要望
OFUSE始めました。
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クレメンティア子爵と色々と話をしているが、基本的に足りていないものが多すぎる。何とかするしか無いものの、一番足りないのは時間だろう。貴族として生まれたばかりなんだ。何をするにしても、ノウハウが足りない。ある程度は何とか出来るかもしれないが、細かな事を考えれば、キリが無くなる。そう言う状態だからな。何か出来ることは無いか。そんな事も思う次第だ。
「出来ることか……。現状は無いとは思う。貴族としての経験が足りていなさすぎて、何が出来た方が良いのかが解らない。何が足りないのかが解らない。これをした方がと言う事が解らない。全部手探り状態だ。何とかスパイとして引き抜いた者たちがいるが、そ奴らに色々と教えを請わないといけない立場なんだ」
「まあ、足りないのは時間でしょうからね。何をしたらいいのかが解りませんか。……ただ、こちらとしては、やって欲しい事があるんですけどね。なので、出来ることはなるべく引き受けたいんですが……」
「何が必要なのかが解らないのが今の状況だ。今は特に出来ることは無いと思う。……それで? やって欲しい事とはどんなことなのだ?」
「そこまで難しくないものから言わせてもらえば、各地から様々な種族を集めていただきたい。俺がエルフなのは見て解るとは思いますけど、エルフの数が少なすぎるんですよ。なので、選択肢も何もない状態なんです。ですので、エルフだけではなく、色んな種族を集めていただきたく。レイトーン村の村長はドワーフですし、テッケルンの錬金術師はアルマサニーです。色んな種族が集まってきている場所を作ることが出来れば、色々と困ることが少なくなるんですよ。同族が居るだけで、安心感が違いますからね。そうやって、各地の異種族を集めていただきたい。そうする事で、この町も発展するでしょうし、寿命が長い種族がいれば、何かあった時のために、知識を蓄えておいてもらう事も出来る。そちらとしても、悪い話だと言う事では無いと思います。獣人を集めるだけでは、他種族の関心までは買えないでしょうし」
「ふむ……。なるほどな。獣人を集めるのもそうだが、人間以外を集めているという事実が必要になる訳か。人間を追い出せという訳ではなく、今のテッケルンに、色んな種族を集めろと。……無理ではない。無理ではないが、理由としては弱い。どちらかと言えば、獣人を集めるだけの方が簡単だ。獣人が獣人を呼ぶだけなら、それ程理由は必要ない。同朋を助けるのは当然の事だからな。そこに他の種族もと言う事になれば、疑問が湧いて出てくるのも必然だろう。何かを企んでいると思われても仕方がないとは思うが?」
「まあ、何かを企てるので、あながち間違いではないんですけどね。人間以外を集めて、錬金術師にしてしまうのですよ。獣人からも錬金術師を排出した方が良いとは思いますが、他種族を錬金術師として、王都に送り出すんです。錬金術師として、沢山学んでもらい、領地に帰ってきてもらう。それで領地が発展していけば、かなりやりやすくなるとは思いますよ。錬金術師は、ある意味金の生る木なんです。獣人だけでも良いといえばそうなのですが、獣人はそもそも魔力を多く持っていないものが多い。その点、他種族は魔力が多い傾向にある。他種族を集めて、錬金術師にすることによって、種族的な意味で帰って来ざるを得ない様にする。その方が発展するとは思いますよ?」
「なるほど。錬金術師か……。だが、そちらには商売敵が増えるだけなのではないか?」
「錬金術師と言っても、かなり幅がありますからね。得意な分野が全然違う事もあるんです。それに、錬金術師の数は多い方が良いんですよ。商売敵というよりは、共同体の方が近いので。錬金術師は、そもそも難しい資格です。10人を送り込んだとしても、1人帰ってくれば良い方なんですよ。なので、異種族を錬金術師として送り込んだところで、爆発的に錬金術師が増える訳でもない。まあ、本音を言えば、増えて欲しいんですが、簡単には増えないので。5年制の学校ですが、5年間で卒業できるとは限りませんし、落第も十分にあり得ます。そもそも魔力が足りていなければ、錬金術師としては認められませんからね」
「獣人は魔力が少ないものが多いから、錬金術師には不利だと。それで人間を使うよりも、他種族を使えと言う事か。人間も、魔力が多い者が多い訳ではない。圧倒的に数がいるから、錬金術師の才能持ちも居るだけの事と、そう言う事か?」
「簡単に言ってしまえばそうですね。別に人間でも良いのですが、人間だと帰ってくるよりも、良い就職先を見つけてそちらに行くこともありますので。俺みたいなエルフであれば、結婚をしようと思うと、エルフがいるところに行かなければならない。そうなると、集まっている場所に行く方が良いのですよ。……私の場合は、師匠がいたので、ここに送り込まれましたけど。普通の学生であれば、師匠が付くことはないんです。就職先も、自分で選びます。その時、結婚まで考えるのであれば、確実に相手がいるところに行った方が良いでしょう?」
