秘密
イケボは謎解きに有用です
場所はまたまた変わって校内にあるカフェ。
僕とニーナは向かい合って珈琲を飲みながら談笑していた。
いや、、、談笑と言えるほど雰囲気は良くないかもしれない。
「で、配信に出るんじゃないんですか?」
なんで我々はカフェにいるの?
「気が変わっタ。」
「はぁ。」
なんと気まぐれなんだ。
「で、僕がここでお茶を一緒に飲まさせられているのは何故?」
「いや、その...だナ...」
国家元首様は目を泳がせてブツブツと何か言っているが、早く帰りたいので急かす。
この人が僕の配信に出る気がなくなったのなら、もう用はない。
歩いているだけで揉め事になりそうな高貴な存在とは関わりたくないのだ。
「口外しないのでもったいぶらないで言ってください。」
国家元首とタイマンするよりは家でラブラブ攻撃を受けるほうがマシだ、頼むから帰らして。
「単刀直入に言うガ、、完全に失われた聴力を、回復する方法はないカ?」
やっぱりその話する?
「残念ですが、僕は知りません。」
「そうカ、、。」
やはり、僕の推測通り、ニーナは耳が聞こえないようだ。
喫煙所で出会った時から違和感はあった。
というのも、僕がこの見た目でイケボなのに、驚かなかったからだ。
事前に情報を仕入れていたのかもしれないが、僕がイケボであると知っている人でさえ、初めて会った時には絶対驚く。
『サインください』って言ってくる人が僕のイケボで驚く展開は、もう数多と見てきた。
だが、ニーナは驚かなかった。
更にその後、僕が話している時、ニーナと決して目が合わないことに気が付いた。
じっと目を見つめても、いつもニーナは少し下の方を見ていて目が合わないのだ。
なぜ目が合わないのか。それは、ニーナが僕の口元を見ているからだ。
口の動きから言葉を読み取って、あたかも耳が聞こえているかのように振舞っていたのだろう。
耳は聞こえないし、すぐに失言するし、可愛い。
大グレーヴィア汗国の皇帝はクリルタイという会議で選ばれるのだが、何でコイツが選ばれたのか、ますます謎は深まるばかりだ。
「で、何で僕にそれを聞くんです?」
「そ、そりゃあ、、性転換病になっているシ、耳を治す方法を知っている、、かもしれないだろ?」
「偶々かかっちゃっただけですし、医療面の知識は深くないですねぇ。」
、、ん?待てよ。
ニーナは先程、まるで性転換病になっていることと耳を治す方法を知っていることに関連があるかのように話していた。
なぜ性転換病になったことと耳を治す方法を知っていることが繋がるんだ?
ただ単にニーナがポンコツなだけの可能性もあるが、もしかしたら、、、、性転換病と、耳を治すという超常現象に、何か関係があるのかもしれない。
もしそうだとしたら、僕が性転換病になったことにも、何者かの意図が関与している可能性がある。
何者かによって、薬を飲まされたのかもしれない。どこかの高校生探偵みたいに。
相手の男たちが黒ずくめじゃないといいけど。
あーでも、ナイジェリア人の可能性もあるのかな?
場合によっては、リアーナやサーナちゃんが危険にさらされる可能性だってある。
「性転換病と耳を治す方法、、何か関係があるとでも?」
「い、いいいいやいヤ、そんなことあるわケ、、」
こーれは、関係あるな。
「正直に答えてくれいないと、、、あなたの正体を世間にバラします。」
「ふん、、そんなことが出来ると思うカ?
私の前でそのようなことをほざいておいて、生きて帰らせるとでモ?」
「僕にだってファーレンハイトから護衛の精鋭部隊が付いています。彼らはそう簡単にはやられません。
僕がリアーナに電話をするか、配信を開始するくらいの時間は稼いでくれるでしょう。」
「チッ、、、」
安易に正体をバラすからじゃん、、。
本当に、国家元首に向いてないぞコレ。なんで会議で選ばれたの?
ニーナは、国家元首っぽく爪を嚙んでしかめっ面をしている。
徳川家康のマネかな?あの人、よく爪を嚙んでたらしいよ。
「まぁいいゾ。教えてやろウ。」
ちょろい。
情報、ゲットだぜ!!
だが、何か胸騒ぎがする。
おかしい、もう僕やリアーナの脅威となる敵などいないはずなのに。
旧皇家は粗方片付けたし、エフタリア帝国の残党も、サーナヴェルが先日処刑されたことで鎮静化したはずだなのに、、。
きっと何か、何かがおかしいんだ。
何だ、、、、何が、、、、、
モチベーションが滅亡してるのでしばらく止まります。
追記:国家元首様が配信に出る云々の部分でストーリーの矛盾があったため強引に修正しました。
少し変な話の流れになっているのはそのためです。




