僕にできるコト
人の人生ってそれ自体が物語だと思うんです。
その人の人生の中ではその人が主人公。
ってことは日常の些細な事だって
書き起こせば立派な小説になると!
そうおもいませんか!?
大好きな人の為に自分が出来ること
いろんなことがあるけど
きっと一番大切なことは
傍にいてほしいトキ傍にいてあげること。
その頃の僕らはそれが全てだと疑わなかった。
突然の事だった
確かこういのを晴天の霹靂っていうんだっけ?
「来月から違う街で暮らすの。
だから孝太とはもう会えなくなるの。」
始め聞いた瞬間は理解ができなかった
孝太ってのはきっと僕『宮島 孝太』のことだろう
そして、目の前に居るのは彼女の『岡 有紀』のはずで
いつも聞いている声なのに、
その時はカタカナの羅列を読んでいるような。
「モウアエナクナルノ。」
頭の中が真っ白になって
座っているベンチと自分の体が同化していくような感覚。
「違う街って?」
なんとかひねり出した言葉は
いちばん口にしたくない言葉だった。
「東京。お父さんの転勤で。」
有紀が片言のような日本語で話す。
「帰ってくるのか?」
お互い何かを探るような。
「わからない。でもお父さんもう歳が歳だから
これが最後の転勤だろうって。」
なんとなく、でも確実に確信に近いくらい。
「俺達どうなるんだ?」
「…。」
僕等の関係が終わってしまう気がしていたんだ。
「なんでそういうこと聞いちゃうかな。」
向き合っているのに
お互い顔を見ないままで、
でも有紀が泣いていることだけはわかった。
肩に手を置くと、コートの上からでも
わかるくらい彼女は震えていた。
両腕で引き寄せ抱きしめる。
有紀も僕の背中に手をまわす。
『このまま時間が止まってしまえばいいのに。』
心の中で何度もつぶやいた。
でも僕等にはそんな力なんかなくて。
高校生に一人暮らしなんかとうてい無理だし。
何を考えても自分達の非力さを痛感するだけで。
だから、お互いの存在を確認するため。
いや、お互いの決心を固めるため。
ただ抱きしめ合うことしかできなかったんだ。
しばらくして、口を開いたのは有紀のほうだった。
「孝太のこと…大好きだったよ…」
過去形。何を意味しているかくらいバカでもわかる。
「…。」
でも言葉が見つからない。
「なんとか言ってよ。」
有紀がまた涙声になる。
「ごめん…今までありがとう。」
有紀が僕の腕の中で首を大きく横に振る。
空を見上げるとシーツを広げたような広く白い雲が
僕等と空を隔てていた。
まるで、もう青い空など見せないかのように。
携帯の着メロが響き渡っている
時計を見ると10時。
「日曜の朝ですよぉ?」
と携帯に言ったところで効果は無い
渋々電話に出る、
「もしもし?まさか寝てた?」
目をつぶっていたせいで画面で名前を確認
するのを忘れていたが、声で誰かはすぐわかった。
「まさかも何も今日は日曜だぞ?
健全な高校生なら寝てる時間だって。」
まだ目はつむったままだ。
「健全な高校生ならとっくに起きて行動
してる時間だってば。」
「そういう考え方もあるか。」
あれから半年。僕等は情けなくも
別れる決心がつかなかった。
僕は有紀のことが大好きで、
有紀も僕のことが大好きで。
だから、お互い今より好きな人が
出来るまでは好きでいようって事にした。
「そっちの学校は慣れたか?」
なんか似たようなことをこの前も聞いたような?
「うん。友達も出来たし、だいぶ慣れたみたい。
ってこれ前にも言わなかったっけ?」
そぉそぉついこの間その話したばっかだよ
どうやらまだ寝ぼけているみたいだ。
「ごめんごめん。そぉ言えば今日は
友達と遊びに行くんじゃなかったか?」
実は昨日の晩も電話していたりする。
確か買い物に行くとかなんとか。
「そぉ、今日は春とショッピング。っで!
あの子が迎えに来るって言うから待ってんだけど
なかなか来ないんだよねぇ。」
確か『春』ってのが一番仲のいい友達だ。
「今まさにお前に電話してたりしてな。」
そう言うと有紀は
「そっか!てか電話してみればいいんだよね。
なんか暇さえあれば孝太に電話してるよぉな。」
そう、ココ半年の間、電話しなかった日の方が
断然少ない
「暇じゃなかったら電話しないのか?」
ちょっとイジワルしてみる。
「そだよ?」
なんかすごいあっさり返された。
「そんなぁ。」
僕が情けない声を出すと、有紀は
ケラケラ笑いながら。
「冗談!孝太の声できるだけ聞きたいの。
だから、今夜また電話してもいい?」
なんだか、最近からかわれる事が多い。
まぁそういうのも嫌いじゃないが。
「いいよ俺から掛ける。さて、そろそろ目ぇ開けるとするか。」
と言うと、有紀が呆れたようにため息をつく
じゃぁねと言って電話を切り
大きく伸びをして目を開ける。
窓の外は何処までも続く青い空が広がっていた。
確かに傍に居てあげることも大切。
でもそれ以上に大切なのはきっと
自分の気持ちに正直になること。
会えないのは解ってる、
電話でしか声を聞けないことも。
それでもきっとなんとかなる。
だって、僕はあなたの事が好きだから。
大きなあくびを一回して立ち上がり
洗面所に向かう。
「さぁて、今日は何すっかなぁ…」
遠距離・・・。
実際はこんなに簡単なもんじゃないです。
自分も過去に遠距離を経験しました。
その時はお互い好きなんだからなんとかなるって、
でも実際は近くに居ないってすごい辛いことで、
彼女にはホントに辛い思いをさせてしまいました。
俺って基本的に何考えてるかわかんないらしくって
『好き』って言葉は毎日伝えてはいたけど、
言葉だけでは伝わらない。
言葉だけでは信じられない。
信じていても会えないのは辛い。
そんなんがあったみたいです。
まぁすべてを聞いた訳じゃないからなんとも言えないけど
だからこれから出会うキミのコトは
今までの誰よりも大切にしていきます
それがこの約1年半で僕が出した答えです。