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反転の錬金術師  作者: ルケア


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作戦会議

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 何とかして、スタンピードを抑えなければならない。発生する事は確定。被害が出ることも確定。であれば、何とか最小限で食い止める方法を模索しなければならない。何とかしなければ、この村は壊滅する。それは避けなければならなかった。……ボッテンハイム子爵家が援軍を寄こすとは思っていない。見捨てたのか、そもそも気にしていないのかは知らない。情報収集も出来ない様な雑魚なら、追い落とすことも簡単になるからな。それとしては朗報なんだ。秋にも反乱が起こる。それを成すのは獣人たちだ。獣人が貴族として、認められるのかどうかという所なんだけど、これは認めざるを得ない状況に持っていく。その為にも、今回のスタンピードは丁度いい。幸いなことに、調査をした結果、ボッテンハイム子爵家の領地で、ホーンデッドラビットが出るのはここだけだ。ならば、ここを防衛した実績を込みで、獣人たちを貴族へと昇格させる。……使える手段は何でも使うつもりである。まあ、師匠の名前も使っても良いだろう。王都で動いてもらう必要があるが、面倒くさがりの師匠が動いてくれるかどうかなんだけど、酒が定期的に手に入る様になるいい機会だからな。師匠としても動いてくれるはずだ。動かなければ酒が届くのが遅れると伝えてやれば良いだけの話である。まあ、事実ではあるんだが。


 そして、宿屋の食堂で、作戦会議だ。今回の指揮を執るのは、オーロンドたちと決まっている。俺はオブザーバーというか、単純な戦力として数えてくれればいいと伝えてある。まあ、最前線を任されることになるんだけどな。最前線は、俺とオーロンドたちのパーティーと、もう1つのCランクパーティーだ。合計10人でまずは粗方のホーンデッドラビットを無力化する。……まあ、数が多すぎるので、簡単に無力化とはいかないが。俺が魔法で何とかするといっても限度があるからな。まあ、便利に使ってくれれば良いとは思う。出来ることはやってしまうべきだからな。


「今回の全体指揮を担当するオーロンドだ。まあ、皆知っている顔だからな。だが、改めて話をしておかないと不味い。スタンピードというのは、それだけ厄介なんだ。まずは錬金術師である、サンルーグからスタンピードの簡単な説明を頼む」


「解った。基本的な事だからな。知っているものもいるだろうが、とりあえずは最後まで聞いてくれ。まず、今回のスタンピードは1種型だ。場所型と1種型があり、1種型は特定の魔物が同時多発的にスタンピードを起こすことで有名だ。故に、ここ以外の土地でも、スタンピードが起きていると言う事を認識しておいてくれ。……情報は既に貴族に伝わっている。他の地は何とかなるだろう。だが、ここは別だ。ボッテンハイム子爵家は、軍を動かそうともしていない。すなわち、ここには援軍が見込めない。ここに揃っている冒険者だけで何とかしなければならないと言う事になる。時期は、恐らくだが5日後くらいになっているはずだ。それまでに、何とかして集めて貰ったのが、これだけの戦力だ。100にも満たない戦力ではあるが、しっかりと連携を取れば、無事に収めることも出来る筈だ。話が逸れた。今回の魔物はホーンデッドラビット。それの1種型スタンピードだ。最低でも500は出てくるだろう。最大を考慮すれば、1万くらいまでは出てくるかもしれない。1人100体倒せば終わりだと思ってくれていい。そのくらいは狩らないと終わらないからな。スタンピード中は、魔物は狂化状態になる。ダメージを負っても、怯むことはない。だから、一撃で絶命させる必要があるんだ。まあ、それ自体は簡単だな。だが、連戦でそれが出来るのか。可能なのかと言う事ではある。皆には身体能力強化魔法を覚えて貰っている。恐らくではあるが、皆は第一段階までは普通に強化出来ているはずだ。第一段階は、普通に強化が出来る事。これが出来ないと、身体能力強化魔法を使っているという状態にならないから、これは出来ているはずだ。この戦いで意識して欲しいのは、第二段階。特定の部位に魔力を集め、高速回転させることで、非常に効果を高めることが出来る。それを実戦で何とかしろ。でなければ怪我をするからな。それが出来る様になれば、第三段階に進めるんだが、それはまた今度だ。実戦で出来る様になるには、時間がかかるだろう。このスタンピードで出来る様になるとは限らない。が、出来なければ仲間に負荷をかける事になる。自分で出来ることは自分で何とかしろ。そうじゃないと、頼ってくれる仲間が怪我をする事になる」


