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刹那の風景 第三章  作者: 緑青・薄浅黄
『 河津桜 : 思いを託します 』

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『 目覚める時間 』

【 ウィルキス3の月30日 : エレノア 】



『エレノアさんは、まだ戦い足りないでしょう?』


彼の言葉に、私の焦りと不安を的確に知られているようだと

内心ため息を落とす……。


ラ・エルドルーラに魔力を纏わせるたびに

体に痛みがはしる。徐々に痛みが増していき

自分が思っていたよりも、魔力をうまく扱えないこの現状に

焦る自分の心を必死に抑え付けていた。


もう少し。まだ、伝えきれていない。

自分の命を削ることになっても、ここで全てを伝えておきたい。

たとえ、命を落とすことになっても……。


そんな気持ちが、剣に現れていたのだと思う。

だから、セツナに剣を弾かれたのかもしれない。

落ち着いてください、と……。


不甲斐無い。私よりはるか下の年齢の青年に

自分の内面を悟られているのだから。


セツナのおかげで

焦る心は消えないが、頭は少し冷えたようだ。


ここが戦場ならば、私はもう数えきれないほど死んでいた。


最初から、わかっていた事だ。わかっていた事なのに……。

己の全力を出しても、一欠けらも届かないという現実は

思ったよりも苦痛だった。


ファライルと初めて戦った時も、その力量の差に

悔しさを感じたが、それでもいつか彼に届くという

希望を見ることができた。


だが、セツナと剣を交えるたびに

果てが見えないその力量に

希望など、欠片も見いだせず。


世界最強を継いだ、セツナとの差は

ここまで酷いのかと、思わずにはいられなかった。


セツナと知り合い、共に生活するようになってから

私もそしてアギト達も、何度も模擬戦を申し込んでいた。

だが、彼は一度たりとも頷いてくれたことはなかった。


今なら、その意味が理解できる。

彼は、優しい人間だから……こんな気持ちを

抱かせたくなかったのだろう。強さを求めていれば求めるほど

その落胆は、激しいものになると知っていたのかもしれない。


それでも、何度絶望の淵を経験しようとも

生きていれば、私はまたセツナに

模擬戦を申し込むことになるのだろうと

心の中で、苦笑を落とした。


届かない苦痛に、心を貫かれようとも。

力量の差に、涙を落とそうとも


何度、地面に叩きつけられようとも

それが、頂きへと通じる道ならば……何度でも。


きっと、彼に伝えれば「戦闘狂ですよね」と

少し、嫌そうな表情を作るに違いない。




セツナに軽い挑発を受け、苦笑を刻んでいる

自分を自覚しながら、剣を構え直す。


私に応えるように、セツナも剣を構えたが

彼は何かを考えるように、じっと私を見つめ

そして、その口に詠唱をのせた。


彼が、魔法を詠唱したことで

戦闘が再開されると、気を引き締めた瞬間


セツナは、私のすぐそばに立っており

転移魔法だと気が付いた時には遅く

セツナからの攻撃を、最小限に抑えようと

体を動かそうとしたが、その時にはもう

セツナの手が、私の背に触れていた。


「……え?」


攻撃ではなく、労わるように私に触れたセツナを

思わず凝視するが、セツナは私の視線を受けながら

何か悪戯を思いついたかのような表情で、口角をあげており

嫌な予感がする、と彼から離れようとした時にはもう


空の上にいた……。


「……は?」


空?


