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刹那の風景 第三章  作者: 緑青・薄浅黄
『 ブルーポピー : 憩い 』

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『 休息 』

【 ウィルキス3の月30日 : アルト 】


 究極にお腹が空いていたけど、今まで食べた料理の中で

一番一番おいしい料理を、師匠と酒肴の人達が作ってくれた。


あの料理なら、俺は一日食べていられる自信があるけど

クロージャ達が、屋台の料理が食べることができなくなると

ハラハラしながら俺を見ているみたいだから、とりあえず

食べるのをやめた。


師匠に、心話でもっと食べたかったと話したら

お肉は余ると思うから家でまた作ってもいいし

違う調理方法で食べるのも美味しいと思うよ、と笑って

言うから、それもそうかと思い屋台の料理を心待ちに

することにした。


師匠も珍しく、何時もより多く食べていたと思う。

多く食べてたといっても、皆より少ないけど。

師匠が、美味しそうに食べてたからそれでいいと思う。


俺達は、セイル達と師匠の近くに座って

闘技場の中と闘技場の外の地図を見ながら

今日と明日の計画を立てているところだ。


リペイドで、じぃちゃんと一緒に建国祭に行ったけど

ここハルの会場は、リペイドと比べることができないほど

範囲が広い。それに、吟遊詩人や歌姫。

大道芸人が芸を披露する時間も、考慮に入れて

考えなければいけないから、大変だった。


多分、三日で全部まわれないと思う。

屋台も、一日だけの屋台とかがあるから

食べ損ねないように、気をつけないといけない。


そんな話を、ワイアット達と楽しく話している横で

ミッシェルやエミリア達は、デスとララーベリルに

夢中になっていて、きゃぁきゃぁと楽しそうに遊んでいた。


今日と明日は、俺達と一緒にまわるけど

三日目は、女子と男子で別行動になるかもしれない。

俺達が露店で見たいものと、ジャネット達が露店で

見たいものが、全く重ならないためだ。


計画を立てることを放棄して、俺達に丸投げた

ミッシェル達をみて、デスとララーベリルを見る。


デスを狙っているヴァーシィルは、ロイール達が

面倒を見てくれていた。ギルスは俺の背中に張り付いて

ピクリとも動いていない。時々、生きてるのか心配になる。


デスもララーベリルも、俺が貰う予定でいたんだけど。

デスが、ヴァーシィルと仲良くできれば旅に連れて行っても

よかったかも知れないけど、どう考えても無理そうだ。


シルキスが来れば、俺達だけではなく酒肴も月光も邂逅も

旅に出るだろうし。水と光があれば生きていけると知ってるけど

デスもララーベリルも、ちゃんと感情があって思考もできて

姿が違うだけで、俺達とそんなに変わらない生き物だ。


歓びもするし、哀しみもするし、相手を思う心も持っている。

だとすると、あの広い家に二体だけ残されるのは

きっと寂しいと思うんだよな。


うーんと考え、しばらく悩んで答えを出した。


ミッシェル達が、育ててくれるなら譲ろうって。

ミッシェルも、エミリアもジャネットも

きっと、大切に育ててくれるはずだから。


ミッシェルが、生き物が大好きなのを知っていた。

すごく好きだけど、家がお菓子屋をしているから

動物を飼うことができないんだと話していたから。

毛が抜けたりするのが問題なんだって聞いた。


カルロさんは、トキアを構い倒しているけど

トキアは、師匠の使い魔だから毛が落ちることがないので

安心して、遊べると喜んでいた気がする。


ミッシェルは、ジャネットやエミリアが

怖がって近づかなかった

ギルスとヴァーシィルにも抱き付いていたし

本当に、生きているものが好きなんだろう。


今もすごく楽しそうに、デスと遊んでいる。

ミッシェルがデスをつついて

デスが、それを阻止する遊びのようだ。

見てるとちょっと面白い。セイル達もその攻防を見て

ゲラゲラと笑っている。


デスは、ミッシェルに丁度いいかもしれない。

毛が無いから落ちることはないし

花びらもないから、枯れて落ちることもない。

それに、お店の防犯にも役立ってくれると思う。

「たまに、変な人が来るんだよ!」と言ってたから。


反対に、ララーベリルは孤児院の小さい子達に

人気が出ると思う。寂しくて泣く子も多いみたいだから

ララーベリルが歌を歌えば、寂しさが減るかもしれない。


デスとララーベリルをミッシェル達に譲ることを決めて

ちょっと、ドキドキしながら師匠に心話で相談すると

「アルトの好きなようにすればいい」と何時ものように

返事をしてくれた。


ただ、ミッシェルが良くても保護者の人が

駄目だと言ったら諦めるんだよ、と釘を刺されたけど。


孤児院の方は、師匠からヤトさんに

話してみてくれるそうなので、頼むことにした。


「デスもララーベリルも、大切にされて

幸せに暮らせるよ」と師匠は俺と視線を合わせて