「まあ、そう言う事だ。簡単に纏めると、スタンピードはここにいる全員が戦力だ。ボッテンハイム子爵家の援軍は来ない。限界以上の力を発揮しなければ、同朋がやられるかもしれない。これだけ覚えておけば十分だ。なお、万が一に備えて、サンルーグが村と森の境界線に土壁を作る。一部は壁がない。それが北側だ。そこから雪崩れ込むようにやってくるはずだ。土壁にぶつかったら死ぬだろうから、放置で良い。俺たちは村に雪崩れ込んでくるホーンデッドラビットを処理すればいい。最前線には、俺たちと、クライムたち、サンルーグの10人だ。まずはサンルーグが魔法で数を減らす。それを俺たちが更に数を減らす。その後の処理を、残りで行ってもらう。残りの処理をミスるなよ? 1体でも後ろに通したら死者が出る。その事を心に刻め。俺たちの後ろには、1体たりとも通さない。それは覚悟しておくように」


 作戦は至ってシンプル。開幕から俺が全力で魔法をぶちかます。殺傷力を高める方が良いので、風属性魔法を使う。狂化状態で無ければ、水属性魔法が有効なんだが、無心で突っ込んでくるからな。水では止められない。風で切り裂く方が良いとは思う。それで2割くらいは削れるはずだ。そこを近接攻撃で更に1割止める。勿論だが、出し惜しみは無しだ。ネガルドウルフとダイヤウルフのソウルカードも使って、俺だけで3割の足止めを行う。可能であれば、もっと止めてやりたい所だが、3割が限界だろう。1種型の悪い所は、津波の様に魔物がやってくる事なんだ。足並みはある程度揃っている。第1ウエーブが来て、第2ウエーブが来てって感じでやってくる。これが場所型なら、ある程度疎らにやってくるんだけどな。厄介だと言われているだけあって、1種型は面倒ではある。


 一応は、最大で100ウエーブまでと決まっているらしい。1ウエーブに100体くらいが限界って感じだな。ただし、ウエーブの感覚が極端に狭い可能性もあるので、マジで恐怖しかないって感じになってくる可能性も十分にある。俺たちは最前線で戦う。後ろは任せることが出来る。オーロンドたち9人が、1割を止められるかどうかという所だとは思う。残りの6割は後方で待っている獣人たちが狩らないといけない。一応ではあるが、スタンピードは長くて3日だと言われている。3日くらいは何とか寝ずに最前線で戦わなければならない。最前線組が休むことは出来ない。常に全力で、常に最大の効果を狙わないと、後方が崩れる可能性がある。何処までやれるのかは未知数だ。しかし、出来ないと弱音を吐くことは出来ない。皆が皆を信じるしかないんだ。後方組は、交代で休めるかもしれないって程度だな。


「さて、覚悟は出来たか? 俺たちがやらないと、村が無くなる。俺たちがやらないと、獣人の明日は来ない。俺たちだけでやるんだ。気合を入れておけよ。1体でも倒せなければ、村の信用が落ちる。1人でも殺されれば、村の信用はガタ落ちだ。そんな事じゃあ、ボッテンハイム子爵家を追い落とすこともできない。俺たちの出来高が、今後の未来を決めると言ってもいい。出来る限りじゃない。出来ない所まで手を伸ばせ。そして掴んで見せろ。俺たちだってやれるんだってことを、証明してやるしかない。同朋を貴族に押しやるには、そのくらいは出来なければならないんだ。俺たちがやらなければならない。絶対にだ」


「死ななければポーションで回復する事は可能だ。後方陣地には、ポーションをたっぷりと置いておくことになっている。死にそうになる前に倒せることが前提ではあるが、死にそうになっても何とかなるだけのポーションは置いておく。ああ、基本的には防御は無しだ。ホーンデッドラビットは、胴長と長手袋をしていても、ダメージを与えてくるからな。即死はない。だが、骨が折れるくらいはやってくる。体にダメージが残るから、盾で受けることも禁止だ。それだけホーンデッドラビットの角を使った突進は危険だ。鉄の盾くらいなら、普通に貫通してくるからな。それと、ホーンデッドラビットの上位種が出てくる事になる。1種型のスタンピードでは、よくあることだ。全体の1%程度が上位種へと進化している。名前はスクリューホーンラビット。ラビットとは思えない様な巨体で、突進してくる。立ち木くらいなら突進で圧し折ってくるはずだ。そいつの突進を受けたら、流石に胴長と長手袋をしていても、穴が開くからな。こっちで出来るだけ倒すように心がけるが、後ろにも行くと思っておいてくれ。最前線組も万能ではない。ある程度の事は出来るとは思うが、どうしても通してしまうかもしれない。対処は任せる。死ぬんじゃないぞ」


「いいか? 俺たちは、自分が最前線であり、最後尾だという覚悟で戦え。俺たちも何とか数を減らす。が、絶対に全部は狩れない。1体でも多く狩ってやるつもりで戦うが、最後の方は多分だが、気力で立っているのが精一杯になるだろう。悔しいが、今の俺たちはその程度の実力しかない。だが、出来ることはやる。出来ない事もしてみせる。だから、お前たちも気合を入れて何とかしてくれ。いいか? 1体でも後ろに通せば、獣人の貴族は認められないと認識しろ。這い蹲ってでも、抜かれるな。これから質問を受け付ける。何かある奴は挙手で頼む」