私の視界には、一面の青空が広がっており

それはそれは、美しい景色を見せている……。

ただ、残念なのは眼下に広がるのは

雲ばかりで、地上が見えない。


一面の雲も美しいが

地上が眼下に広がったのなら、

もっと、美しい景色が見れたのかもしれない。


いきなり訪れた、よくわからない状況に

思考が停止しそうになるが、何とか踏みとどまり

この現状をどう対処するかを考え始める前に

私の頭の上から、やわらかな声が降ってきた。


「僕も、ここまで上がったのは初めてだなぁ」


どこか、のんびりとした口調に肩の力が抜けていく。

どうやら、一人ではなかったようだ。


「……セツナ」


「はい?」


「……私を落とすまで

 試合は続行されるのではなかったのか」


「そうなんですけどね」


セツナの手は、私の背にあてられたままで

その手が、背にあてられてから痛みが引いた気がした。


「……何かしているのか?」


「空の散歩? 青空は綺麗なのに……。

 晴れていたら、遠くの景色まで見えて

 もっと綺麗なんでしょうね」


セツナが、ずっと先を見つめながらそんなことを告げる。

私が、聞きたかったのは景色の話ではないのだが

彼は、答える気はないようだった。


「……この風景も、美しいと思う」


「そうですか」


セツナも私も、特に何も話すことなく

青空の下、雲が広がる景色を見つめていた。


勢いよく落ちるのではなく、緩やかに落ちていく。

風は、微かに髪をなびかせる程度で心地よい。


焦っていた気持ちが、少しずつ落ち着いていくのを感じた。


「……どうして、こんなことを?」


「命を燃やすような、戦闘をされていたので」


遠まわしに言葉にするのではなく

はぐらかすのではなく。答えそのものを与えられたことに

一瞬息がつまる。そんな私に、セツナが困ったように笑う。


「咎めているわけではなく。

 ただ、エレノアさんが納得するまで

 戦闘に付き合いますから、焦らないで下さいと

 伝えようと思ったんです」


「……え?」


「エレノアさんの魔力にも限りがあるので

 ずっと、戦闘を続けることはできませんが

 それでも、エレノアさんがヤトさんに伝えたいことを

 伝え終わるまでは……僕は、止めを刺すつもりはないと

 最初に話しておけばよかったと思いました。

 

 僕が、その言葉を伝えてさえいれば

 きっと、貴方はもっと余裕をもって戦えたのかなと」


「……っ」


思わず零れ落ちた涙に、顔を伏せるが

セツナは、私から視線を逸らしてくれたようだ。


「あの時も、彼の気持ちをもっと汲んでいればよかった」


セツナの寂しげな声に、顔をあげ視線を向けると

その瞳に、悲し気な色を宿した目が私を見る。


「ラギさんが、アルトの為に

 命を削りながら戦ったあの日。


 僕は、こうやって彼の回復を手伝いながら

 少しでも長く、戦うべきだった。


 戦士として死にたいと……。

 そう思っていた事を知っていたのに。


 これが、彼にとって最後の戦いになると知っていたのに

 もっと、長く戦えるように気を配ればよかった。

 

