噂
4話目投稿しました。
「では、ここの問題を解いてください」
あれから放課後に2人きりで勉強会をするようになった僕たちだが、思ったより島原さんがスパルタだったことに驚かされた。普段はゆったりしてそうなのに、と少しギャップを感じながら、そこが彼女を彼女たらしめている部分なのだろう、そう思うことにする。
「え、えっと……これでどうかな!」
「…正解ですね」
「よぉし!」
「…ちょうどキリよく問題も終わったことですし、今日
の授業はこれくらいにしておきましょうか」
「そうだね、もう5時半だ」
彼女とのマンツーマン授業は終わり、2人は向かい合ってそれぞれの勉強をする。しばらく沈黙が流れた後、ある質問をしてみる。
「島原さんは、好きな人とかいないの?」
「好きな人、ですか?」
「うん」
「それは去年の噂の真偽を聞いているのですか?」
実は去年、彼女はある男の先生が好きだったという噂が流れたのだ。学校中に広まっていたため、弁論の余地もなくその先生は離任してしまった。それがより一層真実味を強めたのだろう、今まで誰もが彼女を避けていた。そのせいで本当かどうかは今となっては分からない。
「そうじゃないよ、純粋に気になっただけなんだ。
気を悪くしたなら、ごめん。だけど僕はあの噂は信じ
てないから」
「…」
彼女は何も言わなかった。そして一言だけ
「ごめんなさい」
そう言って、帰ってしまった。
「島原さん…」
僕は追うこともできず、小さな背中を眺めることしかできなかった。そして、昨日はごめん、と謝ろうと思っていた次の日、彼女は学校に来なかったーー
噂は怖いですからねー…
その人を傷つけてしまうこともあります。
根も葉もない噂はしないに限りますね。