心話で言ってくれたんだ。


ロイールや、ワイアット達と話しつつ

催しごとが始まるのを、のんびりと待っていると

待機場所の入り口が、騒がしくなって

何かと思って、顔を向けると大先生とオリエさんが

姿を見せていた。セイル達が「来たな」と笑っている。

どういうこと? と聞くと孤児院の子供が

大先生達に連れられて、ここにきたらしい。


ここは、初代の一族とかギルド職員とか

黒達に招待された人しか入れない場所だと

聞いていたけど。


そのことを口にすると、大きな催しなどがある時は

孤児院の子供達は安全のために、ギルドの休憩所の近くに

呼ばれるのだと教えてくれた。


他国の法律しか知らない冒険者が

孤児院の子供を害することがあったために

ギルドが後ろ盾だと、見せつけるためなんだって。


冒険者なのに、弱い子供をいじめるとか最低だと思う。

精霊に滅ぼされればいい。


何時もなら、黒は違う場所に待機しているから

ここまで近いのは初めてのことらしい。


多分、バルタスさんの屋台をギルドも手伝うことになったから

場所を纏めて一つにしたんだと思う、とクロージャが付け足した。


「ほら、ギルドの唐揚げの屋台も近いだろ?」


クロージャが指さす方向を見ると、屋台の看板が

【ギルドの唐揚げ】となっていた。これだけ近かったら

買いに行くのが楽だ。楽しみだな~。


大先生達が来て、少ししてからミッシェルの両親と

二番目の兄さんもきた。


二番目の兄さんの名前は、ケニスさんというらしい。

父さんは、トッシュさん。母さんはシャンテルさんという

名前だと、ミッシェルから最近きいた。


ミッシェルの家族の人達は、ミッシェルが頭に

デスをのせているのを見て「似合ってる」と笑って

デスを撫でている。デスも嫌がらずに大人しく

しているから、ミッシェルの家族の傍にいるのは

好きなのかもしれない。


のんびりしていた空気が、一気に騒がしくなり

ワイアットに懐いている、リッツを先頭に

師匠を見つけると、小さい子供達が一斉に

師匠の下へと走っていき、飲み物を取るために

立っていた師匠の周りを囲んで、背伸びをして

背中の辺りをペタペタと触っている。


「翼はどうしたの?」とか「何処に消えたの?」とか

一生懸命師匠に聞いていた。


師匠は、リッツ達と目線をあわせるために膝をついて

少し困ったように笑いながら、こう答えた。


「僕は翼を失くしてしまったんだ」


その言葉に、リッツ達がしょんぼりとした表情を見せたけど

次の瞬間、目をキラキラと輝かせて

自分の背中の羽を見ようと首を後ろに向けていた。


「だけど、翼ならリッツの背中にもあるでしょう?」


師匠の言葉に、小さな子供達が必死に後ろを向いて

背中にある翼を確認している。翼があることを確認したら

友達同士でワーワーと騒ぎながら、翼を触りあっていた。


師匠や俺が背負った、翼のように大きくはないけれど

時々、パタパタと動くその様子は見ていて面白い。


「いいなぁ……」


ミッシェルが、リッツ達の背中を見て

ぼそっと呟いたと思ったら、ミッシェルや俺達の背中にも

綺麗な白色の翼が生える。


「え?」


「うわー」


「私達にも生えたよ!」


エミリア達が、お互いの翼を見せ合いながら

嬉しそうにはしゃいでいる。


ミッシェルが、楽しそうに笑っているのを見て

デスも嬉しくなったのか、手を叩いている。


エミリアとジャネットも

ララーベリルに「似合うかな」と聞いていて

ララーベリルは、うんうんと頷いていた。


女子達だけじゃなくて

セイル達も嬉しそうにしてる。

もしかしたら、羨ましいって思ってたのかもしれない。


クロージャ達と同じは嬉しいけど

俺は、翼の色が気に入らなかった。


だから、黒になれ、黒になれ、黒になれと目を閉じて

心の中で強く思っている途中で「うわぁ!」とワイアットの

声が聞こえたから、目を開けた。


「どうしたの?」と聞きながら周りを見ると

全員が俺の背中をじっと見つめている。


「アルト、翼が黒になったぞ」


ロイールの言葉に、背中に視線を向けると

翼の色が白から黒になっていた。ふと、視線を感じて

顔を向けると、師匠が苦笑を浮かべている。


「俺は、魔王の弟子だから~」


「あー。でも、黒色もかっこいいよな」


「あ、それ俺も思った」


クロージャとセイルが、自分も黒にしたいと言うので

「黒になれって」思うといいよと教えると

真剣な表情で、ブツブツと黒になれと呟いて

自分の翼の色を変えていた。


ロイールもワイアットの翼も黒色になっている。

驚いたのは、ミッシェルも黒を選んだことだ。

エミリア達が「お揃いの白にしよう?」というのを

断って「私も、黒にしたい!」と黒にしてしまった。


エミリアとジャネットは、白色の方が好きだからと

白のままだ。ミッシェルの翼を見て、少し残念そうに

していたけど、すぐに立ち直っていた。



俺達のそんな様子を見ていた、酒肴のシュリナさん達が

スススと師匠の傍に行き、背中を向けているのを目にする。