 僕は、彼の望みより自分の望みを優先してしまった。

 少しでも長く……生きてほしいと」


その想いは当然なのだと、口にしかけてやめた。

今の私が、口にしていい言葉ではない。

それに、彼も答えを望んでいるわけではない……。


「エレノアさん、人生時計ってしっていますか?」


「……いや、知らない」


「一生を、一日に置き換えてみるというものなのですが」


「……一日に?」


「そうです。平均寿命は大体、250歳ぐらいでしょうか」


「……いや、違う」


「え?」


「……それは、ずいぶん昔の話だな」


「そうなんですか?」


驚きに目を丸める、セツナに笑みが浮かぶ。

こういった時の表情は、どこか幼く見える。


「……国によって違うが

 殆どの国で、平均寿命は延びていたはずだ。

 ハルの住民の平均寿命は350歳前後と言われている」


「本当に?」


「……まぁ、リシアは特別なのだと話していたが」


「知らなかった」


「……知ったからと言って

 特に、役立つことでもないしな」


話題に出る事さえ、殆どありはしない。


「……サフィールが言うには、王族や貴族の寿命が長いのは

 魔力が豊富な土地の上に、家を建てているからだと言っていた。

 各々が持つ、魔力の量によっても左右するが


 一番重要なのは、空気中に滞在する魔力の含有量だと

 話していた気がする。どうやら、魔力を内包する生き物は

 自分で魔力を作り出してもいるが、空気中に含まれる

 魔力を取り入れてもいるようだ」


「人間もそうだったんですね」


「……人間も?」


「はい。竜族は魔力が豊富な水を飲まなければいけないことは

 ご存知ですか?」


「……ああ、そういえば本で読んだことがあるな。

 サフィールは、魔力を回復し続けることができれば

 不死に近くなると言っていた。だが、魔力の低い人間は

 それだけ、魔力の器も脆いらしい。


 魔力の量が多ければ多いほど、魔力の器も強いのだと

 話していた。だから、同じ環境にいたとしても

 魔力の差で、寿命が変わって来るのだと」


「なるほど」


「……精霊の契約者の寿命が延びるのは

 魔力の塊である精霊がいつも近くにいることと

 魔力の受け渡しができるために、魔力の器がいつも

 魔力で満たされているからかもしれない、と

 この辺りは、推測でしかないようだが

 ほぼ、間違いないだろうと言っていた」


「……」


「……あと、魔力が多い竜族や人間の

 傍にいても、同じことが言えるかもしれないらしい。

 魔導師の伴侶が、一般と比べて長生きなのは

 魔力の回復量が上がる為だと。


 ただ、竜の伴侶の事は全く分からないと落胆していたな。

 竜騎士契約を交わした人間が、遥かに長生きだったことは

 文献に残っていたらしいが。


 その他にも、色々聞いた気がするが……。

 正直、ここぐらいまでしか覚えていない。


 あぁ、ハルの住人の寿命が、他国よりも長い理由は

 ハルに張られている結界が、魔力を循環しこの土地に

 魔力を満たしているかららしい。ハルでは魔力の回復が

 恐ろしく早いと嬉しそうに話していたな。


 だから、絶対にハルから移住はするなと

 移住しようとしたら、全力で邪魔をしてやるからと言われた」


サフィールの最後の台詞に、セツナは目を細めて笑った。

笑い事ではないのだが……。


「サフィールさんは、よくそこまで調べましたね」


「……あの頃のサフィールは

 何時にもまして、変だったな」


「……」


「……それを論文にまとめたようだが

 オウカが、発表するのを禁止した」


「あー」


「……サフィールも、発表することの危険性は

 理解していたようで、特に何も言わずに

 オウカへとその論文を渡していたが……。

 

 発表するなと言われても

 なぜか、機嫌がよかった……。

 不気味なほどに。


 私には、何がしたかったのかは

 未だによくわからない。飲み会で一晩中

 機嫌よく話し続けていたことは、よく覚えている」


セツナは、クスリと小さく笑い

そして、静かに言葉を落とした。


「サフィールさんは、自分の大切な人達に

 少しでも、長く生きてほしいと思っていたのでは

 ないでしょうか……。魔導師は、誰よりも寿命が長い。

 特に、サフィールさんはフィーと契約しているから

 誰よりも、長く生きることになる」


「……」


「きっと、フィーもその研究に協力したのでしょう。

 自分の仮説が、正しいとわかった時は本当に

 嬉しかったのではないでしょうか。


 ハルを中心に生活していれば、自分の大切な人の寿命が延びる。

 サフィールさんや、フィーの傍にいればさらに

 魔力の器が満たされることになると知って

 共に歩む時間が長くなることに、幸せを感じたのだと」


「……気が付いてやれなかった」


どこか、必死になって研究をしていた事を

思い出し、あの時のサフィールを想って

少し胸が痛んだ……。


まだ、アギトもサフィールも

白にもなっていない頃の話だ。


人を、困らせるか怒らせることしかしない

二人だった……。今、思い出しても溜息しか出ない。

何度、アラディスやバルタスと叩きのめしたかわからない。


なのに、アギトもサフィールも私達の傍から

離れようとはしなかった。そして、今も共にいる。


あの時は、さほど好かれているようには

見えなかったんだがな……。


今と同じぐらい、騒がしかった気がするな。

懐かしい想い出に、思わず笑みが浮かんだ。


そんな私を気にすることなく。

セツナが、何かを思い出したかのように

首を傾げ、不思議そうにつぶやく。


「あれ? 僕は以前、アギトさんと年齢の話を

 したことがあって、平均寿命が250歳ぐらいだと

 話したら、訂正されなかった気が……」


「……その話をしたのは、ガーディルで

 アギトと出会ったばかりの頃か?」


「はい、そうです」


「……なら、アギトの答えが正しい」


「え?」


「……ガーディルだけは

 寿命の変化があまり見られない」


「……」


「……サフィールが、あの国はおかしいと話していた。

 空気中の魔力が少なすぎると。だから、ガーディルで

 滞在するのは、極力避けろと私達に言っていた。


 ガーディルだけは、ギルド職員も交代制になっている。

 三年程でハルへ帰還するように命令される」


「おかしい?」


「……まるで、魔力を搾取されているようだと

 サフィールは、話していたが

 私には、よくわからない。レイファも魔力の回復が

 他国と比べて、遅い気がするとは話していた」


「そうですか。

 ガーディルは、おかしいとは思っていないのでしょうか」


「……リシアの平均寿命は、290前後だと公には

 公表している。この数値は、エラーナと大体同程度だ。

 結界があるために、安全が確保されているからこその

 数値だと、他国は思っているようだ。

 隣のバートルは、280前後だと聞いている」


「平均寿命って、誰がだしているんですか?」


「……時の精霊だが?」


「精霊?」


「……十年に一度、時の精霊から手紙? が届くらしい」


「なぜ?」


「……私には、よくわからない」


「神の石版? 時の精霊の遊び?」


「……セツナ?」


「遥か昔に神が、時の精霊達に授けた石版があって

 色々な、数値が表示されるようで


 その数値を参考に

 統計を取る仕事を、任されていたようです。


 その時の名残で、統計を取っている時の精霊が居て

 暇つぶしに、各国に手紙を出しているらしいですよ」


暇つぶし……。

エラーナは、確か神の恩恵だと話していた気がする。


「……今の話は、聞かなかったことにしよう。

 セツナも、誰にも話さないように」


私の言葉に、セツナは素直に頷く。


「……だが、時の精霊の情報を改竄しているが

 オウカ達は、大丈夫なのだろうか?」


今まで、気にした事もなかったが。


「気にする必要はないみたいですよ。

 オウカさん達は、精霊にお礼の手紙を書いた時に

 理由を告げて、改竄していいか尋ねたみたいですから」


「……あの一族は、おかしいと思わないか?」


セツナの事をとやかく言えないと思うのは

私だけだろうか?


