冷却帽子を売りに出す
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奴隷の冒険者たちが身体能力強化魔法を覚えたのは、6日間訓練をしっぱなしで行った後だった。……早かったのか遅かったのか、微妙な所だ。平均的に見れば、早い方ではあるんだが、訓練しかしていないというのであれば、遅いという評価も出来た。まあ、こればかりは個人差が大きいからな。そもそも魔力が足りないって事にならなくてほっとしているといった感じか。いくら少ない魔力で身体能力強化魔法を発動できるといっても、流石に2桁では厳しいし。最低でも3桁は欲しい。必要以上にあっても無意味だが、無いと困るのも魔力なんだ。
そんな訳で、素材の匂いを覚えて貰って、採取の冒険者として活躍してもらう事に。採取は重要だ。普通の人間の冒険者は、採取をしないし、獣人の冒険者だって、採取をメインにしている訳ではない。あくまでも討伐がメインで、採取は二の次。だから、素材が集まってくるといっても、魔物の素材が多かったんだよな。ここに来て、植物系の素材を沢山卸してくれる冒険者が誕生したのは大きい。何と言っても数が違うからな。順調に育てば、ある程度の強さにはなるんだし、定期的にこう言った冒険者を追加するのも有りなんじゃないかと思えてくる。
まあ、宿屋との兼ね合いもあるんだけどな。徐々にだけど、人間の冒険者も帰ってきているし、宿屋もいっぱいになろうとしている。今は半分以上を獣人の冒険者が占めているといっても、人間の方が数が多いからな。普通は、この前のスタンピードに参加をしなかったんだから、帰って来辛い雰囲気があるとは思うんだけど、冒険者の神経は図太かったようだ。関係ないねって感じで、人間の冒険者が帰ってきている。何度か見た顔が居るなって感じで見ていたからな。本当に帰ってくるんだって思ったけど。俺なら恥ずかし過ぎて帰ってこれないとは思うぞ。まあ、そもそもスタンピードに参加しないって選択肢が無いとは思うんだけど。
素材集めも順調に出来ている。錬金術だって疎かにはしていない。ポラロイドカメラを研究して、作り出せるようにはしておかないといけない。まあ、ある程度の素材は必要になるとは思うんだけど、それでも、ここで入手できない様な素材は使わないとは思う。反転が前提ではあるんだけどな。光属性素材と、風属性素材は手に入らないからな。……なんだかんだと、4大属性と光属性の素材が必要になりそうだって事までは突き止めた。後は試作品を幾つか作ってみてからだな。研究はしたい放題出来る。そう言う環境だからな。空間属性と時属性の素材が入手しずらい事と、死属性の素材がまだ入手できない事を考えれば、もうちょっと何とかなるんじゃないかなとは思うけど。今以上に研究が進むようにするには、色々と考えないといけないことがあるからな。出来る範囲の事はやるつもりでは居るんだけどさ。
さて、春も良い感じの時期になっているし、そろそろ夏の支度をしないといけないよなっていう感じの時。冷却帽子は村人に行き渡ったとは思う。麦わら帽子を売りに来る人も多いし、なんだかんだと買っていってくれる人もいる。多分だけど、売れ行きから考えるに、全員分は行き渡ったと思うんだよ。それなら、輸出を考えても良いと思うんだよな。と言う事で、獣人の商人が来てくれているので、売り込みを開始した。
「こんにちは。肉や野菜は順調に買えているか?」
「おお、これはこれは。順調に買えていますよ。特に肉が多い。テッケルンで事業をするらしいので、肉は多い方が嬉しい。まあ、定期的に買い付けに来るとは思いますが、私には関係のない話になるんでしょうね。それでも、同朋たちが稼げるようになるというのは良い事です。積極的に事業を起こしていけば、ボッテンハイム子爵家を追い落とした後もスムーズに移行できるでしょうね。良い事だとは思います。こっちにも儲け話があれば、言う事が無いのですが。どうにも既存の商人とは違う方式で行う様なんですよね。肉類を専門で扱う商人と言いますか、専属の配達人というべきなのか。それでも肉は枯渇しないのでね。ここは良い狩場なのでしょう。肉が枯渇しないというのは良い。色んな町や村で、肉を卸すことが出来ますからね。そう言う場所は少ない。肉も定期的に食べられる人たちの方が稀なのです。この村は恵まれていますよ。買い付けに来る回数も増やそうとは思っているんですが、中々上手くはいかないですね。どうしても立ち寄らなければならない町や村が多くてですね。結局は、同朋が優先な訳ですが、こればかりは譲れないので。ええ、何とも苦しい事ではあるのですが、商人として儲けたい気持ちはあるのです。ですが、肉類を扱っても、限度というものがありますからね。肉とは別のものを考えないといけないとは思うのです。マジックバッグに入れなくても済むものが良いんですがね」
