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ラブゲーム開始します!

紗枝メデオスが酷い

「ぎゃー!あと少しだったのにぃ〜!!なんであそこですり抜けちゃうのかなぁ?俺愛の限定超レアフィギュアが目の前にあるのにぃぃい!!」


「おい、少し声のボリュームを落とせ。すげえ見られてる」


はぁ!?それがなんだっていうんだよぉ!

そんな事は今どうだっていいんだよ!


私の中で今期一番暑い乙女ゲーム【俺は君を愛せない〜禁断のオフィスラブ〜】に出て来る一番の推しが目の前に!


こんな寂れたゲームセンターにひっそりと置かれていたなんて、リサーチ不足だったわ!


コレは正しく運命。

私は彼を手に入れるまで、ここから一歩たりとも動かない!


「お前・・・まさかいつもこんな物ばかりに金使ってんじゃないだろうな?この後映画と食事に行くんだぞ?大丈夫なのか?」


なんだよ、今集中してるから話しかけないでよ。

ん?そもそも、なんでコイツと一緒にいるんだっけ?

あ、デート?いや、デートではないな?コレ勝負だもんな?

じゃ、ほっといても大丈夫だよね?


どうせ勝つのは私だし?


「次で決める!あと少し、あと少しで取れるんだ!神よ!私に力を与えたまえ!!その為なら私なんでもしますのでぇえ!!」


「・・・・・・お前そんな事の為に魂売るなよ。あ、馬鹿だから言っても無駄だったか?」


煩い。ちょっと黙ってアトラーニ野郎。

私は今、大事な局面を迎えている。


目覚めよ!私の第三の能力!

ユーフォーキャッチャーの、匠!!


「あ、スカッたな?」


「・・・・・・・・」


酷い。


この世界には神様なんか存在しなかった。

そうだよ。私が生まれ変わった経緯からしたって酷いもん。アトラーニと決着が着くまで自由に恋愛出来ないってなんなの?なんの罰ゲーム?まぁ好きな子と両想いにならないのは仕方ないとしてもさ?その鬱憤を自分の推しに求めるくらいよくね?心のオアシスぐらいよくね?


チャラチャラーラーチャチャララー


いや、そもそもなんでアトラーニと性別同じにしてくれなかったの?そしたらさ?多少は勝負の幅が広がったと思うんだよね?あと、どうせ男に生まれ変わらせるならもっと私好みのカワメンにしろや。ぶかぶかのパーカーとか裾長めに着ても似合うようなお目めパッチリ系の美少年にしろや!


なんでよりにもよって大した特徴もない短髪の目付き悪めの地味メンやねん!


ガチャンッ!


「おい」


「あん?」


今超絶機嫌悪いから声かけんなモブ男!!


「取れたぞ。欲しかったんじゃないのか?」


御免なさい全部嘘ですコイツを生まれ変わらせてくれた女神様本当にありがとうございます地味メンいいじゃん?うんうんモブって考えてみれば絶対この世界に必要だよね。私今日から自分の考えを改める事にした!


「昨日の敵は今日の友だよね?アトラーニ大好き!」


「・・・お前、本当に心にもない事平気で口にするな?今の流れ全部筒抜けだったぞ?お前無意識にぶつぶつ口に出してたからな?」


やったー!!

これオークションとかで買ったら恐らく片手の指の本数くらい出さないと手に入らない激レアなんだよぉー!

でかした!アトラーニお前実はいい奴だったんだなぁ?


「おい。俺はまだそれをお前にやるとは言ってないが?」


「え!?な、何故!?ハッ!?ま、まさか貴様よく聞く隠れ腐男子!?」


「お前女に生まれ変わったから俺が何も出来ないと思ってんだろ?お望みなら今すぐそこのドブに沈めてやってもいいんだぞ?」


ちぇー!ケチ!

分かった分かった三百円返せばいいんでしょーよ!

一回で取れたんだから別にくれてもいいじゃん。

これだからモテない男はなぁ〜?


「はい!三百円」


「いや、お前この前の飲み代は返さなくていいから、この後の食事代とかは全部メデオス、お前が出せ」


ぎゃひ!

ケチどころじゃなかったこの男。

人の足下を見てくる鬼畜野郎だった!


ん?いや、でも待って?


「・・・・・・おい、まさかお前・・・・・・」


「え〜〜〜とぉ・・・ごめん、この前と今日の分ツケでいい?」


余りに夢中になり過ぎて財布に三百円しか残ってなかったわ。あっれー?結構入ってた筈なんですけど?

おっかしい〜なぁ?


ん?アトラーニなんだか顔色悪いけど、どうした?


「・・・お前、いつもこんな感じで生活してるんだろ?」


「こんな感じ?どんな感じ?」


「お前今のだけでいくら使った!?っていうかお前本当に普段どんな生活を送ってるんだ!」


お?

何なに?アトラーニ君早速可愛くなった私の私生活気になっちゃいます?そうだよね?劇的に変貌を遂げた私にもっと興味を持つがいい!


「え〜?普通だよ?まぁ強いて言うなら、飲む(お酒は相変わらず強い!)買う(推しのグッズ集めは生きる原動力)打つ(勝負するなら絶対負けねぇ!)は外せないけど・・・」


ん?何?

なに下等生物を見下ろすような目でこっち見てんの?

女だからって甘く見てっと社会的に抹殺するよ?


「・・・お前・・・思った以上にメデオスだな。やばい、殺したくなって来た」


「いやいや?それが出来たらお互い苦労してないっしょ?ここ日本。決闘とかご法度だから」


あれ?そもそも勝負する為に私達こんな事しているのでは?

勝ち負けを決める為にデートする事になったんだから真面目にやってよ。


「あのさ?真面目にヤル気あるの?アトラーニ」


「お前にだけは言われたくない!!真面目に勝負する気がないなら今すぐコレを置いて帰れ!!」


断る!!

帰るのは百歩譲っても構わないが、この限定フィギュアだけは、死んでも離さない!!


「おい!離せ!そんな顔でしがみついても駄目だからな!反省するまで俺はお前と勝負はしない!」


それはどうでもいいからフィギュアは置いていって欲しい!

そして出来ればお腹が空いたので、そろそろご飯食べさせて下さい!!もちろん、アトラーニの奢りで!!

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