「まぁ……。ジャックの家族ですから

 仕方ないのでは?」


「……あぁ。そうだった」


ヤトとリオウの子供、将来の私の孫だが大丈夫だろうか……。

少しの間だけ、灰色の空を眺め現実逃避を楽しんだ。


「……それで、人生を一日置き換えるとは

 どういったものだ?」


セツナに振られた話題に戻ると

彼は一度頷き「そうでした」と呟く。


「人生が、350年程生きると言われても

 遠い場所のように感じませんか?」


「……確かに」


「遠く感じるものを

 一日という時間にあてはめてみて

 自分が、今どのあたりを生きているか 

 確認してみようという試み?」


「……どうして疑問形なんだ?」


「なんとなくです。計算の方法は

 平均寿命を、一日の時間である24で割ります。

 ハルの平均寿命で計算した数値は

 途中で切り上げ、14.6としましょうか。


 そこから、自分の年齢を14.6で割ります。

 それが、人生時計で表した自分の時刻……。

 立ち位置となります」


頭の中で、計算してみる。


「僕の場合、年齢の18を14.6で割ると……。

 1.23となり。時刻に直すと……。


 1時頃になるのかな。

 分まで計算すると、0.23を60で掛けて13.8……14分ぐらい。

 1時14分当たりの時間にいることになりますね」


「……」


「生まれた直後が、0時と考えます。

 僕の一日を考えてみると、1時14分というのは

 アルトに隠れて、お酒を飲んでいる時間ですが

 常識的に考えると、寝ている時間かな。

 

