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残りの人生を異世界で  作者: 黒檸檬
1章.異世界で冒険者になろう
13/18

13.修道女捜索


 夜の迷宮は恐ろしい。夜にしかない素材やモンスターを目当てにでもしない限り、滅多なことでは、足を踏み入れない。

 

・暗闇そのもの。視界の悪さ。

・凶暴な夜行性のモンスター

・そして明かりを目当てにやってくるモンスター


 デメリットを上げればキリがない。1日で行けないような上層を目指すにしても、夜は安全圏で野営してやり過ごすことが多い。


 メリットもなくはない。夜行性の凶暴なモンスターが跋扈する代わり、日中動き回っていたモンスターは棲家に帰り睡眠をとる。

 モンスター自体は少なくなかったりする。


 夜にしか取れないモンスターや植物の素材も高値で取引されるため、それもメリットとも言えなくはない。

 それも、命あってのものぐさだが。


 間違っても、新人冒険者がおいそれと挑んで良いものじゃない。


 先頭を歩くのはアルム。ライトの魔石が入ったランプを持って道を照らしている。

 俺とディーネは離れすぎずといった距離で、彼の後を付いてる。ランプで片手の塞がったアルムを、いつでも助けられるように、警戒しつつだ。


 暗い道をゆっくりと歩きながら、アルムが口を開く。

 

「そのシスター、1人だけなら行けて4層って話だったよな?」


「あぁ、探しに来たシスターさんがそう言ってたな」


「今日、僕らが探索してた3層にはいないと見て良いだろ。4層を隅まで探してみるか……」


「いや、だとしたら5層にいる気がする。無理矢理とはいえ迷宮に入り込んだなら、限界を目指すってのが、カタリナのあり方だと思う」


 あくまで、数回関わった中での勘だが。

 彼女は、きっと嬉々として上は目指す。


 だが、頭が悪いわけではない、自分の実力を分かって、協会主体の探索には呼ばれないだろうと、諦めてるくらいだ。


 今回の目的としては。

 待ち焦がれた迷宮探索を楽しむこと。

 ついでに実力を示したいといったところか。周りの思う実力以上の階層を目指すに違いない。


 決して、このチャンスに迷宮の頂上へ、という考えじゃないはず。だから自分の実力の少し上というところが妥当。

 

「ーー4層をざっと探してから、5層に上がるか……ある程度は道は分かってる」


「流石、アル! 頼もしいね」


「お前が原因だがな。いつ上の層に行きたがるか分かったもんじゃないから、準備するこっちの身にもなってくれ」


 方針として、モンスターは徹底して避けていく。

 やむを得ない場合に限り、戦闘を行い、先を目指す。

 途中、すれ違う冒険者にカタリナのことを尋ねることも欠かさない。僅かでも手がかりが欲しい、迷宮にいてもいなくてもそれは必要だった。


「ーーそう言えば、1人でぴょんぴょん飛び跳ねてた修道女がいたな。背はこんくらい、スッゲー楽しそうにしてたっけか、なぁ?」

「いたなそんなのも。たしか3層だったか?」

「今思えば妙だったな。俺たちのルートはかなり順路から外れてたはずだが……」


 奥に行くにつれ、有益な情報が増えてきた。

 段々と彼女の行動が見えてきた。朝早く、人目のつかないタイミングで迷宮への侵入を図ったのだろう。


 朝早くから上層に向かって、夜遅くに探索を終えて帰るようなパーティー、彼らが見かけていることから明らかだ。


「なっ……やっぱりか。皆さんありがとうございます」


「嫌な予想が当たっちまったなグレイ。どうする? 一旦協会の人らに伝えに戻るか?」


 アルムの提案に乗るのもありだ。

 仮にカタリナを見つけたとて、状況によっては俺たちじゃ力不足になってしまうかもしれない。

 だが……、これまた帰ることで手遅れって事もある。


「いや、俺らで見つけて連れ帰ろう。手遅れになる前に」


「それもそうだな。探索を続けるぞ」


 4層に着くと 遠くからジッと見られてるかのような。周囲を見渡すと森の中で光がいくつか輝いている。

 あれは、目か? 俺たちという獲物を狙うかの如く、気を伺ってるようだった。


「ちっ、『森林梟』か。いいか、森の中には踏み込むな。迷宮の道だけを歩け、絶対だ。あいつらはテリトリーに踏み込んだ奴を狙ってくる」


***

【モンスター】

 名前: 森林梟

 レベル: 6


【モンスター】

 名前: 森林梟

 レベル: 5


【モンスター】

 名前: 森林梟

 レベル: 7

***


 注視したステータスを見ても、間違いない。こいつらは森林梟というらしいが、いかんせん数が多い。


 それにフクロウか。いかにも夜行性のモンスターだ。それにレベルも高いのがちらほらいる。まとめて相手するのは困難だろう。


「強いの?」


「一体一体はそうでもないが……狡猾だ。的確に、複数で襲ってくるって話」


「この暗闇のなか……嫌ね、今日はパスしましょ」


「助かるが、妙に聞き分けがいいな。いつもそうして欲しんだが」


「あー、人の命がかかってるからね。私も真面目になるって」


「はぁ、そうかよ」


 

 暫く探索を続けて分かったが、この層は静かなものだった。広範囲に森林梟とやらが跋扈してるものの、積極的に襲ってくることはなく。

 道中、寝ぼけた丸狸を数度見かけたが、そいつらは無視した。


 日中に探索した場所はほどほどに、その他をじっくり探索するも、カタリナの姿はなかった。そのまま、次の層への階段までたどり着いてしまう。


 すれ違う冒険者もいなくなり、新しい手掛かりもない。が、4層は隈なく探したといえる。

 彼女はここにはいないだろうと判断して、俺たちは先に進む。


*****


 5層に足を踏み入れた瞬間、大型の獣と思わしき咆哮がフロア全体に木霊した。


 俺たち3人は誰一人、迷うことなく駆け足で、音の出所へと向かう。

 目前には大きな扉が……。そこは5層のボス部屋だった。


「ーー魔法《ホーリー・アロー》」


 扉の先から、聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。

 


短いですが、更新です。

お読みくださりありがとうございます。

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