雪が降り始めた
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
師匠が帰ってしばらくして、雪が降り始めた。遂に冬の到来だ。ジャックフロストは、雪が積もり、深くなってきてからの登場なので、それまでは普通に狩りをしながら暮らしていく訳だ。当然だが、沼地は沼地、森は森。環境までは変わらない。沼地は氷が出来る場所もあるにはあるらしいが、それでも踏み込めば割れるだけの氷しか張らないらしい。なので、普通にダストフロッグも出てくるし、雪が降るからと言って、グレイズベアが冬眠する訳でもない。一気に環境が変わるんだ。そこに追加で妖精であるジャックフロストが出てくると、そう言う事だ。
俺はというと、相変わらず錬金術をしているのと同時に、マジックバッグの予備を作り続けている。今は4つしか貸していない訳だが、生肉を供給する事になるんだから、獣人の商人にもマジックバッグを持ってもらわないといけない。そうじゃないと稼ぎが半減するからな。マジックバッグは多い方が良い。だから、迷いスライム狩りは続けている。まあ、ペース的には2日に1回のペースだが。マジックバッグを作るための時間は欲しい。その為の素材も欲しいので、採取も頑張っているんだけどな。副産物として、ダークフルポーションがいくつも出来上がっている。保険として取っておく方が良いからな。狙いは勿論、獣人たちに買ってもらうため。金を稼いで自分たちのマジックバッグを確保してもらうんだ。マジックバッグがあるのとないのとでは、効率が全然変わってくる。持ち逃げの心配も無いし、まあ、順調に稼ぐことが出来れば、来年の冬には購入が間に合うんじゃないかとは思っているんだよ。
「いやーしかしな。あの修行から一転して、俺たちも強くなったなって実感できるぜ。今じゃあ、狩りをしているのに、余裕があるからな。あれだけの狂気に当てられたんだ。その時間の長さから、普通の狩りだと狂気を感じなくなった。油断している訳じゃねえ。だが、死ぬという感覚がずり落ちたかのように感じるんだ。良い意味でな」
「その気持ちは痛いほどよく解る。俺は恐怖だと思っているが、狂気か。それも当てはまるような気がするな。出来ることが増えたような錯覚を覚えるとは思う。あれだけの恐怖を体で体験したんだから、今後は一気に楽になるぞ。ただ、勝てないと感じると、濃密な恐怖が襲ってくるようになる。そうなったら、何が何でも逃げるべきだ。その恐怖に慣れることは許されないからな」
「恐怖か。それもまた答えの1つなんだろうな。本当に、店主の師匠は出鱈目も良い所だ。考えてみろ。普通に考えたら、そんな狂気を人にぶつけることが出来るって、どう言う事だって言いたくなるからな。そんな方法を俺たちは知らない。出来るとも思えない。どうやったら人に狂気を当てられるのか。それが解らない。得体の知れないものなんだって事はよく解った」
うんうん。それは同じ気持ちだ。俺もよく解らないからな。師匠が何者なのか、それすらも解らないんだ。本当に人なのかどうかも解らない。魔物だと思って接した方がマシな可能性もあるんだよな。俺としては、錬金術の師匠でもあるので、複雑ではあるんだけどな。でも、錬金術の方も、人離れしているからな。何で転移陣を設置できたのか、未だに解っていない。見ていたけど、何をしていたのかが解らない。魔法陣に対しての授業は受けてきた。なのにもかかわらず、見ていても解らないんだ。あれはどういう技術なんだろうな。魔法陣の技術を使っている事だけは解るんだけど、それ以外が全くわからない。
師匠に関しては、詳しく考えるだけ無駄なんだろうとは思う。考えたって答えが出てこないからな。だから魔物なんじゃないかとも思う訳で。意志を持った魔物なんじゃないか説が、今の所濃厚だな。まあ、本人は否定するだろうが。それだけ技術格差が激しいと言う事でもある。俺も研鑽しないといけないなとは思うんだよ。最低でも、自分のオリジナルの魔道具くらいは作りたいものなんだ。今は固定電話に変わる何かを開発中ではあるんだけどな。有線ではなく、無線で。しかも基地局が必要ないものを開発しようとしている。これがあれば、かなり連絡がやりやすくなるだろうからな。電話という物を知っているからこそ、出てくる発想だ。これも転生者であるから出てくる発想なんだよな。転生前だと、物質の転送に成功した例は無いからな。だから転移陣は理解の範疇を超えているんだ。転送が出来るってどう言う事なんだろうな?