 一般的な、行動に当てはめて考えるならば

 僕はまだ、目が覚めてもいない。

 何も始まっていない時刻にいる、という事になります。

 エレノアさんは、どうでしたか?」


「……私は」と答えかけて、口を閉じる。

年齢を知られるのが嫌なわけではないが

どこか、悪戯気な表情のセツナに、ムッとしてしまった。


「……言わない」


「えー。僕は教えたのに」


そう言って、セツナがクツクツと笑った。


私は……そろそろ、起きようかという時刻。

そうか、私の人生という時間はまだ布団に包まれて

まどろんでいる状態なのか……。


ヤトを生み育て、長く生きたような気がしていたけれど

人生という時計で見てみれば、私はまだ目覚めてもいないのか。


ハルの平均寿命で換算したけれど

私も魔力量は多いほうだ。だとすると、まだ熟睡している

時刻にいることになる。


「……自分が想像しているよりも

 私達は、長い年月を生きることになるのだな」


私のこの言葉に、セツナは淡く笑っただけだった。


「歪ですよね」


「……歪?」


「成人年齢が、100歳だと言われても

 不思議ではない、と思いませんか?」


「……確かに」


「きっと、この世界は

 どこかで狂ったのかもしれませんね」


「……セツナ?」


軽く溜息を吐いたセツナに、声をかける


「精霊に怒られました」


「……大丈夫なのか?」


「二度と口にしてはいけないのなの、て言われました」


「……フフ。フィーか」


「はい」


「……」


「僕は、時々途方にくれそうになります」


どこか遠くを見るような、セツナの瞳。


「人生という時計に、照らし合わせると

 僕の一日は、まだ始まってもいない。


 アルトに隠れて、お酒を飲みながら

 明日という日を、どう過ごそうか……と」


そこに、深い……孤独を見た。

未来になんの展望も描けない彼が、独りで

静かに、酒を飲んでいる姿を……。


「そのまま、眠ってしまってもいいけれど」


「……セツナ!」


「きっと、起きるのが遅ければ

 アルトに、たたき起こされるんです」


セツナは、そういって苦く笑う。


「美味しい朝食を食べながら

 アルトのささやかな願いに、相槌を打って

 願いを叶える魔法を、構築するのも楽しいかもしれません」


あははは、と笑うセツナを見て

眉間に皺が寄るのが自分でもわかった。


「……貴殿は、アルトに甘すぎる!」


翼のことを思いだして、セツナに説教じみた

話をしているとセツナがフッ、と目を細めて


「エレノアさんは……」


「……うん?」


「エレノアさんは、目が覚めたら何をしますか?」


「……それは、私の年齢を想像しての質問か?」


「いえ?」


セツナを軽く睨むと、そっと視線を逸らした。


「……そうだな。何をしようか。

 とりあえず、ラ・エルドルーラと同じ武器を作る」


「それから?」


「……その剣で、しっかり戦えるか

 セツナを相手に模擬戦をしよう」


「え?」


「……私が本気を出そうが、何をしようが

 傷つかないのは、セツナだけだからな」


「拒否させてもらいます」


「……拒否は認めない」


「なんて、横暴な」


「……後は、魔導武器を作らなければならないから

 セツナとアルトを伴って狩に行こう」


「僕がいなくてもいいでしょう?」


「……未知への領域に、剣と盾だけで

 入れるわけがないだろう?」


「えぇ?」


「……素材の宝庫だ。

 きっと、見たことのない魔物がひしめいているに

 違いない」


アルトと同じ事を言っている、という声は聞こえない事にした。


「アギトさんと、サフィールさんと行ってください」


「……どうして、あの二人と行かなければならない。

 私の苦労が増すだけだろう?」


「……」


「……そうだな。

 ヤトも家庭を持つことだし。

 私も、自分の趣味に……」


ここまで口にして

セツナが、私に何を言いたかったのかが理解できた。


私の人生は、まだ始まったばかりなのだと。

これからの人生の方が、遥かに長いのだと……。


途方に暮れるだけの人生に、眠ろうかと告げた

セツナを私が止めたように。彼も私を止めたいのだと

そう、言ってくれたのだ。


だから、ここで命を燃やすような戦闘はやめるべきだと

そう……言いたかったのだろう……。


「この模擬戦を、楽しんでみませんか。

 長い時の中でのこの一瞬を、僕と一緒に」


俯いてしまった私に、セツナは何も言わなかった。

そんな優しい空気の中、どう返事をしたらいいのか

悩む言葉が響く。本当に、どう返事をしたらいいのだろうか。


「私は、24時をまわっちゃったワ!

 グルグルグルグル、まわっているワ!」


「……」


「……」


「何処から聞いていたんですか?」


セツナは、流すことを選んだようだ。

私もそうしようと思う。


「えっと。人生時計を知っているか? の

ところぐらいカラ?」


それは、ほぼ全部というのではないだろうか。


「僕は、アルトの傍にいてくださいと

 いいましたよね?」


「そうなんだけど。

 アラディスが、こんな顔をして」


セリアが、指で目元をおさえ両方を釣り上げた。


「エレノアと何処へ行った!! て叫んでるから

 お空の上で、でぇーとをしているワヨって

 教えてあげたのヨ」


「……」


「……」


「そうしたら、お金を払うから

 二人の様子を見てきてほしいと頼まれたノ」


アラディス……?


「いくらもらったんですか?」


「金貨一枚くれる約束ヨ」


「大儲けですね!」


「……貴殿たち。アラディスで遊ぶのは

 やめてもらえないか?」


「え?」


「え??」


どうして、二人とも「遊んでいませんよ」という

顔をしているのか。


「それで、どう答えるんですか?」


「イチャイチャしていたワ?」


「あは、あははははは」


「……笑い事じゃないだろう!?」


「今日のエレノアは、とっても元気ネ」


そういって、セリアが楽しそうに笑った。

どうやら、彼女にも心配をかけていたのかもしれない。


「セリアさん、その答えはやめておいたほうが

 いいかもしれません」


「どうして?」


「エレノアさんが、監禁されるかもしれません」


真面目な顔で、何を言うんだ……。


「監禁……。ありえるわネ」


「はい。僕なら三日間ぐらい監禁したうえで

 抱きつぶす自信がありますから」


「はっ?」


「え?」


「アラディスさんは

 ある意味、僕と同類だと思うんですよね

 伴侶に、執着しすぎているところが」


「そう……」


「……」


自分でいうのか?

どう返事をしていいのかが、わからない。


「だから、本当に気を付けたほうがいいと思います」


私は、何に気をつけたらいいのだろうか?

私は、何もしていないだろう?

