私と彼女の出会い
都つぐみ、18歳。
この春高校を卒業し、地元の印刷会社に就職した。
私の住む町は人口約3万人の小さな港町だ。
南側は海に面しており、北側には山脈が広がる。
必然、街は東西に長く伸びる。
雨が少ないおかげで盆地の地形でも洪水が起こらない。
その代わり大きな川もないから飲用水は隣町の境目の清川沿い、山の麓にダムが建設された。このダムが建設されるまではこの清川が毎年氾濫していたらしい。
ここ100年くらい大きな災害は起きていないというのだからダム様様だ。
なんで街のことを話しているかって?
ここがどれだけ普通の街なのかまずは知ってほしかったからだ。
今、私の目の前には中世ヨーロッパのダンスパーティーを思わせるドレスを着た女性が目の前にいる。
と言っても、私と変わらないような年頃に見えるんだけど・・・。
ハロウィン?はまだ半年も先だし。
ていうか、そこの公園から押し出されるように転がり出てきたよね?
綺麗なブロンドの髪はゆるふわで、目はきれいな翠。
「こんにちは」
いやいや、日本語通じるのか!?ていうか何語なら通じるんだ!?
「こんにちは」
・・・通じたあぁーーー!!!
まじかぁ。日本語通じた。
これがリーシュとの出会いの瞬間だった。
一陣の風が桜の花びらを舞い上がらせ幻想的だったことを決して忘れない。