「口実としては悪くない。獣人が魔力が少ないというのは周知の事実だからな。獣人に魔法使いが少ないのはその為だ。……まあ、身体能力強化魔法を教えてくれたおかげで、前衛としては、やっていけるようにしてくれたのは知っている。あれの習得条件が難しいのが問題ではあるが、テッケルンの獣人たちは、皆が使える様になっている。色々と便利に使わせてもらっているからな。そう言う面では、魔法使いが多いとも言えるんだが、魔力が少ないのはどうしようもないからな」
まあ、獣人でも、魔力が多い者はいるんだけど、人間よりも、獣人の方が割合的な意味でも少ないんだ。絶対数が人間よりも少ないから、数が少ないんじゃない。人間よりも、格段に割合が落ちるんだ。現に、俺が在学中に、獣人は殆ど見なかった。99%は人間だったからな。エルフも少ない。ただし、エルフは魔力量が多い事の方が多い。獣人が不足しがちな錬金術師を確保するという点で見れば、人間を選ぶよりも確実なんだ。
「種族的に集まれる場所があれば、獣人以外もこの町を目指してくれる可能性は上がります。住民を増やすという点でも、人間以外を増やしていくのが、長期的に見れば、利益になることもあるんですよ。まあ、それも口実と言えば口実ですけどね。やはり、結婚相手が見つからないというのが一番大きいです。選ぶ前に、出会えるのかどうかが問題になるので」
「解った。奴隷でも良ければ探してみよう。また、他の町で見かけたら、声をかける様に言っておく。確実に集まってくる訳ではないとは思うが、集まれる場所を作る意味は、こちらとしても痛いほど解るからな。集まって何かをした方が得なのも解っている。任せろとまでは言えないが、何とかしてみよう」
「個人的には500年くらいかけてやって貰う事だとは思うので、そのくらいの長い目で見て貰えれば。流石に獣人でも寿命はありますので、1代で成せとは言わないので」
「流石はエルフだな。年数の桁が違う。500年もあれば、十分だろう。出来るだけやってみよう。錬金術師の適性があるものに関しては、調べて錬金術師への道を選ぶかどうかも聞こうじゃないか。……だが、どう判別すればいい? 魔力保有量が解る物が欲しいのだが」
「であればこれを。……大体ですが、これで5万を越える魔力量があれば、錬金術師としての資格があります。大まかな数値しか計れないので、5万で基準としていますが、本来であれば、もう少し魔力量が少なくても、錬金術師にはなれます。が、王都まで行って弾かれるのも何だとは思いますので、そのくらいの数値であればと。5万もあれば、弾かれることは無いでしょう」
「そうか。……年齢制限などはどうなっている?」
「11歳から入学可能です。最短で15歳で卒業ですね。ですが、10年くらいは見ておいた方が良いとは思いますよ? なんだかんだと勉強しないといけないことが多いので。上限は無かったはずです。100歳だろうが、1000歳だろうが、入学する事は可能です。……授業料は、魔力が多ければ免除されることがありますが、大体は支払う事になるかとは思います」
「そのくらいは仕方がないだろう。支援して錬金術師になって貰うのだ。金銭的には何とかする。村人に何とかしろと言っても無理だろうからな。支援体制は整えておく。……そのくらいか?」
それがメインの話ではあるが……。それとは別口で、色々とやって貰いたいこともあるんだよな。特に、テッケルンはこれから人口を増やしていかなければならない。産業も大きくしていかなければならない。その為には、人口が増えていかないといけない。だが、人間は逃げる可能性がある。他貴族が引き抜いていくこともあるだろう。それを見越してだが、出来ることはやっておいて欲しいとは思うんだよ。
「それと、植民地については、どの程度の事を知っていますか?」
「西のか? ……状況としては、最悪に近い。日々の生活がやっとだといった感じらしいな。金銭も余裕がなく、食べるものも余裕がない。はっきり言って、地獄だとは思う。あそこで生活するくらいなら、奴隷になった方がまだマシな暮らしが出来るという所だろう」
「それでなんですけど、1000年計画で良いので、植民地の貴族に立候補していきませんか? 正直、今のままでは、植民地を上手く使う事は出来ないとは思います。なので、次男以降の子供を、植民地の方の領主と言う事で、国の方に差し出してはどうかと。……メリットとデメリットがありますが、メリットの方が大きいと判断しています」
「……基本的に、介入しても良い事は無いと思うが?」
