タイトル未定2025/09/09 10:02
「……ま、まだだ……! この我が……!」
全身を焼かれ、マントも鎧もボロボロの魔王が、最後の力を振り絞って立ち上がる。
だが主人公は面倒そうにため息をついた。
「まだやるのか? しぶといな」
そして手にした未来銃のトリガーを軽く引く。
青白い光線が一閃し、魔王の胸を正確に貫いた。
魔王は驚愕に目を見開き、血の代わりに黒い瘴気を吐き出しながら崩れ落ちる。
「……ぐ、ぬ……これが……宇宙の……力……」
そのまま灰となり、風に散った。
戦いは、あまりにもあっさりと――幕を閉じた。
空を覆っていた宇宙艦隊が、ゆっくりと高度を下げていく。
十万隻の巨艦群が整然と並び、まるで神の軍勢が降臨したかのようだった。
王都の人々は地にひれ伏し、涙を流しながら叫んだ。
「神々が……我らを救ったのだ!」
「勇者様は天から遣わされた救世主だったのだ!」
王や騎士団でさえ膝をつき、震える声で勇者一行に感謝を述べる。
「勇者殿……いや、もはや勇者ではなく“星の守護者”と呼ぶべきか……!」
やがて、艦隊から小型艇が次々と降り立った。
艦から降りてきたのは――宇宙服に似た装甲服を纏う兵士たち。
彼らは整然と並び、主人公に敬礼を送る。
『第七宙域艦隊・第三遊撃小隊、任務完了。惑星人類との交流任務に移行します』
主人公は片手を上げ、笑みを返した。
「よし、じゃあ――地球人(?)の皆さんと仲良くやってくれ」
兵士たちは王都の人々と握手を交わし、医療班は傷ついた兵士や民を次々と治療していく。
未来技術に触れた王都の人々は目を丸くし、歓声と驚きに包まれた。
城壁の上で、主人公は仲間と肩を並べて夜空を見上げていた。
「なんか、思ったよりあっさり終わったな」
「まあ十万隻も呼んじゃったからな。魔王が可哀想なレベルだったぞ」
「でもいいじゃん。これでこの星も平和になる」
主人公は空に浮かぶ母艦を見上げながら、にやりと笑った。
「さて……次はどこの星に寄ろうか。剣と魔法の世界も楽しいけど、まだまだ見たい宇宙は山ほどある」
仲間たちは声を揃えて笑う。
「だな!」
こうして――勇者たちの物語は、
「世界を救った伝説」として星々に語り継がれていくことになった。