という夢を見たのさ!
「……という夢を見たのさ」
目を覚ますと、そこは石造りの城でも、緑の草原でもなかった。
銀色の壁が光を反射し、低く唸るエンジン音が船体を震わせる。
視界に映るのは――無数の星々が広がる漆黒の宇宙だった。
「おい、起きたか? また夢見てたんだろ」
声をかけてきたのは、青い皮膚に触手のような髪を持つ異星人の操縦士、ザルク。
四本の腕で軽やかに操縦桿を操作しながら、俺をにやりと見る。
「勇者? 聖剣? また古典的なファンタジー妄想か?」
……そうだった。
俺は異世界転生の勇者なんかじゃない。
俺は「星間自由交易連合」の一員として、巨大宇宙船に乗り込んでいる。
仕事は航路の警備と、新しい星々との交渉。
艦内スピーカーから、人工知能AIの声が響いた。
「前方に未確認艦影を捕捉。エネルギー反応、戦闘態勢と推測されます」
「またかよ……」
俺は深く息をつき、腰に下げた装備を確認した。
勇者の聖剣じゃない。
だが、対エネルギーシールドを貫通する最新式のレーザーライフルだ。
「さあ行くか。異世界の魔王はいなかったが、銀河の脅威ならいくらでもいる」
ザルクが笑う。
「結局お前、どこにいても“勇者”みたいな顔してるんだな」
赤い光が窓の外をかすめた。敵船の砲撃が始まる。
アラームが鳴り響き、艦が振動する。
仲間たちが配置につき、船全体が戦闘モードへと切り替わった。
目の前に広がるのは、無限の宇宙――そして未知の種族たち。
俺の冒険は、まだまだ続く。
勇者の夢を見た俺は、いま現実で「宇宙の開拓者」として生きているのだから。
やっと書きたかったところが書けたぜ