決闘 後
正解はタンポポでした
王都の広場。
集まった民衆と騎士たちの視線を浴びながら、俺とカインは向かい合った。
月明かりの下、彼の聖剣が白銀の輝きを放つ。
「この一戦で証明してみせる……!
大地を守るのは、俺たち王国の剣士だ!」
カインの眼差しは燃えていた。
その気迫に周囲は息を呑む。
だが俺は静かに腰のホルスターから銃を抜いた。
黒い金属のボディに、淡い青のラインが光る。
最新式の〈パルス・ハンドガン〉――殺傷も非殺傷も自在に切り替え可能な未来兵器だ。
俺はトリガーに指をかける前に、小さく呟いた。
「……まあ、死なれても困るからな」
銃口が赤から青に切り替わる。
非殺傷モード、スタン弾仕様。
審判役の騎士が手を上げ、声を張った。
「これより決闘を開始――」
その瞬間。
俺は銃を抜き撃ちし、青白い光弾を放った。
バシュッ!
一発のスタン弾がカインの胸を直撃。
電流が迸り、彼の身体が硬直する。
「ぐっ――!?」
カインは剣を振るう間もなく、その場に崩れ落ちた。
地面に転がり、意識を失った彼の聖剣が乾いた音を立てる。
……沈黙。
王都広場に、奇妙な静寂が訪れた。
俺は銃口をクルリと回し、ホルスターに戻した。
「……以上、これが未来の戦い方だ」
呆然とする騎士たちに、肩をすくめて付け加える。
「剣を振り回して“勇者ごっこ”もいいけどさ……
戦争じゃ、一瞬で勝てる方が正義なんだよ」
ザルクが大声で笑い、ミリアが呆れた顔を映し出す。
ミリアのドローンが記録映像を投影し、カインが吹っ飛んで気絶する瞬間が大画面に映し出された。
民衆のざわめきはやがて歓声に変わった。
「異星勇者だ!」
「まさしく神の力……!」
騎士団の顔は真っ赤になり、何も言い返せない。
倒れたカインはすぐに運び出され、治療を受けることになった。
その姿を見送りながら、俺は少しだけ複雑な気持ちを抱いた。
だがこの瞬間、
「異星勇者こそ絶対的な存在」
という認識が王都全体に刻み込まれたのだった。