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異世界人観察日記  作者: ミチコ
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いつものように夜に公園までレイジと二人で散歩に出ていた時だった。

時間も時間なので、いつもはたまに仕事帰りの人がすれ違うくらいで静かなものだった。

しかし今日は犬の散歩をしている人がいた。

珍しいと思えど、道幅も広かったし、すれ違ってしまえば忘れてしまうくらいにはありふれた光景だった。

何の気も留めず、ただすれ違おうとした時、犬は何を思ったのかレイジへと近付いてきた。

犬は興味深そうにレイジの足元を嗅いで回った。

飼い主の女性は慌てた様子で何度も頭を下げながらリードをひくが、犬はレイジへの興味がつきないようで何度も戻ってくる。

あまり強くリードをひけない女性は、結局申し訳なさそうにしながら犬の好きにさせることにしたようだった。

一番動揺していたのはレイジで、直立不動で、足元の犬に視線を落としたまま、動けずにいる。

(犬苦手だったかな)

テレビでは動物が出てくる番組は比較的食い付きが良かったので勝手に動物好きだと思っていたが、実際触れ合うとなるとまた話は別だろう。

飼い主の女性は、レイジが怯えているように見えたのか、「普段は大人しい子なんです」「噛んだりしませんよ」「よかったら撫でてあげて下さい」と優しく声を掛けてくれた。

その声に後押しされるかのように、レイジは恐る恐る手を伸ばして犬の背に触れ、その毛の柔らかさに驚いたのか、感動したのか、何度か噛み締めるようにゆっくりと撫でた。

犬は人馴れしているようで、嬉しそうに尻尾を揺らしながらも落ち着いて撫でられている。

「あ、ありがとうございます」

レイジがお礼を言って立ち上がった。

犬の方も満足したのか、今度は飼い主の言うことに素直に従って一緒に帰っていった。


「...柔らかかった...」

レイジは感慨深そうに手に残る感触を思い返しているようだった。

「ああいう動物に触るのは初めてだった?」

「大きいのと中くらいの動物の世話は、前していたことある。けど、どれも、毛は固くて痛い。柔らかくない。あの犬の、ふわふわしているが、気持ちが良かった」

毛並みの良い動物に触れたのは初めてだというレイジは、その感動が忘れられないのか、帰ってからしばらくは犬の画像を探すことに夢中になり、それから数日おきに携帯電話の待ち受け画面をあらゆる犬種が飾ることになった。

呆れながら設定を手伝ってやっていたが、レイジが犬を飼いたいと言い出したらペット可の物件に引越ししなきゃなんてことまで考えてしまっている俺も相当だ。




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