どうやら、自分達にもつけろと要求しているらしい。

多分、師匠は面倒になったんだろう。この場にいる全員の背に

翼をつけることにしたようだ。


みんなの楽しそうな弾む声に、俺も楽しくなってくる。


カルロさん達は、翼の色を紫やら黄色やら緑にしていて

その色はどうなの? とか思うけど、ルーシアさん達は

薄い桃色とか、淡い色に変えていた。可愛いと思う。


サーラさんは、うんうんと悩んでいて

まだ決まっていないようだ。


黒達は、アギトさんが右が白で左が黒。

サフィールさんは、右が黒で左が白にしている。


真似をするなと、同時に口を開いて

文句を言い合っているけど、同じ思考になるぐらい

仲がいいんだと思う。


エレノアさんは、アラディスさんが白のままに

してほしいとお願いしていたから、白のまま。


ヤトさんとリオウさんは、黒色を選んでいた。


バルタスさんは、酒肴の人達からのお願いで

燃えるような赤色にしていた。ちょっと綺麗だ。


ミッシェルが黒にしたからか

それとも、別の理由があるのかわからないけど

ミッシェルの家族も、全員黒色を選んだことが

俺の中で、一番印象に残った。



色とりどりの翼を眺めていると

小さな声が聞こえてきて、そちらの方に

顔を向けると、リッツが師匠の背中に手をあてて

「翼が生えますように」とお願いしていた。


他の小さな子達も、リッツのまねをして

小さい手で一生懸命、師匠の背中を撫でている。


師匠以外の全員に、翼があるのに

師匠だけになかったのが、気になったみたいだ……。


師匠はそんなリッツ達に、優しい目を向けて

小さく口を動かした。きっと魔法を詠唱したんだと思う。


短い詠唱が終わり、魔法が発動した瞬間

舞台の上で見せた翼と同じ大きさの翼が

師匠の背に蘇った。リッツ達は驚きに目を見開いて

大きく口を開けて暫く呆然としていたけれど


師匠が、背中の翼を動かしたことで我に返って

歓声が上がった。師匠の大きな翼にじゃれつくように

リッツ達が抱き付いている。ちょっといいなと思う。


俺も触りに行こうかなと考えている途中で

ミッシェルが勢いよく走りだし、師匠の傍まで行くと

リッツ達と一緒になって、きゃぁきゃぁとはしゃいでいた。


今日のミッシェルは、すごく元気だ……。

エミリアとジャネットは、そんなミッシェルを見て

声をあげて笑っていた。


なんか、どこかフワフワとした気持ち。

それは、俺だけではなくこの場の空気自体が

フワフワしているように感じたんだ。


ミッシェルに続いて、俺達も師匠の傍にいき

翼を触って堪能したあと、大先生が、そろそろ離れなさいと

優しく告げたことで全員が師匠から離れた。


師匠は、リッツ達に柔らかく笑って

「僕の翼を取り戻してくれてありがとう」と告げた。


嬉しそうなリッツ達の頭を、師匠は優しく撫でていく。

いいなーと思っていると、セイルが俺の手を引いて

一緒に師匠の前に行って「俺達も撫でて」と言った。


師匠は少し驚いたように、俺達を見てたけど

楽しそうに笑って、セイルや俺だけではなく

ロイール達やエミリア、ミッシェルやデス達も同じように

撫でてくれたんだ。


「守護者になでてもらった」とワイアットが

小さな声で呟き、嬉しそうにしていたのが

少し意外だった。


暫くして落ち着いたところで、師匠が口を開く。


「僕から皆に依頼があるんだけど

 聞いてくれるかな? 断ってくれてもいいからね」


師匠の言葉に、リッツ達が元気よく返事をする。


「僕は、これからお仕事があって

 屋台をまわることができないんだ。

 だから、数人ずつでチームを組んで

 僕のかわりに、屋台の食べ物を買って来てほしいと

 思っているんだけど……。受けてもいいと思う人は居る?」


小さい子供達は、意味が理解できないのか

首を傾げながら手をあげている。


俺に近い年齢の人達は

真剣に師匠の話を聞きながら手をあげていた。


皆参加するようだ。


「まず、冒険者のようなチームを組もうか。

 リッツ達は、お兄さんやお姉さんと一緒にね」


大体ざっくり、いつも一緒に過ごしている友達と

チームを組んで、チームごとにまとまる。


「そこから、チームのリーダーを一人決めてくれるかな」


小さな子供達がいるチームは、一番年上の人が

同じ年齢で集まっているチームは、ジャンケンなどで決めていく。


「俺達のチームは、アルトでいいよな」


俺のチームは、ワイアットの一言で決まってしまった。

俺はクロージャがいいと思うと言ったのに、却下されたんだ。


「リーダーが決まったら、この魔道具を渡します」


師匠から手渡された魔道具は、少し大きなトレーだった。


「このトレーの使い方は、上に向けて

 持ち手のここを押さえながら、”起動”と口にすると

 トレーの上に、こんな風に大きなお皿が出ます」


「おおー」と皆が目を丸めて、トレーの上に現れた

お皿を見ている。一番真剣に見ているのが

リオウさんとサフィールさんだった。


何時の間にここに来たの?

