいなくなってから、大きなため息をついた。正直、よく飽きもせず、同じ話を話せるなぁ、と思った。しかも、本人がいない前で・・・。


私は、少し暗くなった気持ちを大きなため息を吐き出すことで、外に追い出す。でも、一瞬、頭の中で先程の彼女たちが、目の前でやっていたことを思い出す。

これ見よがしに。やり取りしていた数ヶ月前の陰口の映像が流れ出す。その瞬間、私は奥歯を思いっきり、噛み締めて、頭を振った。

(一々、思い出さないでよ!)そう、自分を叱りつける。いや、しかりつけたであっていると思う、確か。


そう物語や漫画では、頭を思いっきり掻きむしっていたシチュエーションって、こんな状況だったと思う。そうして、私が心を落ち着かせてながら、体育館前に向かっている時。


「あ、ちょうどいい」


と言う声が聞こえた。それは、担任の高橋先生だ。彼女は、大きなバスケット、いやカゴを持っていて、体育館に向かう私を手招きしていた。

「ミオちゃん。ちょっと来て…!」


私は、一瞬振り返り、辺りを見渡した。誰か、一緒に来て欲しかった。

そう思い、体育館の入口に注意を向けた瞬間、あの子の姿が見えてーーー。


「聞いているの!! 黒川さん!!」

「・・・・・・ツ!」


そんな先生の怒る声に、私の思考は、引き戻された。大声に、胸がキュッと息苦しくなって、全身が固くなった。

(大声を出したい、叫びたい)

心がとてもザワザワして、言いたい。思い出した!


先生は、“邪魔にならないところ”としか、言っていない。そして、体育館を見たら、みんなバスケやバレーで遊んでいて、床や壇上だとボールが飛んできて、危ないと思った。だから、なにかの裏や影になる場所が“邪魔にならない“場所。

それしか、思いつかなかった。でも……


「そもそも、なんでわからないなら、誰かに聞かないの? 声をかけないの? みんな、体育館にいたんでしょ。なのに、なんでその一言を言えないの?」


そう先生は、私を叱りつけた。先生は、知らない。先程遊んでいたみんなは、先生が渡り廊下に姿を見せるのと同時に、声をかけ、片し始めていた…。だから、誰も声をかけられる人がいなかった。


「だよね~。言われたら、私たち、ちゃんと協力するのに」

誰かがそう言って、笑ったように見えた。


「そうそう。やっぱ、考えられない人は、そんなことすらできないんだよね」


そう小声で話している人の声が聞こえた。

嘘だ! 私が話しかけたら、平然とボールをぶつけるクセに。そもそも、


「先生に頼まれたなら、空気読んで、自分ではできないとわかったなら、声かければいいのにね」

「仕方ないよ。バカで、ノロマで、そんな普通のことすら、考えられる頭がないんだ。だから、いつも空気読めないんだよ」


今度は、左後ろの男子(多分、いの一番に走り出した人)がそんなことを話している。

その言葉を聞いた瞬間、私の中で

……カ…チ。


そんな音と共に、私の思考は凍った。頭も感情も、記憶も、何もかもが、まるで凍りついた塊のように、固まり、ありとあらゆる音を遮断した。また、いつものこと。


私は、凍って上手く動かない思考でそんなことを思う。音が遠のき、でも嫌な、不快な毒だけが心を蝕み、気持ちがザワザワ。


息苦しく、吐きそうなほど辛いのに、何も考えられない。知らない。分からない。首をブンブン振り回し、子供のように駄々をこねられたら、どんなに楽だろう。そんな感じ。


みんなは、好き勝手に私を傷つけ、私がどう思おうが、どうしようが、関係ない。


誰も私の言葉を聞いてはくれない。誰も私の事をわかってくれない。知ろうともしない。


あゆみちゃん、あいちゃん、きょうこちゃんのように、“みんな”のように間に入って、優しく説明してくれる人なんていない。アニメや漫画のような厳しくても優しくて、こちらの話にもしっかり耳を傾けてくれる先生もいない。


そもそも、“()()()()()()()()()()()()()()()と言うなら、なんで“先生のカゴを持っている私を見て”、なんで誰も“()()()()()()()()()”と結びつけて考えないの?


私より、頭が良いんだよね。なんでも、分かるんだよね。それなのに、なんで誰もそれに気づいていないのだろう。なんでそれを疑問に思わないのだろう。いや、それ以前に“()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()”。


(私を……といって馬鹿にする人に……どうして、いや、違う!!)

…ダメ、言葉がでてこない。そうして、私は頭の言葉から手を放した。


読みにくい文章で、すみません。

少しずつ、読みやすい文章になるよう頑張りますので、もうしばらくお付き合い願います。

さて、プロローグは、まだ続きます。


予想以上に文章量が多くなり、読みやすいよう二分割にしています。

『なく頃』シリーズや鬱作品が苦手な方は、少し休んでから読み進めください。

まぁ、あの作品ほど、重いストーリーにならないかとは思います。

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