決闘 前
王都を覆っていた歓声が徐々に落ち着き、夜の静けさが戻った頃。
城の一角で、俺はふと背後からの強い気配に気づいた。
「……勇者」
振り返れば、そこにはカインが立っていた。
剣を携え、瞳には激しい光を宿している。
「貴様らの力は見た。
確かに、魔王軍を打ち払ったのはお前たちだ」
彼は歯を食いしばり、言葉を続ける。
「だが――それでも、俺は認めん!
この大地を守るのは、この剣と血をもって戦う俺たちだ!
空から降る“神の火”ではない!」
カインは剣を構えた。
月光を浴びる刃が、彼の決意を映し出していた。
「勇者よ。俺と一騎打ちだ。
王国最強の剣士として、お前に挑む!」
その声は堂々と、広間に響き渡った。
居合わせた騎士たちが息を呑む。
リィナが眉をひそめ、ザルクが小声で呟いた。
「……面倒なやつだな」
俺は苦笑しつつ、電子ブレードの柄に手を伸ばした。
「本気でやる気か?」
「俺はいつでも本気だ。お前がどれほど強かろうと、この誇りだけは折れぬ!」
その瞳に宿る炎は、確かに偽物ではなかった。
広場に人々が集められ、俺とカインは向かい合った。
民衆も、兵士も、王子すらも固唾をのんで見守る。
問題です。dandelionはなんでしょう