私が監禁されたら、セツナの責任だと思うのだが。


それに、もう……手遅れのような気がしないでもない。

まぁ、私の呪いのせいでアラディスとは白い結婚だから

抱きつぶされる心配はないが……。監禁か……。


「もし、監禁されたら」


「されたら?」


「……されたら?」


「バルタスさんに、助けてもらってくださいね」


どうして、そこで自分が助けると言わない。


「僕が助けに行くと、逆上して

 余計な混乱を招くかと。

 最悪、殺し合いに発展するかもしれません」


「ありえるワネ!」


「……」


なぜ、二人ともそんなに楽しそうなんだ。


「……はぁ」


「エレノア、元気出すのヨ」


「エレノアさん、元気を出してくださいね」


「……」


もう何も言うまい。


私の様子を見て、優しく笑う二人に

力が抜けて、怒る気にもならない。


「そろそろ、下に着きますよ」


セツナの声に、下を見ると

ハルの街が、眼下に広がった。


曇っているため、微かにしか見えない箇所もあるが

それでも、こんな上空から街を見下ろすのは

初めての事だ。


「……すごいな」


私の声に、セツナが「気に入ってくれてよかった」と笑う。


降りるにつれて、微かだった声が大きくなっていき

何を叫んでいるんだろうと、首を傾げた。


「ずっと、エレノアさんを呼んでいますよ」


「……え?」


「僕達に、聞こえていないと知っていながら

 彼等は、ずっとエレノアさんを呼んでいましたよ」


「……」


セツナの言葉に誘われるように、耳を澄ますと

様々な声が、会場に響いている。


『エレノア! 頑張れ!』


『負けるな!』


『エレノアさん、頑張って!』


『まだ、勝負は決まってないぞ!』


『帰ってこい、エレノア!』


『リシアの騎士だろ!

