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TS美少女ロリイケボ系配信者  作者: 仏滅
帝国の残滓編
25/45

憎悪

「どうしよう」のサーナちゃんの外見についての描写を足しました。

エフタリア帝国。


それは、俺の祖国であり、大陸中部の広大な領域を支配していた大国だった。



俺はその国の皇太子として生まれ、実に平穏な暮らしをしていた。




だが、その平穏は、突如として奪われた。






悲劇が始まったのは、六年前のこと。


エフタリア帝国は、突如として隣国のファーレンハイト王国に侵攻した。


今では、エフタリア帝国がファーレンハイト王国を一方的に攻めたことになっているが、それは真実ではない。


そもそも、最初に攻撃を仕掛けてきたのは、ファーレンハイト王国だった。


ファーレンハイト王国は、その圧倒的な財力をもって、エフタリア帝国を経済的に支配しようとしていたのだ。


そう、母上が言っていた。


帝国国内には、ファーレンハイト王国の企業が乱立し、帝国の大企業が王国の大企業に買収されるという事案が多発した。

更に、飢饉が発生した際には、ファーレンハイトから援助と称して多額の金銭が届いた。もちろん、エフタリア帝国が借金したという形で。


こうして帝国は、王国に財政的に依存しかけていたらしい。



何度抗議をしても、王国側が帝国への経済的な進出を止める気配は無かった。


このままでは帝国が崩壊してしまう。

そう考えた皇帝、デイウルメ・ディ・エフタリアは、最終手段として、軍を動かした。


幸い、ファーレンハイト王国の軍隊は弱かった。

なので、デイウルメは、軍事力でファーレンハイト王国を黙らせようとしたのだ。


当初は、小競り合いと共に軍事的圧力をかけ続ければ、ファーレンハイト王国はすぐに降参すると考えられていた。

だが、王国は、降参しなかった。


それどころか、更なる経済進出を進めてきた。



そして二年前、しびれを切らしたデイウルメは、ついに大軍を動かした。

その数、約十五万。


数と練度で圧倒的に勝る帝国軍は、王国軍を次々と打ち破り、ついには王都を包囲した。


今度こそ王国は降伏する、、誰しもが、そう思っていた。





だが、奴らは、諦めなかった。





突如として、ファーレンハイトの王都守備隊が、攻勢に打って出た。


デイウルメ含む帝国上層部は、玉砕でもしに来たかと鼻で笑っていたが、そうではなかった。



あのファーレンハイトが、無策で攻撃を仕掛けてくるなんて有り得ない。


そう思うのが正解なのだが、この時の帝国サイドは、勝利を確信しきって慢心していた。







実際俺も、勝てると思っていた。















そして、後に王都防衛戦と呼ばれるこの戦いで、エフタリア帝国軍は大敗した。





完膚なきまでに、叩き潰された。







ファーレンハイト王国は、最後にして最強のカードを切ったのだ。



【日ノ本の叡智】レーア・スラグ。


今やファーレンハイト王国の英雄となっているその男は、間違いなく天才と呼ばれる部類の人間だったのだろう。



何倍もの兵力差を物ともせず、練度も低い王国軍を自在に操り、次々と帝国軍の精鋭を破ってみせた。



ついには、帝国軍は国境近くまで押し戻された。




流石に危機感を持ったのか、皇帝デイウルメは、ファーレンハイトと講和を結ぶことを決定した。

そして、ファーレンハイト王国に、使者が送られた。









だが、その使者は、一枚の紙と共に、首から上だけになって帰ってきた。



その紙は、レーア・スラグからの手紙だった。


そこには、『私は怒っている。私の大切な人を傷つけ、大切な人の国を破壊してまわった貴様らには、死んで詫びてもらうことにした。』と書いてあった。



俺たちは理解した。


決して手を出してはいけない存在を、怒らせてしまったということを。




エフタリア帝国軍は、必死に抵抗した。


数と練度でまさっているのだから、普通は負けるはずがないのだ。



森林を使ってゲリラ戦を展開したり、要塞に立てこもって敵に弾幕を浴びせたり、敵基地に空爆を行ったりと、あらゆる手段を尽くした。


だが、それらの作戦さえも、レーア・スラグの前には無意味だった。



帝国軍は段々とその数を減らしていき、ついには帝都が包囲された。




宮殿では、将軍によるクーデターが発生し、皇帝デイウルメは将軍によって討たれた。


将軍は城門を開け放ち、ファーレンハイトに降伏した。




皇族たちは捉えられ、処刑された。

エフタリアの血統は途絶え、帝国は滅亡した。





こうして、エフタリア=ファーレンハイト戦争は、幕を閉じた。




世間一般では、そう解釈されている。













()()()()()()()()()()()





エフタリアの尊き血統は、まだ途絶えていない。








そして、戦いはまだ、終わらない。




この俺、サーナヴェル・ディ・エフタリアが生きている限り。







「あぁ、、許せないよなぁ?」




確かに、軍事侵攻した俺たちが悪かったのかもしれない。





だが、先にちょっかいをかけてきたのは向こうのはずだ。


それに、道理とか関係無しに、どうしても父と母の命を奪った奴らを許せない。







これは、俺の個人的な感情の問題だ。














将軍はもう殺した。


後は、全ての元凶である、レーア・スラグだけだ。






奴さえいなければ、エフタリアは負けていなかったし、両親は死んでいなかった。





全ては奴のせいだ。









俺から、あの温もりを奪った。



父の、ゴツゴツとした頼もしい身体、朗らかな笑い声、優しく背中を押してくれる大きな手。


母の、全てを包み込んでくれる優しい声、上品な笑い声、背中をゆっくりとさすってくれる優しい手。



そして、俺へと注がれる、溢れるほどの愛情。





その全てを、奴は、、、レーア・スラグは、、、奪ったのだ。









許せるはずがない。









だから、必ず見つけ出す。









将軍と同じように、、、いや、それ以上の絶望を、奴に与える。




















そして、 ――――――――――――――――






































――――――――――  「 殺 す 。」






安心してください。

この作品がシリアスになることはありません。

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