『犯罪者系配信者』
「やぁ皆、こんにちは。」
上位チャット:ちわー
上位チャット:ちわー
上位チャット:ちわー
今日はいつものような、家の配信部屋からの配信ではない。
美少女のお家の前からの配信だ!
「今日は、美少女の家に潜入していきたいと思います、、ふぅ。」
そういって僕は、持っているタバコをくるくると回して、ついでにニヒルに笑ってみる。
「流石にそのタバコ捨ててから入ってくれるよね?」
美少女から苦情が来た。
「えー?」
部屋にタバコの匂いが充満するあの感じ、良くない?
僕の部屋とかもうタバコと酒の匂いしかしないんだけど。
上位チャット:人の家にタバコを吸いながら入るなwwwww
上位チャット:相変わらずバケモンで草
上位チャット:何で中学生くらいの美少女がタバコ吸ってるんでしょうねぇ?
上位チャット:これでも成人済みなんだよなぁw
上位チャット:『犯罪者系配信者』定期
上位チャット:サーナちゃんに謝れw
上位チャット:サーナちゃん男ってマジ?
僕の隣に居るのは、前にコンビニで知り合った金髪女装男子のサーナちゃんだ。
「こちらは女装のプロのサーナちゃんです。ほらサーナちゃん、挨拶しなさい。」
「えぇっと、サーナです。よろしく、、って何で上から目線!?」
日ノ本には年功序列という概念があるのさ。
「僕の方が年上だから。もちろん敬語も使ってね。」
「先にタメ口で良いって言ったのはそっちでしょ!?」
「そうだっけ?」
一応完全記憶能力を持ってるはずなんだけどなぁ、、
上位チャット:記憶力www
上位チャット:レイル老化してる?
上位チャット:あぁ、、今日も声が美しい
上位チャット:サーナちゃん今日はツッコミがんばってね
上位チャット:レイルの圧倒的なボケの連射を受けて生き残れるのか、、見ものですね
僕のスマホのコメント欄をじっと覗いていたサーナちゃんが悲鳴をあげる。
「え、待って、この人ヤバイとは思ってたけどそんなに?」
「気にしない気にしない!さぁ行こう!!」
前に言ってた通り、サーナちゃんとコラボすることになった。
今回の配信は、サーナちゃんの家に一緒に行って、彼女の生活を暴露するというものだ。
端から端まで暴いてやるぜ、、
上位チャット:レイルの顔よww
上位チャット:悪そう過ぎるw
上位チャット:あぁサーナちゃんよ、、哀れな
上位チャット:南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、、、
僕は、タバコの吸い殻をきちんと処理してから、サーナちゃんと一緒に彼女の家に入った。
これでも僕は、マナーを守れる男、、女?なのさ。
「まずは一階を探索してみよう。」
「変なものとかは隠したので、大丈夫なはず、、、」
隠したってことはあるんだよね?
「エッチな本探しでもする?」
「えぇっ!?」
上位チャット:隠したってことはあったんだ、、
上位チャット:サーナちゃんも男だから
上位チャット:男の娘だもんな
上位チャット:そっかこの娘って男なんだ
上位チャット:普通に忘れてたわwww
サーナちゃんは、親と離れて一人暮らしをしているらしい。
配信でがっぽり稼いで、この一軒家を買ったのだとか。
いや、どんだけ稼いでるの??
一軒家って凄い高いよね!?
僕の家でも1億ちょいくらいはしたんだけど、、
女装系恐るべし。
「お邪魔しまーす。」
一階はおしゃれなリビングだ。
端の方には本が置いてあって、生活感が漂っている。
「ふむふむ、、怪しい所はないね、、、おっ、これはメイク道具?」
「うん、配信する時に使うやつ。」
「へぇー、こんなに種類があるんだ、、、。」
机の上には、沢山のメイク道具が置いてあった。
新品のものから、結構使い込まれているもの、、中には空っぽのものもある。
上位チャット:ひぇっ、、こんなに使うのか
上位チャット:女の子って大変なんだな
上位チャット:レイル様ってメイクしてるんですか?
上位チャット:確かに、気になる
上位チャット:絶対肌とかもちもちだよな
上位チャット:ひょっとしてスキンケアガチ勢?
「あー、僕は、特にメイクとかスキンケアはしてないよ。」
「はっ!?お前なにもしてなくてそんなに肌きれいなの?」
サーナちゃん、口調口調
「戻ってるよ、、」
「あっ、、んんっ、、、どうしてそんなに肌きれいなの?」
「分かんない。」
「おい」
上位チャット:サーナちゃんwwww
上位チャット:男が出ちゃったなw
上位チャット:でも声は可愛いの草
上位チャット:あれ地声らしいぞ
上位チャット:ウチのレイル様もイケボですよ!!
上位チャット:パッと見たら美少女二人なのに、片方はTSしててイケボで、もう片方は男なの面白すぎるwwww
上位チャット:純粋な美少女がいねぇ
上位チャット:純粋な美少女とは
上位チャット:美少女の本質を考える。それが、美少女の哲学です。
「お?あれはペットかな?」
「よく気づいたね、あれはウチの自慢のカエル、ルビーちゃんです。」
「美味しそうだね」
「ん?」
上位チャット:えっとw
上位チャット:お い し そ う だ ね
上位チャット:食い意地張りすぎだろwww
上位チャット:イケボの無駄遣いやめいw
上位チャット:カエルを見て第二声が『美味しそうだね』は草すぎる
上位チャット:人のペットは食べちゃだめ
上位チャット:自分のでもダメだろwww
「ウチのルビーちゃんは渡さない。」
「いや、冗談だからね?」
「この人が言うと冗談に見えないんだけど、、、」
上位チャット:それなw
上位チャット:基本無表情だからw
上位チャット:しかも感情の起伏が少ない低音イケボ
上位チャット:たまに笑ってくれるぞ?
上位チャット:どういう時に?
上位チャット:それこそさっきのカエルを見た時とか
上位チャット:待てよ、ということは、本気で美味しそうだと思ってたのか、、?
上位チャット:ダメだ、これ以上触れてはいけない
その後、十五分間に渡り捜索したが、エロ本は見つからなかった。
クソっ、、手強いな。
「一階は粗方探索したし、次は二階に言ってみよう、、、あれ?」
階段を上る前、ふと賞状などが置いてあるところを見ると、見覚えのある記章が視界に入ってきた。
見間違えるはずがない。
確かにそうだ、間違いない。
なんて言ったって僕は、完全記憶能力を持っているんだから。
でもまだ、サーナちゃんがどのような立ち位置に居るかは分からない。
ただのコレクターでたまたまアレを持っていたという線もある。
とりあえず、帰ったら、リアーナに連絡しないと。
「どうしたの?」
「ん?あ、ごめんごめん、何でもないよ。行こっか。」
上位チャット:よーし、
上位チャット:今度こそエッッな本を見つけるのだ!
上位チャット:なんか一瞬表情が変わった?
上位チャット:マジ?
上位チャット:俺でも見逃したんだが
上位チャット:それな!しかもレイルちゃん何か言ってなかった?
上位チャット:本当に?
上位チャット:気のせいじゃね?
「気のせいだよ?」
上位チャット:おい絶対何かあるだろw
上位チャット:なんだなんだ?w
上位チャット:うーん、わからん。




