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反転の錬金術師  作者: ルケア


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商人がやってきた

OFUSE始めました。

https://ofuse.me/rukea


ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。

https://rukeanote.hatenablog.com/


さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。

https://twitter.com/rukeanote

 とりあえず、商人がやってきたと言う事で会いに行くことに。何を扱っているのかとか、気になることは多くあるからな。そんな訳で、村長の家にやってきた。基本的には、商人は村長の家に滞在するのが普通だ。まあ、長く居座ることは殆どない。売るものを売って、買い物が終わり次第帰る。長くても5日ほどの滞在で帰るんだ。次の村や町を目指さないといけないからな。


「こんにちは。村長、居ますか?」


「居るぞ。……なんだ錬金術師か。何か用か?」


「獣人の商人がやってきたと聞きまして。何処に居るのか教えてくれませんか?」


「ふむ。今日は雑貨屋に売るものを売って、同朋の肉屋を見に行くと言っていたな。野菜の買い付けに関しては、明日を予定している。確か錬金術店にも野菜が沢山あったはずだな? それを売るのは明日にしてくれ。纏めて売らなければ、誰がどれだけ売れるのかが解らなくなるからな。皆が平等に売れなければ、在庫を抱え込むだけになってしまう。それだと勿体ないだろう? だから皆で纏めて売るんだ。各農家には伝えたし、レジエナにも伝えたが?」


「……入れ違いになりましたね。まあ、それは良いんですけど、肉屋に行ったんですね。それじゃあそっちに行きます。ありがとうございました」


「礼には及ばんよ」


 雑貨屋に商品を卸しに行って、肉屋で買い付けにとなれば、肉屋で合流した方が良いな。話もそこで出来るし。商人とはあっておかないといけなかったからな。マジックバッグを買ってもらえるのであれば、買ってもらうし、買えないのであれば、貸してしまっても良い訳だ。借金を返すのは、何時でも出来るんだからな。……まあ、金にはあまり困っても居ないので、回収できなくても問題にはならないんだけどな。使い切れないだけの金はある。師匠が馬鹿みたいな額で、マジックバッグを売りさばいたからだ。俺の手元にもそれなりの資金があるんだよ。


「こんにちは。商人は来ましたか?」


「おお、錬金術師の旦那じゃねえか。なんか同朋の商人が来たらしいな。それは知っているが、ここには来ていないぞ? ここに来るのか?」


「今日はここに来る予定らしいぞ。これで肉が売れるな。結構な大口になってくれるとは思うし、大量に卸してしまっても構わないとは思うぞ」


「肉が売れるのは良い事だな。ここには売るものが肉しかないし。そろそろ資金的にも苦しくなってくるんじゃないかって話をしてたんだよ。皆野菜で買っていくからさ。肉が売れるのは良いんだけど、金が入って来なくてさ。これじゃあ買い物も出来ないんじゃないかって話していたんだ」


「ああー。物々交換が主流だろうからな。雑貨屋もそれで良いとは思うんだけどな。雑貨屋も野菜をテッケルンまで持っていって、商売をしているんだし」


「それは解っているんだが、野菜が通貨として機能するのかって言われると、違うだろ? 野菜は腐るんだ。何時までも使えるものじゃない。食べちまわないといけないからな。雑貨屋に、足が早い野菜で物々交換するのは控えてたんだ」


 ああ、そうか。通貨の知識がちゃんとあるから、野菜を通貨として扱う事に疑問を持ったのか。それは正しい。野菜は通貨じゃないからな。腐るものは通貨としては不十分だ。腐らない野菜は存在しないからな。疑問はもっともだ。まあ、慣れろとしか言えないが。村社会では当たり前の事だし。俺も物々交換には慣れないけど。価値が一定じゃないんだから、扱いに困るんだよな。価値はどんどんと目減りしていく。そんなものを通貨にしても良いのか。当然出てくる疑問だな。まあ、村ではそうしないと、お金を手に入れる手段が少ないんだけどな。商人が来ないと、どうしてもお金を稼げない。だから、物々交換が当たり前になっていくんだけど。……前世でも、田舎に行けば、そう言う事もあるらしいが、それって一種の脱税なのでは? と考えたこともある。節税と言えば聞こえはいいが、要は、お金を動かさずに物を動かす行為になるからな。貨幣経済で成り立っている国からすれば、立派な脱税行為である。小規模なら問題ないかもしれないが、大規模にやられると困ってしまう。税金が入ってこないって事になるからな。


 気になるのは解る。だが、郷に入っては郷に従えともいう。慣れるしかないんだ。村では当たり前の事なんだ。町で大々的にそんな事をしたら、絶対に役人に捕まるからな。税金が取れないんだから当たり前である。物々交換でも、貨幣が動いたと言う事にしないと、国庫に入ってこないから。国が儲からないのは、国が避けたいことの1つでもある。そうしたいのであれば、ちゃんと教育しろよとは思わないでもないんだけどな。


「気持ちは解るが、野菜も通貨として考えないと、村ではやっていけないぞ。町ではあり得ないかもしれないが、村では当たり前のようにこの様な事が行われている。俺たちの方が慣れていかないと、村人はこれが常識だと思っているからな。こっちから歩み寄るしかない」


