なんとまぁ暑いのでしょうか
き、季節感が、、
「んーっ!たまには散歩も良いね。」
澄み渡る青空の下で、僕は大きく伸びをした。
散歩と言っても、カップラーメンの在庫が無くなったのでコンビニに向かうだけだが、僕にとっては約一週間ぶりの外出となる。
「やっぱり引きこもり過ぎも良くないか。」
リアーナに怒られちゃうし。
それにしても暑い。
夏だから仕方ないんだろうけど、どうにかならないものか。
「えーっと、太陽を抹消するには、、どの規模の爆弾を作ればいいんだっけ、、、」
なんて馬鹿なことを考えながら、僕はコンビニに入った。
「ふぅっ!?涼しい、、、」
冷気が気持ち良い。
最高だ。生きてて良かった。
「えーと、カップラーメンは、、、どこだ?」
あまり必要ないことは忘れちゃうんだよね。
確か、向こうの棚にあったはず、、、
「あ、あった。」
ついでにタバコも買って帰っちゃおう。
カップラーメンをカゴいっぱいに詰め込んで、レジへと向かう。
「すみません。後、102番もお願いします。」
僕がそう言うと、優しそうな若い女性の店員さんが、ピキっと固まった。
「えっと、、102番を、、、、」
え、伝わってるよね?
あの102番のタバコが欲しいってことだけど、、、
しばらくじーっと見つめていると、店員さんが我に返ってきた。
「あの、すみません、、聞き間違えたかもしれません。もう一度お願いします。」
「102番下さい。」
「た、、タバコ、、ですよね!?」
「、、?はい。」
どうしたんだろう?
そんなに僕がタバコを買うことが意外、、あ、そっか。
今の僕って中学生くらいに見えるのか。そりゃあ驚くよね。
「一応、成人してますよ?」
そう言って、免許証を見せる。
写真のところはきちんと今の美少女ルックに変わっているので、問題はない。
「そ、、そうでしたかっ!!すみませんっ!102番ですね?」
「はい。」
店員さんは慌ててつつも、しっかりとした手さばきでカップラーメンをまとめて袋に入れ、タバコも渡してくれた。
「ご買い上げありがとうございました。」
店員さんの可愛い声を聞きながら、僕は店を後にした。
外に出た瞬間に、蒸し暑い空気に包まれてブチギレそうになるが、何とか我慢する。
「はぁ、、吸って帰ろ。」
ちょうど近くに喫煙所あるし、、最近吸っていなかったから禁断症状が出そうだ。
「うぅ、、あっつぅ、、、、う?」
暑さに立ち向かいながらダラダラと喫煙所に入ると、先客がいた。
こんなマイナーな喫煙所に人がいるなんて珍しい。しかも、とんでもない美少女だ。
美しい金髪を持ち、お胸は大きく、顔は少し目元がキツめだが整っている。
それにしても、こんな美少女がタバコを吸っているなんて、、世の中何があるか分からないものだね。
僕が言えたことじゃないんだけど。
「はぁはぁ、、、。」
というか、暑さで死にそう。
体力ノミ以下だから歩いてるだけで死にそうなのに、こんなに暑いなんてもう拷問じゃないか?
「あぁぁ、、うっ、、、」
しかも、き、禁断症状がっ、、、
「ふぐぅっ、、ヘッヘッ、、、っ!」
僕は素早い手付きでライターを取り出し、火をつけた。
「ふぅー、、、。」
生き返るぅ!!!
「で、どうしたの?」
「いや、『どうしたの?』じゃなーい!」
例の美少女が僕のことを驚いたように見つめていたので、声をかけたらキレられた。
何で?
というか、つばが飛んできて僕のほっぺに着弾したんだけど?
舐めちゃお。
「今さりげなく私のつば舐めなかった!?、、まぁいいや。
で、『どうしたの?』だっけ?そりゃあ喫煙所に明らかに未成年の美少女が、死ぬ三秒前みたいな形相で入ってきて、タバコ吸い始めたたら普通驚くでしょ!?」
「確かに!でも僕成人してるよ?」
この免許証が目に入らぬか!?
「えっ、、あっ、、本当ですね。すみません、疑っちゃって。」
「いいけど、なぜ敬語?」
「だって、あなた、私より年上だし、、、」
若いねぇ。
「別にタメ口でいいよ?僕と君の仲なんだから。」
「いつそんなに仲良くなったのかは分からないけど、ありがとう。そうさせてもらうね。」
え?出会って会話したらもう友達じゃないの?
リアーナがそう言ってたよ?
って、そろそろヤバイかも、、。
「ところで、ちょっとお願いしていい?」
「えっと、、何?私が出来ることならしてあげるけど、、」
美少女は不安げだが、そんなに難しいことじゃないので安心して欲しい。
「僕、体力無いんだよね。」
「あ、、うん、、」
「でさ、今暑いじゃん?」
「うん。」
この喫煙所には、容赦ない日差しが降り注いでいる。
気温はそろそろ40℃といったところか。
暑すぎるね、全く、、これだから異常気象は、、、。
「その、そろそろ倒れそうだから、倒れたら涼しい所まで運んでくれない?」
「うん、、、うん?」
あ、、ヤバイ、、、
「じゃあ、よろし、、く、、、、、、」
「えっ、、はぁぁぁっ!?ちょちょちょ、、おいっ、、噓だろ!?」
意識を失う直前に、野太い男の声が聞こえた気がするが、気のせいだろう。
この喫煙所には、僕とあの娘しかいないのだから。