二人とも全く気配が分からなかった。


「一つのお店で、大体五人前ぐらいの量を

 このお皿に入れてもらってくれるかな。

 お金を支払って、お皿を受け取り

 先ほどとは反対側の取っ手のこの辺りを押しながら

 ”発動”と口にすると、お皿が消えます」


小さい子供達が消えたお皿を探しているけど

見つからない。


「料理を入れてもらったお皿は

 この場所の机の上に、転移されるので

 この場に戻ることなく、次のお店で食べたいものを

 また、五人前ほど買って送ってほしいんだ」


消えたお皿が、師匠の後ろの机の上にあった……。


「一つのチームに、半銀貨四枚渡すから

 屋台で自分達が食べたいと思ったものを買って

 料理をここに転移してほしい」


「師匠、お金全部使っていいの?」


「うん。途中で疲れたら無理せずに戻って来てね。

 特に小さい子供達と同じチームの人は

 子供達を連れて帰って来てから

 また、出かけてくれてもいいから」


「……」


「……」


「自分の気になる食べ物を、好きなだけ買っていいの?」


ポツリと落とされた言葉に、師匠が頷く。


「うん。いいよ。食べるのは君だけではなく

 僕も食べるし、黒達やギルドの人達も食べることになる。

 ここに来た人みんなが食べることになるから

 多分……。足りなくなると思うんだけど。

 その時は、また買いに行ってもらえると嬉しいな」


「……セツナ」


エレノアさんが口を挟もうとしたが

師匠は首を横に振って止めた。


「お金が足りなくなったら、サーラさんから受け取って

 余ったら、サーラさんに渡してください」


師匠がサーラさんに視線を向けると

全員の視線が、サーラさんに集まるが

サーラさんは、にっこりと笑って頷いていた。


「ということで、今日は僕のおごりです」


師匠のこの言葉で、ワイアット達も他の子供達も

皆が歓声を上げた。酒肴の人達も喜んで踊っている……。


「好きな食べ物を、好きなように

 好きなだけ買うのは……初めてかも知れない」


「いつもは、ギルドの人が用意してくれるから

 食べたいものが偏って、争奪戦になるしな!」


クロージャの嬉しそうな声に、セイル達が頷く。


「俺もそうだな。食べたいと思っても

 お腹がいっぱいになるし」


「いろんな種類の料理を、少しずつ食べることが

 できるんだね!」


ロイールとジャネットが楽しそうにそう話す。


そうか……。俺は師匠に好きなものを好きなだけ

食べさせてもらえてた。それが普通になっていたけど

普通じゃなかった……。忘れないようにしないと。


「アルト」


師匠の呼ぶ声で、顔をあげて師匠を見る。


「一緒に屋台をまわれなくてごめんね」


「ううん。師匠の催し楽しみにしてる」


「うん。頑張るよ。

 僕のために、美味しそうな料理を見つけてきてね」


「うん!」


俺の返事に、師匠が笑ってくれたから

美味しそうな料理を見つけようと心に誓った。


「さて、依頼をしてもらうには

 依頼料が必要ということで、僕から皆に依頼料。

 アルトは何色が好き?」


一番に師匠が俺に聞いてくれたから

暫く考えて「薄い茶色」と告げると

