『つり橋』『夕陽に向かって走るとき』『豚は夢見る』
『つり橋』
つり橋がゆぅらゆらりと揺れるたび
僕の心臓は高鳴って
君への想いは募っていった
つり橋がゆらりと大きく揺れるから
死んでも君を守ってあげると叫んだけど
今にも死にそうなのはむしろ僕の方だった
最後の橋板をあじけなく蹴ったとき
いっそあのとき死んでもらえばよかったと
君は悲しそうに笑った
『夕陽に向かって走るとき』
いつまで僕たちは
沈む夕陽を追いかけていくつもりだろう
それは確かにまぶしいんだ
それは確かに輝かしいんだ
でも、もうみんな知っている
次の朝日を見るためには
夕陽はいつか沈ませてやらなくてはならないこと
『豚は夢みる』
豚は夢をみる
夜空の星のそのまた向こう
銀河の闇の
ブラックホールの向こう側
豚は夢をみる
そこにはなにがあるのだろう
自由気ままな草原に
いつも沈まぬ太陽か
あるいは何もないかも知れない
豚は夢をみる
羽根があったら行けるだろうか
羽根があっても行けないだろうか
どちらにしても
羽根があったら飛んでみるだろう
豚は夢をみる
暗く湿った小屋の中
どこかでぶぅぶぅ鳴く声がする