 負けんなよ!! エレノア!』


必死に、私の名を呼び応援してくれる人に目を瞠る。

私の名を呼ぶ声も、頑張れという声も途切れることがない。


ここまで、必死に名前を呼ばれ

応援されたのは、初めての経験だ。


私が、セツナに負けそうになっていたから……。


「沢山の人に、愛されているんですね」


奥歯をかみしめ、私と共にある

ラ・エルドルーラをぎゅっと握った。


「静かなほうが、集中できるかと思いましたが

 間違いだったかもしれません」


観客席から届く、一つ一つの言葉を

胸の中へと、詰め込んでいく。


リシアの住人たちの、私への応援を。

私の胸に灯った、暖かな火をこれからも消さないために。


「さて、模擬戦の続きですが……。

 少し、遊び心を加えようかな?」


顔をあげて、セツナを見ると

彼は、楽しそうに笑った。


「見ていてくださいね」


私が頷いたのを確認すると、セツナがその口に詠唱をのせる。

詠唱が終わると同時に、広い舞台の一面に青々とした草原が広がり

その景色をかえていく。


一瞬にして変化した舞台に、会場が揺れるような歓声が上がり

その熱気のような風に、舞台の上の草がたなびいた。


「……美しいな」


「そうですね」


私達は、舞台の中央あたりにゆっくりと落ちていく。

私達を見つけた、観客達がまた歓声をあげ

その声が、私の胸に届き気持ちを高揚させていく。


この綺麗な草原を、荒らしてしまうのはいかがなものかと

考えていると、私の目の前に黒い翼が陽の光りに輝きながら羽ばたいた。


そっと、斜め後ろを見てみると

私の背にも純白の翼がゆるりと羽ばたく。


その風圧で、草が外側へと揺れ

私達が草の上に浮いているのだと気が付いた。


「浮いているわけではなく

 草原の上に張った、結界の上にいるだけなんですけどね」


心の声を、感じ取ったかのように

セツナは、丁寧な説明をしてくれる。


「舞台の外からは

 僕達が、浮いているように見えているはずです」


美しいものを見たような、ため息交じりの歓声が上がり

セツナの言葉通りの風景を、観客達が見ているのだと知った。


「セリアさんも

 アルトの傍へと戻ったようですし」


「……」


「模擬戦を再開しましょうか。

 幻影が、邪魔になるようならば

 解除と口にしてもらえると、全て消えますから


 もし、気に入るようならば……。

 そのままでも結構です」


「……わかった」


「楽しんでください。

 エレノアさん」


「……そうだな」


うまくいかないと悩むより。

この時間を大切にしようと心に決めた。


ヤトには申し訳ないが。

拙い、私の剣技で我慢してもらおう。

虚勢を張って、暗い剣技を見せるより

彼が、思い返す私の姿が生き生きとしているように。


私の返事に、セツナが優しい笑みを浮かべ

彼が、詠唱を口に乗せたと同時に

私の目の前から消え、離れた位置に現れる。


漆黒の翼を広げ、暗く翳る紅色の瞳で

真直ぐに私を見るセツナに、視線を奪われた。


綺麗な青年だと思う。


ゆっくりと、翼を羽ばたかせ降りてくるその様は

まるで、神々の時代の物語を彷彿とさせる。


観客達も、舞台に広がる美しい景色に負けることのない

セツナを、茫然としながら目に映していた。


セツナが、空中に止まったと同時に強烈な風が吹く。

そして、その風が草原を揺らしていくと

青々とした、草が見る見るうちに枯れていった。


その光景に、思わず目を瞠り……そして体中が粟立った。

ラ・エルドルーラを握る手に力が入る。


全ての草が、枯れるのかと思っていたが

そうではなく、私とセツナの立ち位置の

丁度中央あたりで、綺麗な境界線が引かれている。


私がいる場所には、生命の輝きそのものの光景が広がり

セツナがいる場所は、荒廃した光景が広がっている。


セツナがゆっくりと、ノル・ド・ゼブラーブルを起動し

そして、構えたと思った瞬間……私の傍へと現れ

そのまま、私に向かって剣を振り切る。


辛うじて、セツナの剣を受けその衝撃を殺すように

能力で、瞬間転移しセツナと距離をとる。


私がいた場所は、青く美しい草がたなびいていたのに

セツナが現れたと同時に、その草が生命を奪われたかのように

枯れ果てていく。


その光景が許せず、能力を駆使しながら

セツナを押し返すように、剣を振るった。


どうやら、枯れた場所へ私が移動すると

命が吹き込まれ、青々とした草に戻るようだ。


「……陣取り遊びという事か」


思わず口角が上がる。

「……面白い」そう思ってしまった。


そういえば、セツナが足場を自由に

作れるようにしておきます、と話していたのを思い出す。


試しに、こういった足場が欲しいと望んでみると

思い描く通りのものが私の前に現れる。


その足場は透明だが、完全に見えないという事はない。

多分、観客席からは見えないようになっているのだと思う。


手の込んだ演出に、呆れそうになるが

それよりも、戦闘の幅が広がったことに胸が躍った。


一撃一撃、セツナに届くようにと剣を振るい

もう少し、こうしたら届くかもしれない、と

思考し試行する。


瞬間転移と足場を組み合わせて、横に飛べば

意表を突けるかもしれないと、様々な事を考えながら

セツナへと向かっていく。


ラ・エルドルーラに魔力を纏い

セツナの、ノル・ド・ゼブラーブルと剣を交えるたびに

音が響き、衝撃の風がはしる。


その風がはしるたびに、枯れたり蘇ったりと

舞台の上の光景は、瞬刻ごとにその姿を変えていった。


そして、私が守る青の草たちは

剣の動き、風の流れ、翼の羽ばたきで揺れ動き

私を応援してくれているようだった。


自分の思い通りの動きができ、そして面白いように

自由に魔力を剣に纏わせ、剣技を繰り出すことができる。

体の痛みも、我慢できないほどではない。


先ほどまでの不調が嘘のようで、自分でも驚くが

それ以上に、戦闘が楽しくて、楽しくて仕方がなかった。


次は、次は、次は、次は、次は!

こんな、心が躍るような戦闘は久々だ。


高く、もっと高く……。

足場を組み立てながら、空へと駆けあがり

一気にセツナへと向かって、堕ちるように飛ぶ。


セツナは、避けることなく私の渾身の一撃を

危なげなく受けてから、楽しそうに笑った。


地面すれすれで、瞬間転移を使いセツナの後ろへと移動し

その背に、剣を突き立てるがセツナはいとも簡単に

剣を避ける。どうして、私の動きがわかるのだろうか?