「それでだ。情報として入ってきたのは、今日のさっき、同朋の商人がやって来たらしい。色々な商品を持ってきてくれたのと同時に、肉の買い取りも頼めるようになる。塩もかなり持ってきてくれたようだからな。加工肉も作れるようになるだろう」
「お? それは朗報だな。塩不足はどうしてもな。東側が海だから、そっちから持ってくるしかない。結構な時間がかかるはずだ。塩はそれ程貴重な品ではないとは言っても、生きるには絶対に必要なものだからな。塩の産地は大切にされているだろう。そもそも、植民地まで塩を運ばないといけないんだから、商人も大変だよな。大量の荷物を抱え込まないといけないんだから。マジックバッグがあれば、そんな事を考えることも無くなるんだろうが、マジックバッグだって無限にある訳ではないからな。まあ、商人にも貸すんだけど。お金は後払いで良いからな。その内支払ってくれれば問題ない」
「マジックバッグがもっとあればとは思うが、それなりの金額が必要になるからな……。流石に白金貨130枚は手が出ない。ただでさえ、白金貨15枚の借金で、音を上げそうになっているというのにな。借金なんてするものじゃないって事がよく解る」
「まあ、マジックバッグに関しては、借金をしてでも買った方が良いとは思うけどな。マジックバッグがあれば、稼ぎが10倍以上になるんだから。素材の採取だって捗るだろう? それはそれは儲かっているはずだ。肉も大量に売っているし、このペースで行けば、借金も冬が開ける頃には無くなっているはずだからな。もしかしたら、マジックバッグの1つくらいは稼げているんじゃないか? それくらいの金額が動いてもおかしくないんだ。特に妖精の羽なんて、金貨で取引されるのが普通だからな。産地では、かなりの格安ではあるが、持っていく場所によっては、妖精の羽の価値は100倍にも膨れ上がる。売る場所は考えた方がいいが、かといって適当な場所で売っても、錬金術師が持て余すだけだからな。俺なら100倍でも金は出すが。産地価格からな」
「その辺は狩ってみない事には解らんからな。今までは、飛んでいるのを見かけただけだ。積極的に狩ろうなんて思っても居なかった。飛んでいるから、攻撃が出来ない可能性の方が高いと思っていたんだよ。それに、妖精はそこまで冒険者ギルドで評価される魔物ではないからな。飛べるだけで、強さはそこまでって判断されているんだ」
それは正解だな。錬金術師にとっては、妖精は美味しい美味しい素材だが、冒険者ギルドにとっては、妖精はそこまで脅威でも何でもないだろうし。狩ってどうなるってものでもないんだよな。ジャックフロストみたいに、季節限定で出てくる魔物が多いから、そもそも狩る必要がないんじゃないかと思われていてもおかしくない。妖精が大量発生して困るって事は、そうそう無いからな。大量発生したら、大量に狩らないと勿体ないと思うのは、錬金術師だけだとは思う。それだけ、空間属性の素材は珍しいんだ。時属性ほどでは無いにしてもだな。
マジックバッグの素材にもなるし、俺なら即決で買う。白金貨を出しても良いと思うくらいには高価なものだという認識だ。産地なら、金貨で購入するのが良いとは思う。余りにも産地で高く買い過ぎれば、他の所での価格が異常なものになってしまうからだな。自重は必要なんだよ。数に関しては、自重しなくても良いので、どんどんと買い取るけどな。
「妖精の羽は欲しいが、商人の方が高く買ってくれるというのであれば、そっちに売っても良いからな? 特に今来ている獣人の商人が幾らで買い取ってくれるのかは知らないが、金貨1枚で俺の所は買い取る予定だ。それよりも美味しい金で買ってくれるのであれば、獣人の商人を選んでもいい。俺の所で売らないといけないなんてルールは無いからな。どんどんと稼げるところで売ってくれ。最悪、俺は自分で取りに行けば良いんだからな」
「……まあ、借金を早く返すためには、その方が良いんだろうが、良いのか? 貴重な素材なんだろう? 無理をしてでも店主のところで売るのも有りだとは思うが」
「無理する必要はない。必ずしも欲しいものって訳ではないからな。最悪は取り寄せれば良いんだし、問題ない。稼げる方を選んでくれ」
「店主が良いなら、それでいいがな」
当然だが、妖精の羽を狙って商人が来る可能性もあるだろう。ここでジャックフロストが出るのは、冒険者の間では、普通の知識らしいし。まあ、地元の冒険者にとっては、って話ではあるけどな。無関係の場所の冒険者まで知っていると言う事は無いらしい。冒険者が知っていれば、商人も知っている訳で。買い付けに来る商人はいるだろうな。そうなった場合、勿論価格競争は行うぞ。金貨1枚から10枚、白金貨1枚までは値段を上げるつもりで居る。価格競争くらいは普通の事だ。どちらが安く買えるのかって競争もあるが、貴重品は、どちらが高値を付けられるのかという競争になるんだよ。それだけ、貴重な品であると言う事でもあるからな。