師匠が軽く笑って、師匠の髪の色と同じ

がま口財布をくれた。


お店で売られているのを見たことがある。

財布の横に、ひもがついてあり首にかけることが

できるようになっている。


師匠に貰った財布を、首からかけて

財布を開けてみると、銀貨が一枚入っていた。


俺やチームのリーダーになっている人には

もう一つ、違う形の財布が渡される。

こちらは、買い物用の財布らしく

最後に回収するからと言われた。


師匠に好きな色を聞かれ、手渡された人たちが

嬉しそうに財布を見て、財布を開けると

固まったように動かなくなる。


小さい子供達にも、平等に配られた財布に

リッツ達は嬉しそうにはしゃいでいるけれど

俺と近い年齢の人とか、年上の人は黙って師匠を

見つめていた。


様子がおかしい事に、気が付いたリオウさんが近づいて

固まっている人の手元を見てから楽しそうに笑う。


「銀貨を貰ったのね」


「銀貨?」


リオウさんの声に、オリエさんが目を丸くして

師匠を見た。


「報酬にしては、多すぎます」


「オリエ、確かに報酬なんだけど

 この銀貨には意味があるのよ」


「意味ですか?」


「そうよ。精霊に出会って、運をつかんだ人は

 その幸運を分け与えるの。分け与えることで

 精霊への感謝を示す、という言い伝えがあるのよ」


「知りませんでした」


「まぁ、古い古い本に書かれていることだから

 知らない人が多いのは確かよ。サフィールなら

 知っているんじゃないの?」


「リオウが正しいわけ。

 この場合の精霊は、契約していない精霊になるわけ」


「その時に、配られていたのが銀貨なのよ。

 沢山の人に配れば配るだけ、自分にも幸運が廻ると

 言われているのよ」


「なるほど

 運を使い果たしたと思いたくないですしね」


「そうとも言えるわね」


リオウさんとオリエさんが

顔を見合わせて、小さく笑った。


「幸運のおすそ分けよ。

 めったに、ある事じゃないから

 心置きなくもらっておきなさい。

 ただし、無駄遣いはしないように!」


リオウさんの言葉に、皆がホッとしたように

息を吐き出し、嬉しそうに師匠にお礼を言った後

貰った銀貨をどうするかで盛り上がっているようだった。


俺にとって銀貨は見慣れたものだけど

ロイールですら、小遣いで銀貨を貰ったことはないと

話している。それを聞いて、もしかして……俺の金銭感覚は

人と違うんだろうか、と少し不安になったから

師匠に、心話で相談すると「ちょっと違うけど……。

気にする必要はないよ」と言われた。「冒険者として

働いているのだから」と。ちょっと違うの意味を聞いたら

「お菓子に、銀貨一枚を使う人はあまりいない」と言われた。


お菓子を買うのは俺の使命だからと伝えると

師匠が笑って「本当に欲しいものができた時に

後悔しないように」と言われて、懐中時計の事を思い出し

貰った銀貨を屋台で使う予定だったけど、変更して

師匠の試合に賭けて返ってきたお金を使うことにした。


がっぽり返ってきたから、問題ないはずだ。


師匠は「問題を解決するのは、まだまだ先になりそうだ」と

溜息を吐いていたけど、大丈夫かな?


