4Dコピー機を創ったら・・・
「俺って天才。
やっぱ、神」
彼は満足げに完成したそれを見て頷いた。
「この4Dコピー機さえあれば・・・」
彼はうっとりした目で見つめる。
「これがあれば、歴史を記録できる」
彼が完成させたのは超高性能4Dコピー機だった。
現在の3Dコピー機とは性能は天と地の差。
もちろん、彼の方が天。
なんと言っても、原子レベルでコピーできるのだ。
いや、もっと細かいクウォーク、量子レベル。
しかし、さらにその上の次元である。
4D、つまり時間をもコピーできるのだ。
彼は、それを見て、ニヤとした。
世界一の美女をコピーするのだろうか。
それから時が経った。
「あれッ?」
彼は腕を組む。
「おかしいな~」
それを叩いてみる。
「えッ!」
「止まらない~」
彼の4Dコピー機が暴走した。
「コピーしたモノが溢れ出した~」
「やば、どうしよ・・・」
彼は一つ頷いた。
そして、両手を広げてから、ギュッとした。
「重ねちゃえ」
「うん、なんとか、収まった」
「とりあえず、このままでいいか」
彼は暴走した4Dコピー機を見つめていた。
しかし、それは後に人類に大きな影響を与えた。
特に小説、映画、マンガだった。
2018年6月。
その影響はマンガ雑誌に顕著に現れていた。
必ずと言っていいほど、それを使ったマンガが載っている。
もうお分かりだろう。
そう、時間と言えば、タイムスリップ、
今の言い方ではタイムリープもの。
彼の4Dコピー機の暴走により生まれてしまったのだった。
つまり、多重次元世界が。
彼はビッグバンの様子を記録するため、それを作ったのだが。
暴走したコピーを重ねたため、空間と時間が重なり、多重次元世界が誕生したのだった。
多重次元を解き明かしつつある人類、
しかし、それは神が創った4Dコピー機の副産物とは気づき得ないだろう。