大怪我
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
獣人の冒険者が増え始めている。人間の冒険者が減った訳ではない。ただ、獣人の冒険者がこの村を目指すようになったのだ。とは言っても、大量に胴長と長手袋が出た日から、10日も経っていないんだけどな。どうにも、乗合馬車で大量に来た様子。こっちとしては有難い事だ。素材を採取してくる人が増えるんだから。どんどんと頑張って貰いたい。成果が出ていれば、直ぐに帰ってくるんだけどな。成果が出ないと、どうしても粘ってしまう。成果が出るまで帰らないって人も出てくるんだよな。何とかしないといけないかって言われると、何とかしないといけないとは思う。けど、俺が出来ることは無いし。精々稼げているかどうかを聞くくらいだ。
「どうにもならない訳ではないが、行ける場所が限られる。俺たちも教えているが、それでも沼地は結構いっぱいいっぱいだぞ? 俺たちみたいに、奥地に行ける冒険者も増えてきたからな。そっちは良いんだが、手前はどうしても新人たちが使うからな。ダストフロッグが今は狩り時だから、そっちに向かう冒険者が多い。ゴブリンやコボルトを狙う奴らもこっちに来ているからな。何というか、東も西も、獣人の冒険者が多くなってきている。何も起きないと良いとは思うんだが……」
「どうしても焦るだろうからな。借金を抱えているんだ。どうにもならない訳ではないと解りつつも、焦ってしまう気持ちは解る。それだけ良い客だと言う事だけどな。踏み倒しの心配は要らないんだから。ただ、気を付けてくれよ? 東でも、ネガルドウルフなんかは強敵なんだから。大丈夫だとは思うが、身体能力強化魔法を覚えるまでは挑戦させないでくれ。後は、狩りをし過ぎて、魔物が少なくなってくるだろうから、その隙間を縫って奥地にいかない事も徹底してくれよ。儲からなくてもだ。儲からないと借金が返せないのは解るが、焦っても仕方がないからな。焦りは禁物だ。油断もいけないが、焦るだけでもかなり違う。魔法が使えるようになるまでは、奥地に行かせない事。魔法が使えるようになっても、過信しない事。自分の実力と、今の力量を考えて討伐に行かせてくれ。何も明日明後日に借金を返せという訳でもないんだからな。出来る限り徹底させてくれよ」
「解っている。俺たちも同朋が怪我をするのを良しとしている訳ではないからな。出来る限り無傷で帰ってきてくれるのが一番だ。まあ、それは無理なんだけどな。何度もポーションを使う事になるし、思った以上にポーションの消費が激しいからな。俺たちもそうだ。余裕で勝てるってなるまでは、生傷は出来るだろう。それでも、俺たちは強くならないといけない。今以上にな。それを成すには、どうしても戦わなければならない。戦わなければ、強くなることは無いからな」
経験値理論だな。こっちでもあるというか、実際にあることだからな。経験値という言葉がある訳ではない。ただ、戦い続ければ、どんどんと強くなっていくという話だ。戦い方が洗練されてきたとか、そう言うのではない。単純に力が強くなったりするらしいんだよ。俺としては、経験値を稼いで、レベルが上がるってイメージすると簡単だったってだけで、経験値理論と呼んでいるが。レベルアップで強くなるのは、どうしても一握りだ。しかも実感するまでにかなりの時間を要する。経験値が渋いのもあるんだろうが、レベルアップで強くなる数値も低いんだろうと予想が出来る。だから、ある程度の期間が空かないと、強さを実感できないとは思うんだよな。そんなの空想でしかないとか、そんな事はあり得ないという人も居るんだけど、微々たるものでも強くなる可能性はあると俺は考えている。経験値を得て、レベルが上がる。それをひたすら繰り返せば、どんな魔物にも勝てるようになるんだろうとは思う。ただ、それを実感するには、もの凄い時間が必要だというだけで。
まあ、その理論で言えば、危険を冒すほど強くなっていく訳なんだけど。経験値は、強者の方が沢山貰えるはずだ。経験値テーブルがあり、魔物に経験値が割り当てられていると考えれば、よりよい経験値テーブルを持ち、あえて強い魔物と戦闘する事で、一気にレベルを上げることが可能になる。そんな妄想だって出来る訳だ。不可能かどうかは関係ない。出来ると考えて、実際にやる奴が居るんだから困る。この世界には、ユニークスキルがある。それが戦闘に特化していれば、凶悪なレベリングを行う事も出来るだろう。そこまでして強くなりたいのかって思うが。俺はそこまでして強くなりたいとは思わないからな。……でも、最終的には、亡者の鉱山都市ベルンケラーに行くことになるんだろうけどな。師匠が来たら、真っ先にそれを言われると思う。俺はそれでもいかないけどな。行くなら師匠がいけばいい。あの人は平気で行って帰ってくるからな。殺しても死なないとは思うぞ。