銀貨を使うのをやめた理由は

クロージャ達がリオウさんの所へ行って

真剣に何かを相談していたからだ。


何を相談しているのかは、わからないけど

ちゃんと決まったら、教えてくれると思うから

近くにはいかなかった。その時に、銀貨がなくて

困るのは嫌だから、この銀貨は残しておこうと思ったんだ。

クロージャ達と一緒がいいなって、思ったから。


クロージャ達から視線を外して、ミッシェルを探す。

がま口財布を家族に見せているミッシェルを見つけて

話をするために、歩いていった。


師匠には、今から話してくることを伝えてある。

師匠も、ヤトさんに話してくれるようだ。


「ミッシェル」


「なぁに? あ、デスを連れにきたの?」


「違うけど。話しがあるんだ聞いてくれる?」


「うん」


「ミッシェルは、デスのこと好き?」


「うん。好きだよ」


「俺が、ミッシェルにデスを譲るって言ったら

 ミッシェルはどうする?」


「え?」


俺の話に、ミッシェルが笑顔を消した。


「ミッシェルは、デスと一緒に居たいと思う?」


「い、いたいけど」


グスッと、ミッシェルが鼻を鳴らす。

もしかして、ミッシェルがいつも以上に元気だったのは

デスと離れる寂しさを、紛らわせていたんだろうか……。


「可愛いし。優しいし。

 面白いし。一緒に居てすごく楽しいし。

 すごく、すごく好きになったの」


「そっか」


「でも、アルトの大切なお友達でしょう?」


「大切な友達だから

 ミッシェルに育ててもらったほうが

 幸せだと思ったんだ」


「どうして?」


「俺は、もうすぐ旅に出るでしょう?」


「うん」


「デスとヴァーシィルの相性が……。

 デスが怯えて可哀想だから

 家に置いていくことになるかもしれない。

 そうすると、俺も師匠も居ないから

 寂しがるかもしれない」


「……」


「デスもミッシェルが好きそうだし」


俺の言葉に同意するように

デスが必死になって頭を縦に振っている。

デスもミッシェルと離れたくないのかもしれないな。


本当に、仲が良くなっていたから。

二人の仲を見ている、俺が楽しくなるぐらいに。


「だから、ミッシェルがいいのなら

 このまま、デスと一緒にいてくれても

 いいんだけど」


ミッシェルが、頭の上からデスを下ろして

目線をあわせる。


「デス……。私と一緒に暮らす?」


デスはミッシェルの問いに

頭を縦に振って「ギャ」と答えた。

葉っぱの手を、ミッシェルの目元にあてて

そっと、ミッシェルの涙を拭っている。


「アルト。

 私……。デスと一緒に居たいな」


「うん。ただ、条件があって」


「……」


「ミッシェルの、父さんと母さんに

 許可をもらう事」


俺が話し終わる前に、ミッシェルが目に涙をためて

勢いよく父親を振り返る。ミッシェルの顔色が

悪いのは、動物を飼いたいと言っても

今まで、反対されてきたからだろう。


「お父さん!」


トッシュさんは、ミッシェルが口を開く前に

ミッシェルに問いかけた。


「デスが、とても貴重な生き物であるという事を

 覚えているかい?」


「うん。竜の大陸にしかいないって」


「デスに何かあった時

 ミッシェルでは何もできないかもしれない」


「……」


「ギャ」


デスは、一生懸命首を横に振っている。

まるで、大丈夫だと言っているように。


「でも、それでも

 私はデスと一緒に居たいよ!」


「ミッシェル」


「セツナさんに、育て方を教わるから!

 一生懸命、勉強してデスを守るから!

 デスと仲良くするから! お父さん

 私、デスと離れたくない!」


「ギャ、ギャ、ギャ」


ミッシェルの必死の言葉にかぶせるように

デスも必死になって、気持ちを伝えているように

見える……。


トッシュさんは、必死なミッシェルに

苦笑に近い笑みを見せてから、俺を見た。


「アルト君。本当にいいのかい?