私も、ヤトから習い魔力遮断を使う事ができる。

ヤトは言葉を濁していたが、多分ジャックから

教えを受けたはずだ。


魔力を遮断し、気配も絶ってから

能力を使い、近づいているというのに

私の攻撃は、全て読まれていた。


悔しい想いと、次はという想いが同居し

自分の感情を制御するのが苦しくて仕方がない。


先ほど、私の剣を弾いたのと同じ剣筋でセツナの攻撃が

私へと飛んできたが、ラ・エルドルーラを二度と落とすことはない。


私とセツナの周りを、白と黒の羽が舞う。

邪魔になると考えていたが……案外、楽しいかもしれないと思った。



そんな、気が付けば夢中になって剣を交わしていた時間も

終わりへと近づいていく。


セツナから離れ、立っているのが苦しいほどの息切れを

整えるように、呼吸を繰り返す。


セツナはと思い視線を向ければ、あれほど動いておきながら

戦闘前と同じように、立っているのはどういうことなのか。


次が、最後の一撃となる。

私の魔力も残り少ない。これ以上魔力を使えば

命を削ることになる……。


長年の想いを、やっと叶えることができる

歓びと、うまく伝えることができるのかという

不安と、これが全力で戦える最後になるかもしれないという

緊張と、セツナにすぐ落とされるかもしれないという

焦りで、体が自由に動かず、魔力の制御もできていなかった。


もし、セツナが途中で空の散歩を挟んでくれていなければ

私は無様な姿を、ヤトに晒すだけになっていたかもしれない。


伝えるべき剣技は、全て見せることができた。

自分の持ちうる全てで、セツナとも戦えた。

心躍る戦いに、時間を忘れることもできた。

自分が、この国の人々にどれほど愛されているのかも知った。



ファライルと共に、微睡の中に居た時間が終わる……。

苦しくとも……楽しい時間があった。


私は、幸せだったと心から言える。

もう、思い残すことはない。


眠りから覚めたら……。

ファライルの為に、時間を作ろう。


それで、最後にしよう。

ファライルへの想いごと、私を受け入れてくれた

私の愛しい伴侶が笑ってくれるから。


アラディスと共に、新しい朝を……。


そして、セツナとアルトを見守っていこう。

ジャックが、私とヤトを助け、見守ってくれたように

彼が命を賭して、守り抜いた孤独な青年を……。


彼のかわりに、支えていく。

ヤトの弟弟子であり。私の恩人の大切な人を。

私の騎士の証に誓って。


新しい騎士の誓いに、胸が痛んだが

今は、その痛みに気が付かない振りをする。


長く息を吐き出し、命を削るギリギリまで

ラ・エルドルーラに魔力を与え胸の前で構える。


これが最後。

最後の一撃は、力だけの勝負。


「……白麗の翼、エレノア参る!」


闘志と共に、言葉を響かせ

足場を作り上空へと、一目散に駆け上がる。

私の動きと同時に、セツナも上空へと駆けていた。


多分、この先見ることはないであろう景色を

目に映しながら、自分が作った足場を思い切り蹴り

その力を利用し、加速をつけそのままセツナへと剣を振るった。


剣と剣が、ぶつかる音が響くかと思ったが響かず

なぜ? と考える前に、視覚がその現実を脳に伝える。

私の剣は、セツナの腕で受け止められていた……。


「……え?」


私の剣を受け、セツナの腕から一筋の血が流れ落ちる。


「うわ、最後の最後で目測を誤ったかな?

 風の盾を破られるとは思わなかった……」


「……」


「お見事です。エレノア」


「……セツナ?」


どこか、セツナの様子がおかしい気がする。

私を見る瞳の中に、微かな緊張が宿っているような。


それに、私の名前を……。


「しかし、勝負は僕の勝ちです」


そう、セツナが言葉にしたあと

体に、痛みという衝撃が走る。


体の中を、焼かれるような激しい痛みに

悲鳴のような声が、口から零れ落ち

手から、ラ・エルドルーラが離れ地面へと落ちていく。


痛みを堪えながら、視線を下に向けると

セツナの剣が、私の胸を貫いていた……。


「……どうして」


私を貫く、ノル・ド・ゼブラーブルが

銀色の輝きから、徐々にセツナの翼のような

漆黒へと染まっていく。


観客席のあちらこちらから

セツナを責めるような声が響き

それは、私が声をあげるたびに届くことから

これ以上、声をあげるのはよくないと考え

痛みをこらえるように、唇を噛む。


だが、セツナは容赦なく胸を貫くノル・ド・ゼブラーブルを

更に強く胸へと突き刺す。それと同時に、私の背にあった翼が

四散したのだろうか……。


白い羽が、私の視界を埋め尽くして……。

酷い痛みの中、煌めく美しい羽を目で追った。


「っ……」


呻く様な声と共に、唇から血が流れ落ちる感触で

失いかけていた、意識が戻る。


「相当、痛みがあるはずなのに……。

 我慢しなくてもいいですよ。

 僕の事は、気にしなくてもいいんです」


苦く笑うような音と一緒に落とされた

優しい、声音……。


ノル・ド・ゼブラーブルの鍔の辺りまで

深く、自分の胸に刺さっているのがわかる。


きっと、剣身は私の身から出ている事だろう。

逃げなければと思うのに、体に力が入らず動くことができない。


体が崩れ落ちそうになった所を

セツナの傷ついた腕が、私の腰を支えるようにまわされ

彼の背にある、漆黒の翼も守るようにその羽で私を包む。


私は、セツナの胸のあたりの服を握り

痛みで意識が落ちそうになるのを、必死に耐える。

理由を……どうして、セツナが私を刺したのか

その理由を聞きたかった……。


「そのまま、意識を落としてください。

 大丈夫。目が覚めたら、全て終わっていますから」


耳元で、優しく囁くようなセツナの声。

必死に顔をあげ、セツナの顔を見上げると

彼の瞳は、心配そうに私を見つめていた……。


私を傷つけようとしたわけではないのだと

なぜか、そう思った……。セツナの意図はわからないが。


「……セツナ」


セツナの紅色の瞳を見つめたまま彼の名を呼ぶ。


「はい。エレノアさん。

 今は、意識を閉じていて……」


セツナの言葉を全て聞く前に、私の意識が閉じていく。

そして、完全に閉じるその瞬間


「エレノアっ!!!!!」


慟哭しているかのように、私の名を呼ぶ

アラディスの声が聞こえた気がした。


名を呼ばれたと同時に、感じたアラディスの気配に

手を伸ばそうとするけれど……。


その前に、私の意識は完全に閉じてしまったのだった。

 



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