「まあ、解っているんだけどな。……マジックバッグがあるから、肉屋も運営できているんだし、農民にもマジックバッグを配るのはいけないことなのか? そうすれば、ある程度は腐るって事を防げるとは思うんだが」


「流石にそれは難しい。農家と言っても50世帯くらいは居るんだ。それ全部にマジックバッグを配るのは、出来ない訳ではないが、マジックバッグの価値を考えるとな。獣人は300年400年生きるから、借金は返せるだろうが、人間は普通に生きていれば50年で死ぬ。それでは借金が返せない。子供に借金の話をしなければ、子供も借金を返さないといけないと言う事に気が付かないまま、次の世代にいってしまう。人間では、サイクルが早過ぎるんだ。だから借金が返ってこない事もあり得る。別に俺はそれでも良いんだが、そうなると、律儀に返している人と不公平感が出るだろう? それは避けた方が良い。村社会では、全員が平等であった方が良いんだよ。だから、無いなら無いで揃えた方が良い。無論、マジックバッグを持っている方が得ではあるんだけどな」


「あー。寿命か。確かに人間はすぐに死ぬからな。借金も返せないか。農家ってそんなに儲かる仕事でも無いもんな。肉屋に関しても、儲かるのかって言われると、微妙な所はあるけど。でも、何代かかっても、借金は返すからな。それが獣人ってもんだ」


「獣人からは、踏み倒しの危険性は殆どないって解っているから貸せるけどな。種族単位で借りているという感覚で居てくれるから、踏み倒しを警戒しなくても良いんだよ。まあ、こっちもマジックバッグを売りたいからな。買ってくれる人を探さないといけない訳で。マジックバッグは無限にでも作ろうと思えば作れるからな。素材さえあれば、作れてしまう。それがいけないんだろうけどな。作れば、一生ものだからな。消耗品なら、もう少し安くなるんだろうけど……」


「商品としては、一生ものの方が厳しいのか。まあ、それはそうか。普及しきったら終わりだもんな。肉と違って無くならないし。皆が持てば、話は変わってくるんだろうが、それは一体何年後の話になるんだって事でもある。1人に1個のマジックバッグが持てる時代が来るとして、それは何時ぐらいになるんだ?」


「軽く考えて、技術革新が無ければ、100万年後だな。誰も生きては居ない。寿命が長いと言われる種族であっても、どれだけ生きても1万年って話だしな。寿命がない種族はない。永遠に近いだけ生きると言われていても、永遠ではない。終わりは必ずやってくる。それが人という生き物だからな。まあ、それまでには、何かしらの技術が開発されて、マジックバッグが1人1個の時代が来るんじゃないかとは思うけどな。今は素材の入手難易度が高すぎる。それを解消できるようになれば、一気に普及するはずなんだけどな。素材が高いから、マジックバッグの価値も高いんだ。……最低でも白金貨30枚もするんだからな。最低品質のマジックバッグでそれだ。それを金貨1枚くらいまで値段を落とすことが出来ないと、マジックバッグが普及するなんてあり得ないとは思うが」


 マジックバッグは有用だ。だから、全員に持たせれば、色々と解決するんだろうとは思う。けど、そんな事は不可能だ。今の値段で買える方が少ないからな。金貨1枚くらいまで、コストカットしなければ、一般人にまで普及させることは難しいだろうとは思う。まあ、何とか出来るとしても、技術が進まないと無理だ。空間属性と時属性の魔石が必要になってくるからな。魔石で良いのが救いだな。これが素材しか駄目だとなると、一気に難易度が上がる。これでも十分に安くなっている方なんだよな。高く売ろうと思えば、幾らでも高く売れるんだし。


 そんな事は解り切っているから、皆が欲しいんだけどな。空間が拡張されて、入れているものの時間が止まるんだ。必要ないという人の方が珍しいんじゃないかな。料理だって、暖かいまま入れておけば、暖かいままに提供できるようになる。飯屋だって、回転効率が上がるし、利益にも繋がる。少し考えれば、沢山利用できるんだ。利用しない方が勿体ないからな。マジックバッグを無限に製造できれば、誰も生活に困らないと言う事に出来るとは思う。食料だって、普通に余り始めるだろうしな。マジックバッグが無ければ、食料の供給にも支障が出る。今は生産過剰なのかもしれない。けど、輸送を考えると、ギリギリの生産量だって事もいえるんだ。生肉の需要は何処からも出てくるし、新鮮な野菜の需要もある。マジックバッグが普及すれば、それらの心配は無くなるだろう。その代わり、物の価値がもの凄く落ちるんだろうけどな。農家では食っていけない可能性が出てくる。食料が余ると言う事は、そう言う事だ。食べ物の価値が落ちて、生産者が居なくなり、食料が足りなくなって、国が滅びる。マジックバッグを普及させすぎるのも考えものなんだよな。


