花物語に徒然
この大きな樹の下で生まれた物語は
青い空の向こう側に落ちていって
暗い夜空の隅で仄かな光を放ち
君の面影を静かに追っていく
風車はクルクルと回りながら
たくさんの人の恋時雨となって
人力車の男は目を閉じた
そして今花びらの音が聴こえてくる
春に芽吹く花はあなたのそばに寄り添い
夏の訪れと一緒に二人を包み
秋の落葉はすべてを奪い去って
冬枯れの空にて二人は別れていく
この恋物語
雨の雫が落ちて 消えていく人混みは
君の後ろ姿隠し 見えなくして
ほの暗い心の陰から 僕を見つめたままで
寂しがり屋な君を静かに追いかけて
風車はカラカラと回りながら
たくさんの人の恋季節ををたどり
花を見上げた男は目を伏せた
そして今花弁の音が届いてくる
春に咲いた花はあなたとともに歩いて
夏が駆けるのと一緒に二人を愛でる
秋の言の葉は二人の手を離してって
冬枯れの音が別れを告げていく
この恋物語
花物語に徒然
「愛してる」とか「大好き」だとかそんな言葉はもう届かないけれど
僕に出来ることと言えばこの音と言葉を紡ぎ
二度と会えないあなたに想いを募らすだけで
そう出来ることと言えば
春に芽吹く花はあなたのそばに寄り添い
夏の訪れと一緒に二人を包み
秋の落葉はすべてを奪い去って
冬枯れの空にて二人は別れていく
この恋物語
花物語に徒然
ほらまた花びらが落ちた