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魔王軍の影
南の砦に向かった俺たちを待ち受けていたのは――黒鎧をまとった魔族の将軍。
燃えるような紅い瞳、巨大な斧を振るう怪物。
「クク……勇者か。噂ほどではなさそうだな」
一瞬で地面が砕けるほどの一撃を放つ敵。
ガルドが盾で受け止めるが、衝撃で吹き飛ばされる。
リィナの矢は弾かれ、ミリアの魔法も防がれる。
圧倒的な力の前に、俺は剣を握る手が震えた。
――だけど。
頭の奥で、声が再び響く。
『勇者よ、封印を解く時だ――真の力を示せ』
聖剣が眩く輝き、俺の身体を光が包む。
心臓の奥から熱があふれ出し、全身を駆け巡った。
「これが……勇者の覚醒……!」
剣を振り下ろす。
光の刃が大地を割り、魔族の将軍を包み込んだ。
爆音、轟光。
敵は叫び声を上げながら消滅していった。
静寂の中、仲間たちが俺を見つめている。
信じられない、という顔で。
「すごい……やっぱり、本物の勇者様なんですね……!」
「これなら……魔王にだって勝てる!」
その言葉を聞き、俺は笑った。
ああ、これだ。
異世界に転生した意味。勇者として生きる理由。
俺の冒険は、ここから始まる――!
王道な道(?)ポンポン飛ばすぞー