「危険な事はしてくれるなよ? いくら俺でも、死んだ人を生き返らせることは不可能なんだから。死なれたら流石にどうしようもない。そう言うポーションがある訳ではないからな。どんなに酷い状態でも、生きていれば治療できるポーションも存在するが、俺はそんなものを作れないし、そもそも素材が手に入らない。教会勢力が抱え込んでいるのか、国が抱え込んでいるのかは知らないが、そんな素材は滅多に回ってこないからな」
「死ぬような事はしないつもりでは居るがな。……だが、同朋の冒険者も増えてきた。この狩場に成れていない者たちが来ているのだ。何かしら起きる可能性は十分にあり得る。その時のために、少しでもお金を稼いでおかなければいけない。俺たちが出来ることは、そのくらいしかないからな。助けられることと言えば、金銭的な支援くらいだ。それでもある程度という限界はあるがな」
「人間だとそう言う事は無いからな。普通に助けないだろうし。……人間の冒険者はあまり減っていないが、見なくなる冒険者も居るんじゃないか? 全員が全員、何事も無く討伐が終わるなんてことはないはずだ。俺たちが知らないだけで、死んでいく冒険者も居るんだろうな。……獣人の冒険者については把握しているんだろうけど。話している感じでは、俺が来てからは死んでなさそうな感じだけどな」
「そうだな。店主が来てからは、同朋たちで死んだものは居ないな。ここだと、年間に5人から10人は死んでいた。今年はまだ2人だけだ。いつも以上に死んでいない。それは店主のお陰でもある。その事には感謝をしている。同朋が死ななくても良いようにしてくれているんだからな」
「俺は特別な事をしている訳ではないとは思うがな。そちらが努力しなければ、魔法を使えるようにはならなかったし、そもそも素材を採取してくる術を知っていれば、俺を頼る必要も無かったわけだ。偶然が続いているだけではある」
「偶然でもだ。感謝はしている。感謝しなければならない。俺たちが稼げているのは、店主が居てくれるからだ。結果はそれなんだよ。だから、俺たちは恩を返さないといけない。素材も取って来れるものなら取ってこよう」
「まあ、それが一番だな。素材を持ってきてくれることが、何よりも役に立ってくれている。素材が無ければ、錬金術師は何も出来ないからな。素材が無ければ、自分で取ってくる事も可能だが、それには限界がある。どうしても他人を頼らないといけない。それが、オーロンドたちだったってだけの話だ。俺としては、そこに人間の冒険者が入ってきてくれても良いんだがな。彼らの事を考えれば、無理だと言う事は解るんだけど」
人間の冒険者には期待が出来ないからな。稼げるって解っていないんだから困る。そんな中途半端な覚悟で冒険者なんかやるんじゃないとは思うんだけどな。素材の採取だって、宿代くらいは稼げるんだ。採取専門で出来るくらいには稼げるぞ。この場所はそう言う場所だ。俺だって買い叩いている訳ではない。高い素材は金貨だって出すんだよ。まあ、それはそんなに見つからないとは思うけどな。群生地があれば、あるいはって感じだろう。それをみつけるのも運だ。運がよくなければならない。運も実力の内とはよく言うが、運だけでも生き残れないからな。
「ここだ! ここまで運んでくれ!」
「大丈夫だ! ここなら何とかなる!」
「おい!? どうした! 何があった!?」
「オーロンドか! 丁度いい。メキデイルが重症だ。だから、ここで何とかしてほしい」
「重症だって? どう言う事だ?」
「見て貰えば解る。とにかく重症なんだ。片腕がやられた」
「ちょっと待て! 胴長と長手袋はどうした?」
「昨日来たばかりなんだよ。情報が行き渡っていなかった」
「どけどけ! ここまで連れて来い!」
「こっちだ! こっちまで来れば何とかなる!」
「――っひぅ!?」
「エレナちゃんは見ない方が良い。……これは、重症だな。腕が千切れかけていて、腹が裂かれている。内臓も幾らか破損しているな」
これはグレイズベアにやられたな。そう言う痕跡だ。運悪く遭遇したのかどうかは解らない。状況が解らないからな。だがしかし、このまま放置すれば死ぬだろう。ただ、応急処置はしてあるな。血がそこまで出ていない。メガポーションとは言わないでも、ハイポーションは使ったな。それは正解だ。そうじゃなかったら、ここに連れてくるまでに死んでいただろう。それだけの傷だ。簡単には治らない。ダークフルポーションが3つは必要だな。
「店主。治せるか?」
「治せるかと、問われれば治せる。ただ、金額が馬鹿にならないぞ? この傷だと、白金貨15枚は覚悟しておいてもらわないといけない。即金でだせとは言わない。だが、支払う覚悟があるのかどうかだ。それは最低でも確認しておかないといけないだろう」
「お前ら、どうなんだ? 借金を認めてくれるそうだ。白金貨15枚。支払えそうか?」
「……何年かかっても良いなら」
「俺だって同じ気持ちだ。何年でもタダ働きは出来る!」
「腹は決まったな。店主。治療をお願いしたい」
