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TS美少女ロリイケボ系配信者  作者: 仏滅
【Order Of Phantoms】編
18/45

全ては愛しき貴方の為に

リアーナ・ラ・ファーレンハイトには、婚約者がいる。


彼は、長身のイケメンだった。そして、とても美しい声を持っている。


といっても今は、彼じゃなくて彼女、、なのだが。




「はぁ、、、終わらないわね。」


ペンを置いた私は、机の上に机の上に積み上がった書類の山を見て、思わずため息をついた。


これさえ終われば、玲明れいあに会いに行けるというのに、、一向に減る気配がしない。


まぁ戦後だから、こんな風に忙しくなるのは、仕方がないのだが。


「こうやって平和に過ごせているのも、玲明のお陰だものね、、。」


そう、すめらぎ 玲明れいあ、、いや、【日ノ本の叡智】レーア・スラグは、ファーレンハイト王国にとって、救国の英雄だ。

彼がいなければ、今頃この国は、エフタリア帝国の属国となっていただろう。



六年前。隣国エフタリア帝国は突如、ファーレンハイト王国への侵攻を開始した。

と言っても、最初は小競り合い程度のものだったし、私が日ノ本国に留学出来るくらいには余裕があった。



その侵攻が本格化したのは、二年前のこと。



国境にあるエイア砦に、約15万のエフタリア帝国軍が押し寄せてきたのだ。


ファーレンハイト王国に、エフタリア帝国軍を押し返せるほどの力はなく、当然エイア砦は陥落し、帝国軍は王都まで迫ってきた。


当時日ノ本国に留学していた私がその知らせを知ったとき、家族から帰ってくるなと言われていたが、何としてでもファーレンハイトに向かおうとした。

でも、無理だった。


ファーレンハイト王国行きの飛行機は全て欠航しており、船も出ていなかった。


私は、絶望した。

家族が祖国で必死に戦っている中、私だけが平和な日ノ本国にいる。


そんなことが、あって良いのだろうか。


秘密裏に小型の飛行機を手配してファーレンハイトに向かおうとしたが、使用人に見つかって止められた。

父に、止めろと言われていたらしい。


『リアーナだけでも、生きていて欲しい』と、父はそう言ったそうだ。



ファーレンハイトの王女なのに、祖国の危機に駆け付けられない。


その事実は、私を、絶望の底へと突き落とした。








今まで私が学んできたのは、何のためだっただろうか。








祖国のため、家族のためではなかったのか。








祖国のために役に立たない王女など、必要なのだろうか。











私の存在意義とは何なのか。



もし祖国を失い、家族さえも失ったとすれば、私は何のために生きていけばいいのか。











自己の存在意義さえ否定し、生きていても意味が無いとさえ思っていた時、私の前に現れたのは、彼だった。








彼は、以前のような濁った目ではなく、輝きを取り戻した美しい目をしていた。







私が願うと、皇 玲明は、私を家から連れ出して、ファーレンハイトへと連れていってくれた。





そして、『貴女は僕の恩人であり、僕の全てだ。貴女のために僕は存在している。だから、遠慮なく僕を使って欲しい。』と言ってくれた。



なので私は、藁にも縋る想いで、彼に助けを求めた。









命の危険が伴うことだったにもかかわらず、彼は快く了承してくれた。















そして、彼のその圧倒的な才能の下、ファーレンハイト王国軍は首都防衛戦で、エフタリア帝国軍を破ることに成功した。

勢いに乗った王国軍は快進撃を続け、エフタリア帝国軍を国境まで押し返し、更に、帝国国内にまで攻め入った。


遂には、帝都が陥落し、エフタリア帝国は滅亡した。




滅亡まで秒読みだったファーレンハイト王国が、逆にエフタリア帝国を滅ぼしたのだ。



国民は歓喜に沸き、【日ノ本の叡智】レーア・スラグは救国の英雄として崇め讃えられた。




エフタリア帝国を滅ぼしたことによって、ファーレンハイト王国は恐怖に怯える必要がなくなり、更に、領土も二倍近くに肥大した。









これも全て、彼のおかげだ。










たった一人で一国の命運を背負い、見事敵を打倒してみせた、私の英雄。














私は彼を、愛している。











世界で一番、愛している。




















家族よりも、それこそ祖国よりも、、彼が大切だ。







王女としていけないことだと自覚しているが、仕方がない。





恋というものは、誰にも止められないのだ。







彼は、『貴女は僕にとっての全てだ。』と言っていたが、私も、彼は私にとっての全てだと思う。











美しき相互依存関係。







互いが互いのことを生きる意味だと思っている私たちは、まさに一心同体であり、深い愛で結ばれているのだ。















今日は、バレンタインデー。




















溢れ出る愛の気持ちを、チョコという容器に詰め込んで、愛しき人へ届ける日。







































皇 玲明 様。







私は、最愛の貴方のために、このチョコを送ります。





























「殿下、手が止まっておられます。」



「あっ、、あぁ、すみません。」








この書類を片付けてから。

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