出来るのであれば、安く仕入れたいというのが本音だ。だけど、こちらの買い取り価格が負けているのであれば、少なくとも相手に合わせるくらいはしないといけないんだ。どちらに売っても金貨3枚なら、半分はこっちに流れてくるだろうから。人間も狩るんだろうか。弱いので、狩るのは簡単だとは思うんだよな。飛んでいるってのがネックなだけで。
「まあ、儲かるのであれば、気にしないでほしいと思う訳なんですよ。その代わり、その価格を教えて欲しい所ではありますけどね。こっちもちゃんと値段を吊り上げますので。獣人の商人であれば、同価格に、人間の商人であれば、こっちの方が価格を高く設定するつもりです。他の種族の商人なら、交渉ですかね。まあ、人間と獣人以外は商人なんて居ないとは思いますけど」
「解った。儲かる方を優先させてもらおう。同じ金額であれば、同朋の方に売りに行く。人間が相手なら、こっちに売りに来る。後は価格で勝負という訳だ。店主も戦う覚悟はあるって事なんだな」
「当然ですよ。資金力で負ける訳にはいかないのでね。当然ですけど、獣人の商人には便宜は計りますよ? 獣人には儲けて貰わないといけないですからね。マジックバッグを買って貰わないといけないですし。少しでも資金を残しておいた方が良いでしょう?」
「まあ、それはそうなんだがな? だが、妖精の羽なんて、普通は売らないんじゃないのか? 詳しい事までは知らないが」
「普通の商人なら扱いませんね。空間属性の素材を欲している錬金術師があまり居ないというのもありますけど。マジックバッグを狙うにしても、空間属性よりも、時属性の方が面倒ですからね。時属性を持っているのであれば、買うんでしょうけど。妖精の羽単体で売れることの方が少ないんですよね。王都なら、引く手数多なんですが。そこまで持っていかないといけないので、輸送のコストがかかるんですよね。保存瓶に保存していなければ、品質は常に落ちますし、扱いが簡単かと言えば、そうでもないですから」
「保存瓶に保存するのは常識なんじゃないのか? 冒険者は知らなかったかもしれないが、商人であれば、知っておく必要があるだろう?」
「うーん。そうとも言えないんですよね。特に採取物ならそうなんですけど、妖精の羽とか、魔物の素材については、特殊な保存方法が求められることがあるんですよね。それを全部把握しているのかと言われれば、錬金術師であっても知らない人が居るとは思いますよ? 妖精の羽も、そんな感じで特殊な保存が必要ですし。まあ、死体を丸ごと持ってきてもらえれば、それも解決するので、丸々持ってきてもらえば、こっちで解体して、保存をしますので、気にしないでも良いですよ」
「それは助かるな。他の魔物と同じで良いって事になるんだろう? それなら簡単でいい。高い素材を無駄にする事ほど馬鹿らしいことは無いからな」
「まあ、当然ですよね。こっちで処理しますので、取ってきた際は、丸々頂けると。後は肥料にするだけですし、肥料も農民に売れてますからね。まあ、適当な値段設定なので、かなりの儲けにはなる訳なんですが。勿論農家が、ですよ? 俺は肥料で儲けようとは思っていないので。自販機も凝るのが面倒だったので、銅貨1枚を入れたら、それの分だけ出てくるって感じにしてあるんですよね。まあ、無駄にはならないとは思いますよ。麦にも使えますし。肉屋の方からも、肥料は沢山納品してもらっていますからね。……その内、肥料も売りに行ってもらわないといけないかなとは思いますけど。そんなに大量には必要ないですから。追肥するって言っても、2回が限界でしょうし、肥料も余ってくるとは思うんですよ」
肥料も大量に出来るからな。売るほどあるんだから、言うまでもないんだけど。肥料は麦にも使える。だからって、大量に必要なんだって事はない。追肥なんて2回もすれば十分である。それ以上は肥料過剰になる可能性があるからな。その辺は農民の方がよく解っているとは思う。素人が口出しする様な事でもない。まあ、肥料の自販機は良いけどな。とりあえずで作ってみたけど、中々に金が回収できるし。それだけ売れているって事でもあるんだけど、今は実験の段階だろうし、必要分が解れば、どんどんと売れなくなっていくはずである。肥料で稼ぐ気は無いので、それで良いんだけどな。農民が稼げるようになってくれないと、こっちも困るんだよ。錬金術関連の商品が売れなくなるからな。購買層は広い方が良いんだ。農民にだって、便利な錬金術の商品があるんだから。
「まあ、そっちも獣人の商人に扱ってもらえれば良いとは思うんですけどね。肥料なんて、村では何処でも欲しいでしょうし。人糞を肥料にしている所って少ないですからね。……一般家庭にまで、トイレの魔道具は浸透してしまっているからなあ」
「……人糞を肥料に? そんなもの、食いたくもないが?」
まあ、こういう人も出てくるだろうしな。人糞の肥料を作るには、肥溜めを作らないといけないし、ちゃんと発酵処理をしないといけないから、面倒なんだ。高温で大腸菌を殺さないといけないからな。それが不完全な状態で肥料にしてしまうと、腹を壊すし。まあ、そもそも人糞を肥料にした食べ物を食べたいかって疑問はある訳なんだけどな。嫌悪感を抱く人も居るんだし。汚いものが入っているんじゃないかって思う人も絶対に出てくるからな。




