表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第六話

翌朝、目覚まし時計によって無理矢理起こされ(と言っても設定したのは僕だけれど)、多少不機嫌になりながら起き上がる。すると、スマホが何やら言いたげに、通知ランプを光らせている。


 『おっはよー!(やたらに元気な笑顔の絵文字が3つ)

 起きてるかい? 寝坊するなよ!!

 今日のテストが終わったら、晴れて夏休みだ!!!(わーい、みたいな顔文字)

 そういうわけで、早速だけど、明日一緒に出かけようじゃないか!!!

 横浜で、とある飲み物のフェスティバルが開催されるらしいぞ! なんでも麦でできていて……おっと、これ以上は機密情報だから伏せておこう。(にやり、みたいな顔文字)

 追伸! 清水も誘ってあるからね。(にやり、みたいな顔文字再び)』


 香奈から、テンションの高すぎるメールが来ていた。僕のテンションも、送信者の名前を見た時点で最高に上がり、気分が良くなった。目覚まし時計よ、汝の罪は許そう。


 ……でも、横浜で開催されるフェスティバルで、麦からできている飲み物を販売している、って……高校生の僕らは参加しちゃいけないやつなのではないだろうか。香奈は時々、こういう無茶苦茶なことをしたがる。なんでも「無茶は若いうちにやらなきゃね!!」だそうだが、さすがに法律には触れちゃいけないと思うのだけれど……。


 『おはよ! 誰かさんのテンションMAXなメールで完全に目が覚めた。(笑っている顔文字)

 横浜のビー……なんとかフェスティバル、了解。詳しくはテストが終わったら相談しよう!

 清水はいてもいなくてもいいや(笑っている顔文字)』


 僕は手早くメールを返し、布団を出て、制服に着替えた。心が浮き立っているせいか、いつもより体が軽い。そしてパンの香ばしい匂いのする階下へ降りていこうとした矢先、スマホがピンピロリンと鳴った。この「ピンピロリン」は、香奈が「なんか可愛いよね!!」と気に入ってくれた着信音で、それ以来、ずっと使っている。


 『わたしはいつだって元気だぞ!! 私がいれば日本の気温3度は上がるから!!! もっと!熱く!なれよ!!!

 ともあれ、青年よ、照れなくていいんだぞ。(にやにや、みたいな顔文字)』


 朝から本当に(視覚的に)元気でうるさい子だ、とニヤニヤしていると、「ニヤニヤしてないで早くご飯食べちゃいなさい!」と、母親の声が聞こえた。メールの返信は置いておいて、スマホをスマホにしまい、僕は朝食の為にリビングに向かった。

 パンをかじりつつ、なぜさっき僕がニヤニヤしていたのが判ったのか訊いてみたら、「キッチンにいたのに判るわけないじゃない。カマかけてテキトウに言ったの。……でも本当にニヤニヤしてたんだ、へえー。」と、とても腹立たしい返答が帰ってきた。エスパーかと思ったのだが、僕の母はいたって「普通」の人間らしい。


 「でも、なんでニヤニヤなんかしてたの。 あ、意中の男の子からメールでも来てた? 思春期だもんね、涼介も。

 あっそうだ! 彼氏ができたら、うちに招待しなさい。腕によりをかけて、おもてなししてあげるわ」

 こちらも朝から騒がしい人間である。おしとやかを演じて、竹川クリスタル? なんか違うな、でもそういう感じの名前をしたタレントの真似をしながら、「お・も・て・な・し」とか言っているけれど、表情がめちゃくちゃ騒がしい。もう、香奈と互角なんじゃないかというくらいに騒がしい。

 でも、騒がしいけれど、嫌いじゃない。だから、僕は、この日常を壊したくないんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