表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/18

艦隊 降臨


黒き大地を埋め尽くす魔王軍。

千万を超える兵、数千の巨人、数万のドラゴンが唸りを上げ、王都へ向かって進軍する。

その光景はまさに“終末”。


だが――


王都の塔の上で、勇者一行は実に気楽にそれを眺めていた。



「……流石に、星半分の軍勢を相手にするのはキツいな」

主人公がため息をつき、腰の電子ブレードをポン、と叩く。


ザルクが首をかしげる。

「どうする? 俺たちだけじゃ、いくら未来兵器あっても数で押し潰されるぜ」


「……増援呼ぶ?」


「……あ、そうする?」


「……そうしよっか」


二人のやり取りはまるで昼食の相談のように軽い。


主人公は腕のインターフェースに指を滑らせ、短いコードを入力した。

『宇宙艦隊ドミニオン 第七宙域艦隊・第三遊撃小隊、至急この惑星宙域へ降下し、対象を殲滅せよ』



次の瞬間――夜空に十万の光が瞬いた。


やがてその光は形を成し、巨大な艦影が続々と出現する。

戦艦、巡洋艦、空母、強襲艦――その数、おおよそ十万隻。


大気圏上空を埋め尽くす戦艦群が整列し、まるで銀河そのものが押し寄せてきたかのようだった。


王都の人々は言葉を失い、ただ呆然と空を見上げた。

「……な、なんだあれは……!」

「空が……船で埋まっている……!」


一方、魔王軍の兵たちは立ち尽くし、恐怖に震えた。


宇宙艦隊の旗艦から通信が入る。

『対象戦力、確認。殲滅を開始する』


号令とともに――十万隻の砲口が一斉に輝いた。


対艦レーザーが無数の直線を描き、地上の巨人たちを貫く。

プラズマ弾頭が投下され、ドラゴンの群れが空中で次々と爆散する。

軌道爆撃が降り注ぎ、魔族の兵士がいたはずの荒野は、瞬く間にクレーターへと変わった。


「な、なんだこれはッ!」

「ぐあああああああああ!!」


魔王軍の悲鳴は、爆炎と轟音にかき消された。



漆黒の魔王は前線で剣を振るいながら、唸るように叫んだ。

「馬鹿な……! これほどの戦力を……一瞬で……!!」


幹部たちも次々と蹂躙される。

千の魔法を誇った大魔女は軌道上からの広域EMPで魔力を封じられ、瞬時に灰となる。

屍王は死霊軍を呼び出すも、軌道照射の光で一体残らず蒸発。

巨人たちでさえ、衛星軌道からの質量投下兵器の前ではただの的だった。


魔王は必死に〈星障壁〉を展開したが――

「……ぐっ……ば、馬鹿な……!! 我が結界を……!」


結界ごと、衛星からの質量兵器に粉砕される。



その光景を見ながら、主人公は王都の城壁に腰掛け、仲間と談笑していた。


「……うん、やっぱ数の暴力って大事だな」

「いやいや、“これでも小隊”なんだから笑うしかないよな」


ザルクのが肩をすくめて言う。

「魔王軍、星半分集めてこれだろ? かわいそーだな。」


主人公はニヤリと笑い、空に響くほどの声で叫んだ。

「おい魔王! これが俺たちの“遊撃小隊”の力だ!

本隊はまだ呼んでねぇからな――」


その言葉は、魔王軍残党の心を完全に折り砕いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