 そこらへんから挙手がされる。全員で何とかしないといけないことは共有した。何とかしないと、村が滅ぶからな。スタンピードで滅ぼされる村や町は、最近だと少ない。けど、ない訳ではない。ここがそうならないという絶対の保障はない。だから、1体たりとも通してはいけないんだ。村には、今回のスタンピードで自分が死ぬかもしれないと思っている人も居る。ボッテンハイム子爵家が援軍を出さなかったことで、かなりの不満と不安を抱えている。これは、ある種のチャンスでもあるんだ。獣人たちが、守り切ることが出来れば、貴族として認めて貰える可能性があるからな。少なくとも、この村は歓迎するはずだ。スタンピードから守った実績があるんだからな。まあ、守り切れればって話ではあるが。人間の冒険者の信用は地に落ちている。ボッテンハイム子爵家の信用も同じだ。後は獣人たちの働き次第だ。これで結果が出れば、面白い事になるだろうな。


 質問は止まらない。出来ることの確認をしなければならないからな。出来ることは出来るだけやる。出来ない事も、協力して何とかしなければならない。……こういう時に、圧倒的な武力があれば良いなとは思う。俺がもっと強ければとは思う。けど、無いものはどうしようもない。努力で何とか穴は埋めてきたつもりだ。出来る限り歯を食いしばって色々と出来ると事を増やしてきたつもりだ。それでもまだ、足りない。俺のランクを表すならば、Aランク冒険者という感じだろう。Sランク冒険者になるには、それ相応の理不尽さを持っていなければならない。身体能力強化魔法リミットブレイクさせても、一時的にSランク冒険者クラスの強さを手に入れるだけだ。本物とまがい物とでは全然違うからな。短期決戦だったら、それでも良いのかもしれないけど、スタンピードは最大3日、72時間あるんだ。それを耐えきらなければならない。リミットブレイクの時間制限は、大体5時間から6時間と言ったところだ。連続使用しなければ、もう少し長く使えるとは思うが、それでも10時間も使えば、体が持たない。出し惜しみはしない。けど、使いどころは見極めないといけない。まず間違いなく、スクリューホーンラビットが出たら、使わないといけないだろう。それだけ、種族的に進化してしまえば、一気に強くなると言う事なんだ。ゴブリンでも厄介だ。コボルトでも厄介だ。それ以上に厄介なホーンデッドラビットのスタンピードだ。決して油断は出来ない。出来ることは何でもしよう。出来ない事も、機転で何とかしてみせよう。頑張るという言葉は、月並みでしかないが、本気で頑張る以外の何ものでもないんだ。本気でやらなければ、被害が出てしまう。そんな事は解っている。だからと言って、限界を越えろというのは、はっきり言って無茶なんだ。


 でも、無理でも無茶でも、通さなければならない時がある。……錬金術師のやることなのかと言われれば、違うんじゃないかとは思うが、仕方がないだろう? 今回こうなっているのは、半分以上はボッテンハイム子爵家のせいなんだから。そんな貴族はとっとと潰してしまえば良いんだ。足を引っ張る味方ほど、厄介なものは無い。まあ、味方なのかって言う疑問がそもそもある訳なんだけどな。ここに使える人間の冒険者が居てくれれば、多少はマシだったのかもしれないけど、そもそも居ないんだから仕方がない。他の狩場には居るんだろうとは思う。まあ、普通に考えたら、貴族が援軍に着ている筈なんだけどな。有事の際に、使える軍隊を用意しているはずだからな。ボッテンハイム子爵家は知らないけど。


「よし。これで準備は整ったな。いいか? 俺たちの今後を左右するといっても過言じゃない。ボッテンハイム子爵家は俺たちを見捨てた。なら、俺たちがここを救って、ボッテンハイム子爵家と成り代わる。俺たち獣人から貴族を出すんだ。その為に、命をかけてくれ。ここで頑張れば、俺たちの理想としている暮らしが待っているかもしれないんだ。その理想のために、ここで死兵となってでも食い止めろ。俺たちは、今後生きる同朋たちの礎となるんだ。いいか? 個人的に生き残れるかじゃない。俺たち獣人が、何不自由なく生きていくのに、必要なんだ。その為に、命をかけてくれ。死ねとは言わない。だが、ただで死んでやるとは思うなって気概で居てくれ。俺たちの宿願、はたして見せようじゃないか。全ては仲間のために。何よりも、理想のために!」


 ……一応は、生き残ってくれないと困るんだけどな。というか、死兵は流石にちょっと。死んでも止めないといけないが、死んだら元も子もない訳で。いや、覚悟はその通りなんだけど、獣人がいうと、洒落にならないというか。真面目に同朋のために死ねと言われたら死ぬ人たちだからな。子供を生かすために、親が自分を食べろというのが獣人だ。血肉を啜ってでも生き残れというのが獣人だ。そんな獣人が死兵になったら、割と洒落にならない。覚悟って事で何とかしておいてくれないか? 重要なのは解っているんだけど。でも、一応ね?

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