「まあ、そうでしょうね。ですが、植民地の北側、未開地という場所があるじゃないですか。そこには、高確率で先代文明の遺跡があります。何故滅んだのか、今となっては解らない所ではありますが、そう言った遺跡が存在します。そこの探索の権利を確保していけば、獣人の発言権が大きくなるとは思いますよ? そもそもですが、人間側が匙を投げているので、領主にしたいと言えば、諸手を上げて賛同してくれるとは思います。……賛同しなければ、自分たちで領主を出せばどうだと言えば、反論は無くなりますからね」
「遺跡はメリットとしては大きいかもしれんが、リスクもある。スタンピードは起こるし、魔物の大暴走も起きる。そもそもそれで植民地が徐々に縮小していっているのは知っているだろう? 何の旨味も無い土地になり下がっていっているのが、今の植民地だ。そこを得る意味はあるのか?」
「貴族家1代で利益を得るのは難しいでしょうね。ですが、そこから全獣人を救い出すのも不可能でしょう。責めて、住めるだけの場所を作らなければならない。クレメンティア子爵家の領地では、とてもじゃないが、獣人を抱え込めないんですよ。エルフやドワーフだけなら、何とかなるんでしょうけど、獣人は数が多い。そう言った状況も考えると、得られる土地が多い方が良いんですよ。将来的な話ですよ? 短期的にはデメリットしかありませんから。長い目で見て、利益がありそうな土地を確保しておくんです。救える命は多い方が良い。まあ、ついでに人間も助けたら良いんじゃないですか? その辺りの匙加減はお任せしますけど」
「……この領地では限界があることも事実。しかし、そう上手くいくものか? 虎視眈々と狙う貴族が増えるだけではないか?」
「植民地が正常化するなら、それで良いんですけどね。まあ、間違いなく、人間にはデメリットしかないので、切り捨てるとは思いますが。欲しいと思った頃には、獣人の貴族たちが、幅を利かせている状況になっているでしょうし。寿命がある程度長い獣人じゃないと、利益を考えるまでいかないとは思うんですよね。……俺が貴族に成れれば良いんでしょうけど、そんな事は不可能なので。俺が出来るのは錬金術くらいですからね。自分の限界は自分がよく解っています。それに、師匠との約束もありますので。レイトーン村を離れることを許されても、500年は後の話でしょうからね」
「まあ、狙うだけ狙ってみるか。どうなるのかは解らんが。同朋が住める土地は多い方が良い。それは解っているつもりだ。まあ、植民地で本当に良いのかも検討しなければならないし、そもそも何百年か後の話だ。早々には手を出せん。それだけの人材が必要になってくるからな」
「直ぐには無理でしょうね。まずはこの領地の地盤を固めることから始めないといけないとは思いますよ。内政をどうやって回していけば良いのか。それを考えるのが先でしょうね。植民地はとりあえず放置で良いとは思います。まあ、植民地で出来ることと言えば、獣人や、他種族を連れてくるくらいですか。その方が結果的には色々と進みますので」
「そうだろうな。なんだかんだと言っても、人材が不足しているのは事実。人材を集めて、町を大きくしていかないといけないだろう。目先の事をやってからでないと、出来ることは増えてはいかない。出来ることを増やしつつ、何とかするしかあるまいよ」
「でしょうね。まずは出来るところから、でしょうね。……それで、最後になんですが、非正規奴隷を扱っている場所を知りませんか?」
「非正規奴隷? どうするつもりだ?」
「同族がいないかどうかの確認をしておきたいのと、潰せるなら潰してしまう方が良いので。あっても害しかないですしね。狙えるのであれば、狙っていこうかと」
「そうか。……幸いなことに、テッケルンの非正規奴隷商人は、処分済みだ。何年も前に処分している。新しくできたと言う事も聞かないな。聞いたら直ぐにでも潰してやるつもりだ」
「……潰すつもりがあるなら安心ですね。徹底的に潰した方が良いので。法に触れるかどうかの非正規奴隷はいなくなった方が良い」
「それには全面的に同意をする。非正規奴隷商人何ぞ、いて貰っては困るのだ。我らの同朋も、非正規で酷い目に遭わされている。そんな事は絶対に許さない」
なるほどな。この町にはいないのか。それならそれでいい。とにかく、他種族を集めないとな。それはやってくれるって話だったし、やって貰おうじゃないか。錬金術師を排出するなら、獣人よりは向いている。魔力の量が多くないといけないからな。簡易で量れる道具はあるとは言っても、正規のものとは違うからな。値段が違い過ぎるんだ。使っている素材も高価なものを使っているし、俺では手が出せないなって思う程だから。高品質な時属性素材まで使うからな。そんなのは、簡単には入手できない。……だから、植民地の方で、良い素材がある場所が無いかと思っているんだけどな。そっちから調達できれば、話は早いんだ。まあ、最低でも1000年後の話である。エルフの寿命が長いといっても、流石に1000年も待つのは厳しい。自分で出来るなら、既にやっているって話なんだよな。大規模に開拓できるのは、貴族くらいしかいないんだよ。