 寂しくない?」


俺が寂しくないかという問いに

ミッシェルが、へにょっと眉根を下げた。

そんなミッシェルの、背中を数回叩くと

ちょっとだけ、笑ってくれた。


「俺も、デスが好きだけど

 俺には、ギルスとヴァーシィルもいるし

 それに、デスがミッシェルと一緒に居たがってるから」


「そうか」


「だから、お店に迷惑がかからないなら。

 デスと暮らしても、いいなら

 デスとミッシェルが一緒に居るのを

 許してあげて欲しいんだ」


俺の返事に、トッシュさんは何も言わず

デスをじっと見てから、師匠の方へと歩いていった。


「お父さん!」


ミッシェルが、涙を落としながら呼んだ声に

ロイール達がミッシェルを見て、目を瞠っている。

エミリアとジャネットが、小さな子供達に

ララーベリルを見せていたけれど、急いで抱きかかえて

ミッシェルの傍にきて、ミッシェルの背中を撫でていた。


ロイール達もこちらに来て、理由をきいてくるから

デスのことについて話すと、複雑そうな表情を見せた。


「エミリア、ジャネット。

 二人にも同じことを聞きたかったんだ。

 ララーベリルと一緒に居たい?」


俺の問いかけに、二人が一瞬驚いてから

迷いなく同時に頷いた。ララーベリルも頷いていたから

問題はなさそうだ。


ララーベリルの方は、師匠がヤトさんに

聞いてくれて、許可はもう貰っていた。


ララーベリルが、孤児院に貰われることになって

セイル達も喜んでいる。


「ロイールもなんか欲しい?」


「え?」


「師匠が、ロイールも魔法生物が欲しいなら

 まだ数種類いるからあげるって言ってた」


「うーん。興味はあるけど

 俺は、ミッシェルやエミリア達に

 見せてもらうからいいよ」


「そっか」


「俺と兄貴の二人暮らしだからさ

 忙しい時に、かまってやれないのは

 可哀想だろう?」


「なるほど」


「だから大丈夫。ありがとうな」


「うん」


俺達が、会話をしていてもミッシェルは

父親が気になるのか、そわそわしながらずっと

師匠達の方を見ている。


師匠は、柔らかく笑いながら頷いたり

何かを話したりしてた。


暫くして、トッシュさんが師匠に深く頭を下げてから

こちらへと戻ってくる、ミッシェルの顔色は緊張からか

すごく悪い……。大丈夫だろうか。


「ミッシェル」


「……」


トッシュさんの呼びかけに

ミッシェルがぎゅっと、デスを抱きしめて

離したくないと意思表示をしている。

デスも、必死に葉っぱの腕を伸ばして

ミッシェルの顔に抱き付いていた。


そんなミッシェル達の姿を見て

ナキルさんとケニスさんが、小さく肩を震わせている。


「ミッシェル」


「はい……」


「今まで通り、勉強やお手伝いを頑張ること。

 デスを育てることを放棄しない事。

 デスとミッシェルが共に幸せに暮らせるように

 努力すること。この三つを守れるか?」


俯いていたミッシェルが、顔をあげて

トッシュさんを見つめる。


「もし、一つでも私との約束を破った時は

 デスを種に戻す。その方法を私はセツナさんから

 教えてもらった。種に戻した後、ギルドへと預けて

 二度とデスと関わることは許さない」


「ま、守るよ! ちゃんと守る!」


トッシュさんは、ミッシェルの返事に頷くと

今度はデスを見て、口を開いた。


「君は、とても強い力がある。

 その力を、私達や善良な住人やお店のお客様に

 向けないと約束できるかな?」


「ギャっ!」


「ミッシェルと、そして私達と家族になることを

 喜んでくれるかい?」


「ギャギャギャ!」


バタバタと、短い葉っぱの手を必死に動かして

首を縦に振りながら、デスはトッシュさんに返事していた。


「そうか。では、これからよろしく。

 私は、ミッシェルの父でトッシュという。

 こちらは、私の妻でありミッシェルの母であるシャンテル。

 そして、長男のナキルと次男のケニスだ。

 ようこそ、デス。君は私達の新しい家族だ」


「ギャ、ギャ」


デスは、嬉しいのかトッシュさんの手を握ってから

ミッシェルの家族を順番に見て、嬉しそうに

体を動かして、そして照れたようにミッシェルの

顔に抱き付いていた。そんなデスを、ミッシェルは

本当に幸せだという表情で笑って、デスを撫でていたのだった。


デスも、ララーベリルも家族として大切にされそうだと

ホッと息を吐いていると、トッシュさんが膝をおって

俺と目線をあわせてから、お礼を言ってくれた。


ミッシェルとデスも慌てて、俺に頭を下げてくれる。

エミリア達やセイル達。そして、ナキルさん達も。


デスもララーベリルも嬉しそうだし

幸せそうだからよかったと伝えると

トッシュさんは、すごく優しい顔で俺を見て

笑ってくれたんだ。その笑顔は、どこかミッシェルと似ていて

家族なんだなと思った。


歓びではじけているミッシェルと

ララーベリルが、孤児院の子供になったと喜んでいる

孤児院の人達が落ち着くのを、少し離れたところで待っていると

師匠が俺の傍にきた。


師匠が鞄から、ゆったりと座れる巨大なクッションを

出してくれたから、一緒に座る。体が沈み込んでいくけど

丁度いいところで体が固定された。俺はこのクッションが好きだ。

俺の部屋にも、師匠の部屋にもあって狼になって丸まって

寝るのが大好きだった。


「寂しくない?」


「うーん。ムイの時は辛かったけど。今は、あんまり寂しくない。

 多分、一緒に居た時間がそんなになかったからかな?