「おや? そう言ったものをお探しですか。実は、こちらもそう言ったものを用意してきたんですよ。マジックバッグに入れなくても良くて、これからの時期には欲しいものがあるとは思うんですよ。これからは、暑くなっていきますよね? そうなると、どうしても農作業が出来なくなってくる。暑すぎて外に出るのが億劫になってくる。部屋の中に居ても暑い。そうなってくる季節ですよね?」
「そうですね。段々と気温が暖かくなってきたのは良いですが、そろそろ暑いといっても良くなってくるだけの気温になってきています。日影が恋しくなってくる時期ですね。風があれば、まだまだ過ごすのは良いとは思います。ですが、風も無く、日陰も無いという状態になってくれば、少しばかり辛くはなってくるでしょうね。これからもっと暑くなっていきますし、何とかする方法があれば、とは思いますが、簡単にはいかないのでしょう?」
「いえいえ。実は簡単なのですよ。これが商品なんですが、これを被ると、ひんやり涼しくなるんです。そう言った帽子になるんですよ」
「……ふむ? ただの麦わら帽子にしか見えませんが?」
「被ってみると解ります。どうぞ、被ってみてください」
「では、失礼して。……おお、なるほど。確かにひんやりと涼しくなりますね。これは錬金術で?」
「そうなりますね。冷却帽子というものです。これからの時期は、欲しいと思いませんか? 屋外での作業は勿論ですが、室内も暑くなります。暑いと体調を崩す可能性もありますからね。これを被れば、それらの懸念は一気に解消させるのですよ。流石に寝る時には外さないといけないですが、これだけひんやりとするのです。……まあ、流石に足元までは涼しくなりませんが、上半身くらいは涼しくなります」
「良いですね。麦わら帽子も量産がしやすくて助かるでしょう。……ですが、錬金術で作られているのですから、それだけお高いのでは? 錬金術で作られるものは高価なものが多い。これも麦わら帽子は良いとしても、錬金術での技術料が多く必要になるのでは?」
「確かに、普通の麦わら帽子に比べれば高いです。麦わら帽子は農村であれば、何処でも作っているようなものですが、加工をしていますからね。確かに技術料は発生します。しかし、これは農村でも売れるというか、冒険者にも売れるのですよ。冒険者だって、暑いのは嫌でしょうからね。これからの時期には必要だとは思いますよ? ただ、鉄のヘルメットを被るような冒険者には向かないでしょうが、それ以外の冒険者にも必需品となってくれるでしょう。ですが、技術料も含めて、銀貨2枚です。農村の人たちも手が届かない訳ではないとは思いますが? 輸送代を込みにしても、それなりに利益が出つつ、売り物にもなるのではないですか?」
「……銀貨2枚とは。また結構な弱気での値段ですね。普通であれば、儲けを出すために、銀貨8枚程度でも売れるとは思いますよ? 勿論ですが、冒険者にです。農村では買えないと言う事になるでしょうね。銀貨8枚もあれば、優雅な生活が出来ますから」
「ですが、これは農村の人にこそ必要なものだと思うのですよ。……麦わら帽子を作っているのはこの農村の人たちです。麦わら帽子を買い取り、この冷却帽子を売る。これがサイクルになっているのです。後は、冒険者の皆さんに売るだけになるんですよ。それもこれからは売ろうと思っています。この村の人々は、既に冷却帽子を買い揃えたので」
「……なるほど。量産体制が整っていると、そう言う事ですか」
「そう言う事ですね。しかも、商人が扱う事で、一気に販路を増やすことが出来るとは思いませんか? 錬金術師に麦わら帽子を売り、冷却帽子にしてもらってから更に転売する。そうする事で、より儲けることが出来るとは思いませんか?」
「確かに。儲けることは出来るでしょう。ですが、それも一時の話。冷却帽子が行き渡れば、それも出来なくなる。違いますか?」
「実はそう上手くはいかない、と思いがちなのですが、素材の単価を安くすることで、効果が3年程度しか続かないのですよ。勿論ですが、高額な素材を使う事で、永続的に冷却帽子にする事は可能なのですが、今度は麦わら帽子が壊れてしまう。麦わら帽子は消耗品ですからね。毎年作り変えているという家庭も多いのではないですか? であれば、毎年のように買う事も考えた方が良くなります。勿論ですが、錬金術で加工しているので、壊れにくくはなっています。ですが、それでも3年も使えば良い方なのですよ。農家であれば、そのくらいの期間で済みますが、冒険者になってくると、もっと使用期間は短くなるでしょうね。破損も簡単にするでしょうし」
「ほう。なるほどなるほど。素材の質を落として、効果が切れるようにしてあると言う事なのですね。それであれば、毎年の様に需要がある。保管に関しても、そのまま保管すれば2年は持つわけですから? そうなると、買い換えるタイミングは来ると。ですが、全体に一気に売ることは不可能。そうなれば、毎年のように利益が出る。……確かに商売としては美味しいですね」
