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異世界人観察日記  作者: ミチコ
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リョーイチ 観察記録


テレビを見るようになって気付いたのだが、日本人の顔つきというのは平面的でとてもあっさりしたものが多い。見慣れていないせいでもあるが、感情を読み取るのに苦労した要因のひとつとして挙げたい。

リョーイチは特に、テレビの中の人と違って大きく表情を作るということをしないので、無表情にも見えて、最初の頃はずっと怒っているのだとばかり思っていた。

しかし怯えてばかりいる俺に接する態度や、投げかけてくれる声色も、どれも丁寧なものが多くて、接していくうちに怒っているわけではないのだと気付いた。

リョーイチが懇切丁寧に色々なことを学ばせてくれるようになると、次第に俺もリョーイチの様子を観察する余裕が出来て、リョーイチの感情も少しは読み取れるようになってきた、ように思う。


リョーイチは朝が苦手だ。

俺は毎日日の出と同じくらいにすっきりと目が覚める。しかしリョーイチは目覚まし時計が鳴るまでぐっすりと眠っている。鳴らない時は昼前まで眠っている。

そして起きてもしばらくは眉間の皺が取れないで眠そうにしている。口数もずっと少ない。

最初は機嫌が悪いのかと思っていたが、それでも黙々と朝食を作ってくれたり俺の勉強の様子を見たりしてくれているので、ただただ眉間に皺が寄っているだけのようだった。

朝はのそりのそりと動いていることが多いが、バイトや学校の時間が迫ってくると途端に慌しく用意をしだすので、多分途中で覚醒するのだと思う。


家を出る時は毎回必ず「ちゃんと鍵を閉めろよ」と言う。

ガス栓も触ってはいけない、誰かが来ても出なくていい、と毎回言われる。

俺は覚えが悪いと思われているからかもしれないが、それにしても毎回言われるので、リョーイチは少し心配性の気があるのだと思う。


リョーイチは帰ってきたらすぐに晩御飯の用意を始める。

バイトに行っている時は帰りが夜遅くなる時もあるので、そういう時は夕方に一度ご飯を作りに戻ってくる。

俺は一日一食食べられるだけで充分満足なのだと伝えたのだけど、リョーイチは必ず俺に三食用意する。

俺の舌にはどれも新しい味で、毎回その美味しさに驚き、またそれが嬉しくもあるのだが、たまにそこにリョーイチの並々ならぬ食への執着が見える気がした。

何しろリョーイチはよく食べる。

この国の一般的なご飯の量というものがどれ程なのかは分からないが、軽く俺の2倍以上は食べている。

俺が少食なのかもしれないが、リョーイチは縦にでかいので、沢山食べなければならないのだろう。


外に出るようになって気付いたのだが、リョーイチは背が高い。

前の国では、成人男性はリョーイチくらいの背丈が一般的だった(俺は、まだきっと伸びる途中なのだと、思う多分きっと)から、特に違和感はなかったが、外で見かける人たちは皆だいたい俺ぐらいか、それより低い人が圧倒的に多い。

そう思うと、リョーイチは背が高い方なのだろう。

しかし筋肉隆々という訳でもなくて、どちらかというとひょろりと縦に長いイメージだ。それでも俺をひょいと持ち上げたり(頭を下げて謝っていると大抵持ち上げられる)は出来るので、結構力強い方なのだと思う。



リョーイチのことを知る度に、俺は一歩ずつ成長しているのだと実感する。

少しずつリョーイチのことを知って、それで、少しずつ近付けたら、と思うのは、傲慢だろうか。


さて、一緒に育っていく我侭(わがまま)とどう付き合っていくか。今後の課題である。





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