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夢の彼方に見た星



《アルカディア》は長距離ワープを終え、青緑に輝く惑星の軌道上に到達した。

大気分析の結果は、人間に近い種族が住める環境。

酸素比率もほぼ地球と同じ、海と森に覆われた美しい星だった。


艦長代理の俺に下った命令は――「現地文明との初接触」。


ザルクが触手でスイッチを叩き、降下艇のハッチが開く。

「お前の得意分野だろ、人付き合いってやつは。俺は戦闘しかできねぇ」


俺は軽く笑って降り立った。

青い空、澄んだ風、広がる草原。

――そして。


「え……?」


デジャヴに襲われた。

夢で見たあの草原と、まったく同じ景色。

風にそよぐ花の色、遠くに見える森の稜線。

さらに驚いたことに、丘の上から駆けてくるのは――


金色の髪をなびかせたエルフの少女。

瞳は翡翠色。背には弓を背負っている。


「……勇者様?」


息を呑む。

夢で会った“リィナ”と、寸分違わぬ姿の少女が目の前にいた。


「待ってください! 勇者様! どうかこの世界を救ってください!」


――頭が混乱する。

これは偶然か? それとも……俺の夢は、予知夢だったのか?

いや、あるいは……この宇宙に広がる無数の文明の中に、“剣と魔法”が実在していたのか。


背後では降下艇のタラップを下りてきたザルクが、目を丸くしていた。

「おいおい……エルフ? 本当にいたのかよ……」


ミリアの通信が耳に届く。

『艦長代理、注意してください。現地文明はテクノロジー的に中世レベル。ですが、異常なエネルギー反応――“魔力”と思われるものを検出しました』


魔力。

俺の夢の中で使っていた、あの光。


「……やっぱり、ここからが本当の冒険なんだな」


俺はリィナによく似た少女に手を差し伸べた。

彼女の震える指先が、ゆっくりと俺の手に重なる。


その瞬間、俺の胸の奥で、またあの聖剣の光がうっすらと揺らめいた――。



剣と魔法のファンタジーな星に勇者としてテレポート(宇宙船でワープ)タイトル回収完了 仕事終わり

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