「でしょう? 冒険者なんて1年で壊すでしょうし、売るなら今が売り時です。しかも、一度買ったら、2度目も買わないといけない商品ですから。需要はあるんです。強い冒険者でも、3年しか使えないのですから、弱い冒険者であれば、破損し、1年で3個4個と買う可能性もあります。ですが、使わないという選択肢はないはずです。特に狩場が草原など、日を遮るものが無い所なんかでは、需要がかなりあるでしょうね。この地の冒険者には、必要ない可能性があります。3方ともに森で、東に関しては、湿地帯も兼ねていますから。ひんやりとはしているでしょう。……ですが、他の地方の冒険者には必要なのではないですか?」
「確かに。持っていく所によっては、かなりの需要が見込めます。それがここでは銀貨2枚。真似される危険性もありますが、そもそも農村に錬金術師が居ることも珍しいですからね。皆さん、なるべく町に住みたがりますから。そうなると、単価が上がりますね。間違いなく。素材の単価も、町の方が高いですから」
「そうなります。真似できるとすれば、村に住んでいる錬金術師が居る事。近場で水属性素材が取れる事。この2点が最低でも必要になってきます。そういう所では、需要は見込めないですね。……逆に言えば、そういう所で、この冷却帽子が補充できるとも言い換えることが出来ますが」
「ほうほう。……確かにそうですね。ここでいくら量産したところで、需要に追いつくことは不可能。それであれば、他の農村も巻き込んで、大量にこの冷却帽子を手に入れることが出来れば、利益は大きくなりますね。村に行く商人も少ないですから、独占販売も可能になる。まあ、同朋たちには扱ってもらいますが、それ以外の商人を締め出すことも可能になりますね」
そうなんだよな。作れるところは、多くあるとは思う。ただ、ここまで安く仕上げるには、村に錬金術師がいて、且つ、水属性素材が取れなければならない。俺の利益はそこそこしかない。でも、これを基準にすれば、これ以下で受ける錬金術師はいないはずだ。ならば、俺の利益も確保できる。同時に、需要分もある程度は確保できるようになる。……まあ、それでも、需要を満たすような事にはならないとは思うけどな。冒険者は平気で壊すだろうし。町だと単価が高くなるから、利益率はよろしくないとは思う。
要するに、俺は得しかない訳だ。商人も得だろう。運べば売れるんだから。……多分だけど、これじゃあ町の人には売れないとは思う。町は町用の冷却帽子を作れば良いとは思うけどな。おしゃれな冷却帽子を被れば良いだけの話である。まあ、単価は高くなるんだろうけどな。それでも、錬金術師を選べば、ある程度は需要を掘り起こしつつ、利益を確保できるだろう。
「需要はある。供給は追いつかない。そう言う商品になります。であれば、儲かるしかないでしょう? 夏場を耐える様な冒険者も居るでしょう。ですが、出来れば快適に過ごしたいものですからね。無限の需要がある訳です。商品としては最高の品だとは思いませんか?」
「扱いましょう。本当に1つ銀貨2枚で良いのですか? もっと利益を得ることが出来るとは思いますが?」
「その金額で問題ないですよ。それだけで儲ける訳にもいかないですからね。……巻き込めるのであれば、色んな村の錬金術師を巻き込んでやってください。需要はそれだけあるはずですから」
「巻き込んでいきましょう。こういうのは発想力が勝負になりますからね。遠くは切り捨てるしか無くなりますが、近場は同朋たちだけで商売をしてしまいましょう。幸いにも、草原の狩場に心当たりがあります。そこで高値で売りさばきましょうか。……いい商売になりそうですよ。他の同朋にも、同じ話はしておきますので」
「ええ、お願いします。出来れば、一緒に儲けようじゃないですか。農民にも、麦わら帽子の作成費用を渡していますので、村人も儲かることになりますからね」
「損をする人がいないのは良い事です。ここの村人は獣人にも差別なく接してくれるので、大変ありがたいのですよ。そんな期待を裏切らない様にしなければいけませんね」
そうしてやってくれ。村人だって、麦わら帽子で稼げるようになれば、生活が楽になるとは思うんだよ。子供たちだって、夏場に熱射病になる人数が少なくなるだろうしな。特に今年は素材集めに頑張るんだろうから、熱射病が怖い。それを防止できるのであれば、した方が良いからな。俺だって儲けが出ているんだから、大丈夫だ。これで儲けが出ないって方がおかしいんだけどな。加工をしているだけなんだから。まあ、失敗する様な腕なら、もしかしたら赤字になるのかもしれないけど、それは俺の知った事ではない。相手の腕を考えないといけないなんてことはしない。出来る前提の話である。そのくらい、錬金術でも簡単な部類だからな。俺なら纏めて20個くらいは作成可能だ。ベテランなら、もっといくんじゃないだろうか。それくらいの難易度だからな。