 それに、デスもララーベリルもどう考えても

 俺より、ミッシェルやエミリアの方が好きそうだし」


「確かにね。あそこまで、懐くとは

 僕も正直思っていなかったな」


「ミッシェルも、ジャネット達も優しいから。

 きっと、魔法生物は優しい人がわかるんだ」


「そうかもしれないね」


「師匠の準備は終わったの?」


「精霊との話し合いは終わったよ。

 風の上位精霊だけではなく、他の精霊も

 参加するみたいだから、大掛かりなものに

 なるんじゃないかなぁ。今は、精霊達で

 魔法を構築するのに忙しいと話していたよ」


師匠はどこか憂鬱そうな声で、そう告げた。


「暴走しないといいね……」


「そうだね……。

 だけど……みんな楽しそうだ」


「うん」


周囲はとても賑やかなんだけど、なぜか俺と師匠の周りは

すごく静かで落ち着いた。心が休まるような感じがする。


久しぶりに、師匠と落ち着いて話をしている気がする。

師匠が傍にいる。それだけで俺は安心できたし

師匠の優しい声を聞いていると、だんだんと瞼が落ちてきた。

屋台が始まるまで、まだ時間があるから……。


少しぐらいなら、寝てもいいかなぁ。

そんなことを考えていると、師匠がそっと俺の頭を撫でてから

自分の膝の上に俺の頭を固定してくれた。


もしかしたら、体が揺れていたのかもしれない。

睡魔が俺を呼んでる……。その声に導かれるようにして

俺は意識を手放した。




【 ウィルキス3の月30日 : アギト 】


「あれ? アルトは?」その声で、アルトの友人達が

一斉にアルトを探し、見つけて傍に行こうとするが

それを、ミッシェルの兄であるナキルが止めていた。


「アルト君は寝ているようだ。

 セツナさんも、休息に入っているのだろう

 邪魔をしないように」


「あ、本当だ。

 セツナさんもアルトも疲れたんだね」


ミッシェルが、アルトから譲り受けたデスを

頭の上にのせながら、セツナ達を見ている。

溌溂と物怖じしない彼女と、デスの組み合わせに

正直、こみ上げてくる笑いをこらえるのが酷く辛いのだが

今のところ何とか堪えてはいる。


熟睡しながらも、ゆらりゆらりと動くアルトの尻尾や耳に

視線を送って、幸せそうに小さく笑う彼女達の声を耳に入れ

やっと、心が一息ついたような気がした。


賑やかだった空気が、ゆるりと変化していく。


セツナ達が休んでいるのをみて、子供達も少しずつ

落ち着きを取り戻し、それぞれに移動して居心地のいい場所を

見つけて暫くすると、ストンと眠りに落ちていた。


何時もならば、ギルドの休憩所とは少し離れた場所に

黒の待機場所を設置するために、子供達の様子を

見たことはあまりなかったが、小さな子供だけでなく

アルトの友人達も、成人間近の子供達も一緒に

眠っているのが不思議だった。


「……珍しいな」


エレノアの声に、彼女の見ている先に視線を向けると

酒肴の若い者達やエリオやビート

そして、クリスとアルヴァンでさえ目を閉じている。


「彼等も疲れたのよ」


ニールがいれてくれた飲み物を、口にしながら

リオウがそう告げる。


「お父様が、守護者の帰還を宣言したときから

 胸に宿る(ともしび)に感情が揺らいだだろうし

 今日のこの大会は、何時もよりずっと神経を

 張りつめていただろうし……。


 短い時間に、色々と詰め込まれて

 心が休息を求めていたのよ。


 子供達は、そんな大人の感情を

 敏感に受け取って、何時もよりはしゃいでいたから

 催しが始まる前に、体力が尽きちゃったのね。


 アルトはセツナが、休ませた方がいいと思ったから

 魔法を使って落としていたけど。

 魔法を使わなくても、多分寝ていたと思うわ」


「胸に宿る灯とはなんなわけ?」


「うーん。サフィールが、本国籍をとれたのなら

 わかることね。本国籍を取ることができない限り

 生涯わからないわ」


「え? サフィちゃんまだ本国籍を

 取得していなかったの?」


サーラの驚きに、サフィールは何も言わずに流した。


「すごく気になるわけ!

 サーラもバルタスも、リオウの話してる意味が

 理解できるわけ?」


「理解できるな」


「うん。理解できるわよ」


「教えてほしいわけ」


「無理だな」


「無理よ」


「……」


二人同時に即答された事に、サフィールが目を瞠った。

そんなサフィールに、サーラが眉根を下げて笑う。


「この感覚を、言葉にするすべを

 私達はもっていないのよ。自分で感じることでしか

 表現できないモノなのよ。サフィちゃんも本国籍を

 とるといいんじゃないかしら」


「僕は、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと申請してるわけ!」


「……」


「どうして、申請を通してくれないわけ!?」


「お父様に、絶対通すなと言われているからよ」


「ぐぐぐぐ……」


「もう、素直に謝ってしまえばいいのに。

 サフィールもアギトも、悪いと思っているんでしょう?」


「……」


「……」


悪いとは思っているが……。

今更謝るのは、ばつが悪い。

若い時の行動のつけが、ここまで響くとは。



サーラとリオウの話を中心に

時々、口を挟む程度の会話をしていた。


お茶を飲み、他愛のない会話をしているが

それぞれの本心が、別の所にあるのは

皆が感じていることだ。


時折セツナの方へ向く視線が

それを物語っていたが、誰も口に出そうとはしなかった。


私達も、全てを処理しきれていないのだ。

このような時に、わかりやすく纏めて話を

進めていくエレノアでさえ、今日は一杯一杯なのだから。


話し合ったとしても、疑問が増えるだけで

解決しない事も知っている。なら、今はこの穏やかな

時間を、享受するのが私達にとっての休息になるのだろう。


サフィールが、相変わらず自分の道を行き

一心不乱にノートを取っている姿を眺めていたが

穏やかな寝息と、時折聞こえてくる寝言に誘われ

私もそっと目を閉じた……。



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