「マジックバッグが貴重ではない世界になると、物価が壊れてしまう。それでは世界が滅ぶんだ。だから、一生普及しない方が良いのかもしれない。今くらいが丁度いいんじゃないだろうか。こればかりはやってみない事には解らないだろうけどな。作り過ぎて、食料が大量に余って、それでも食料を作り続ける必要があるのかって事になってくるだろうからな。……本来であれば、土の栄養が足りなくなって、砂漠化が始まるのかもしれないけど、それも魔物肥料で解決できるからな。食料生産が出来すぎると、最終的には滅ぶしかなくなる、かもしれない。やってみない事には解らないけどな」


「俺には考えられない世界だなあ。食べ物があり過ぎて滅ぶってのが想像がつかない。金があれば、食料が買えるんだし、誰も困らない様な気がするんだけどな」


「……まあ、考えすぎているだけなのかもしれないけどな。そう言う事もあり得るんだって覚えておいてくれ。まあ、マジックバッグが1人1個なんて時代は来ないとは思うが」


「こんにちは。ここで同朋が肉屋をやっていると聞いてきたんだけど」


「おっと! 待ってました! 俺たちが肉屋をやっているんだ。どれだけ買ってくれるんだ?」


「うーん。雑貨屋で思った以上に物が売れたから、結構買っても良い気はするけど、生肉なんだよね? それだと足が早いから、テッケルンまで持てば良い方だと思うんだよ。だから、沢山は買えないかな」


「それでなんだが、俺の話も聞いてもらえないか?」


「ん? 貴方は?」


「この村の錬金術師だ。それで話は通ると思うんだが」


「ああ、貴方が。この度は同朋が世話になりました。こういう人も居るんだって事は知っていましたけど、それでも有難い事ですからね」


「まあな。獣人は横の繋がりが強いし、義理堅いからな。こちらも利用させてもらっているんだ。それについてはお互い様だ。こっちも獣人の冒険者たちにはやって貰いたいことがあって、手を差し伸べているんだからな。お互いに頼り合い、お互いに利用し合えば良いとは思う。片方に寄りかかるのはよろしくない。どちらかに頼りっ放しになれば、関係が壊れてしまう。出来れば、今後も商売として、関係を続けていきたいとは思う。まあ、困っていれば助けるし、助けて欲しい時には助けてくれとは言うがな」


「……なるほど。考え方は商人のそれに近い所があるという感じですか。その方が信用できますね。利益を求めない関係ほど、怖いものはありません。同朋とであれば、それで良いんですが、他種族の方となると、どうしても信用が出来ませんからね。利益を産む関係であって貰った方がこちらとしてもやりやすいですよ。それで? どういう話なんですか?」


「こちらも単刀直入に言おう。マジックバッグを買わないか? マジックバッグを買えば、一気に問題は解決するとは思うんだがな。農家からも野菜を買う事になっているだろう? それもマジックバッグがあれば、一気に解決する。肉だって、野菜だって、腐らせることなく持ち運べるようになる。商人としては、それ程有難い事は無いんじゃないかと思ってな」


「なるほど。マジックバッグですか。確かにあれば便利ですし、問題の殆どは解決しますね。……ですが、それでも問題があります。マジックバッグは、作り手によって、容量が違いますし、そもそも最低でも白金貨30枚からです。しかも、最低の物であれば、そこまでの容量が入らない。この村の野菜や、肉程度なら問題無いのかもしれませんが、今後も使うとなると、最低限のマジックバッグでは少し不安が残りますね」


「性能に関しては心配しなくてもいい。それだけの大きさのマジックバッグを用意している。これが販売しても良いと思っているマジックバッグだ。中の容量を確認してくれ」


「では、確認させてもらいます。……うーん。この大きさは確かに。かなり大きいものですね。これなら商売でも役に立ちそうです。……そうなってくると、今度は値段が問題になるでしょう。マジックバッグの相場には詳しくありませんので、なんとも言えない所なのですが、これだけの大きさだ。白金貨800枚からという感じになりませんか?」


「いや、実はそれ程貴重な素材を使っている訳ではないんだ。こちらが提示する額は、白金貨130枚。それで買えるかどうかだ」


「……安いですね。安すぎますよね? それでそちらは利益が出るんですか?」


「原価は白金貨2枚から5枚だ。それでも十分に儲かっている」


「それであれば、1つ買わせてもらえれば。白金貨130枚なら何とか捻出出来ますので」


「即金で用意できるのか? 今後の商売に差し支えないか?」


「多少は差し支えるでしょうが、マジックバッグが手に入るのであれば、誤差の範囲ですね。これがあれば、一気に利益が望めますので。ここでも大量の肉を買っていくことが出来ます。1年もしない内に利益なんて回収できますよ」


「そこまで大きな商売をしているのか。……その金で同朋を救うのではないのか?」


「お金だけでも無理なんですよ。仕事が無ければいけないのでね。冒険者になるといっても、限度がありますから」

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― 新着の感想 ―
>節税と言えば聞こえはいいが、要は、お金を動かさずに物を動かす行為になるからな。 このやり方「パーキンソンの法則」で紹介されてました。 収入が増えると誰でも考える方法だって(^^;)
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