「解った。……気絶しているなら好都合だ。とりあえず、腹の中を綺麗にする。魔法でどうにかするから床に置いて離れてくれ」
腸が裂けているからな。まずは洗浄をしなければならない。もの凄く痛いとは思うが、既に気絶しているのであれば関係ないな。……胴長と長手袋をしていれば、ここまでの重症にならなかったとは思うんだけどな。というか、北の森に行かなければ、こんな事にはなっていないはずなんだよ。
そんな訳で、腹の中を洗浄してから、ダークフルポーションを1本目。これで、内臓関係は回復し、少しではあるが、肉も元に戻っているはずだ。多少の肉なら何とかなる。これが欠損なら、どうしようもなかったが、パーツがあるなら何とかなるとは思う。追加でダークフルポーションを使う。それで腹の肉が戻り、皮膚が何とか繋がった。これで腹は何とかなった。次は腕だな。何とか繋がっているから、ダークフルポーションで何とかなる。腕にぶっかけて、これで3本。処置はこれで終了だ。……毛は何ともならないけどな。とりあえず、生き残ることは出来ただろう。……まあ、生き残って何をするのか、なんだけどな。
「何とかなったか……。おい、お前ら。何で北の森に行った? あそこは立ち寄るなと言ってあったはずだろう? 俺たちでも危険な魔物が出てくるんだ。簡単には勝てない、そう伝えたはずだよな」
「それはそうなんだが、東の森があまり稼げなくてな……。沼地の端の方で戦っていたんだが、そこで襲われたんだ」
「皆が沼地に入れるのは、あの装備のお陰なんだろうとは思っていた。だから、今日にでも聞く予定だったんだ」
「はあ……。何とかなったのは良かったが、これからが大変だぞ。白金貨15枚だ。お前らだけで稼げるか?」
「それは一生かかっても支払う。命の恩人に背を向けることは出来ない」
「俺も同じだ。金なら稼げばいい。俺たちだって、魔法を使えるようになったんだ。今回みたいに、強すぎる魔物と遭遇しなければ、ある程度は稼げるはずだ」
「だそうだが、店主。何かいい方法は無いのか?」
「まあ、ない訳ではない。ただ、その方法を使っても良いんだが、比較的稼げる奴らがやらないと意味がない方法ではあるんだよ」
「……こいつらの覚悟は聞いている。これは獣人全体の話だ。俺たちも協力するつもりでは居るからな。こいつらの借金の返済に、俺たちも関わろうってんだ。それなら問題ないだろう?」
「勿論、俺たちもな。ここにいる全員が同じ気持ちだ」
「……それなら、稼げる奴らが稼いで何とかするのか?」
「そうだ。それだけの金額だと思っているからな」
「解った。俺から提示できるのは、マジックバッグを貸すことだ。大量に荷物が持てるようになる。素材の採取は勿論だが、解体が面倒な魔物の死体も、そのまま持ってくることが出来る。それなら、ここでの買い取り額が一気に上がる。貸し出せる数は7つ。借金を返済するまでに、マジックバッグを紛失するようであれば、それも借金に追加する。……マジックバッグの価値は、白金貨130枚だ。とてつもない金額になる。それでも覚悟があるのであれば、貸し出そう」
「解った。紛失する様な事にはしない。それが約束ならな」
まあ、そう言うと思っていたけどな。大きすぎる借金は、どうやっても返すことが出来ない。いや、気合があれば、何とかなるかもしれないが、それでもマジックバッグがあるのとないのとでは話が変わってくる。素材の採取もそうだが、魔物をそのまま持ってこれるのは大きなことだ。特に肉になる魔物は、多いに越したことはない。それだけ大量に死体が集まってくる事になるんだが……。大丈夫だ。そっちの方も策がある。要するに、食えないなら、食えるようにしてしまえばいい。肥料として売り出せば良いんだよ。魔物の死体は、肥料としては極上なんだ。ただ、死体まで持って帰ってくる人が居ないだけで。農作物を作るこんな農村であれば、肥料は欲しいだろう。その為には、魔道具を作らないといけないんだけど、そのくらいの手間は惜しんでいられない。それくらいには商売になるからな。肥料の自販機も作らないといけないな。大きなものになるから、村長とも相談しないといけない。
マジックバッグを貸すのは、少し早くなってしまったが、いずれはやるつもりだったんだ。それで、稼いでマジックバッグを買い取ってもらう。そんな感じにしようと思っていたんだ。予定は違うが、マジックバッグを貸し出すことは出来た。後は獣人の冒険者の努力次第だ。一生懸命に魔物を討伐してくれることだろう。焦らなくても、魔物の死体が買い取れるのであれば、その内支払いは完了する。しかも、その内ジャックフロストも出てくるんだ。妖精の羽という素材を沢山入手できれば、一気に支払いは完了する。妖精の羽は、最低でも金貨だ。それくらいの価値がある。1000体も倒せば、一気に借金返済の可能性が上がるんだ。そのくらいは出来ると思うぞ。……まあ、マジックバッグを何とかして手に入れる方法が無ければ、詰んでいたかもしれないけどな。




