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いつもと違う空  作者: あねら
金平糖の降る丘で。
5/5

空の写真を撮るとき。2

料理が運ばれてきて

話をしながら食べていると

なんだか安心してしまった。

いつもと違う彼氏の空羅には

ドキドキしてしまって

いつもの私でいられなくなるからだ。

と言いつつも、

いつものように大雑把にではなく

ちまちまフォークに巻きながら

パスタを食べてる自分に気づく。

今さらかわいこぶっても遅いよ!

と心の中で自分につっこんでみるが

やはりちまちまは直らなかった。


お店をでるとまだ1時すぎだった。

「どこ行くの?」

すると空羅は

時計を見てにっこり笑った。

「買い物行こっか」

そう言われて当たり前のように

手をつながれる。

今さらだが少し照れてしまって

顔が赤くなった。


買い物と言われて来たのは

近くのショッピングモールだった。

ブラブラと歩きながら

気になる店があればのぞく。

私の好きな感じの雑貨屋さんがあり

中に入り少し見てまわる。

すると、隅っこに小さく

アクセサリーコーナーがあることに

気がついた。

アクセサリーはけっこう好きだが

お金がかかるものとかではなく

こういう雑貨屋さんとかに置いてある

ものが好きだったりする。


アクセサリーを見ていると

他のコーナーを見ていた空羅が

近づいてきた。

「なんか欲しいのあった?」

「ちょっと見てみてるだけだよ」

そう言ってアクセサリーの方に

視線を戻すと

いきなり後ろから手が伸びてきた。

そしてひとつのネックレスを手にとる。

「なあ、これかわいくね?」

そう言って私に見せたネックレスは

夜空の紺色の小さな丸い球に

星がちりばめられていて

天の川みたいな部分もある。

「ほんとだ!きれいだね。…あの丘の星空みたい」

私が思わず微笑んでると

空羅は私の頭をぐしゃっとなでた。

そしてレジまで

ネックレスを持っていく。

そして私がぼぅっとしている間に

買ってきてしまった。

「ちょっ、空羅!いいの?」

「何が?」

「ネックレス!」

と言いながら空羅の持ってる紙袋を

指差すが空羅は気にする様子もなく

私の頭をもう一度なでた。


そのあとショッピングモールで

もう少し遊び、4時くらいに出た。

「もうちょっと付き合ってくれる?」

空羅が聞くのでこくんとうなづくと

にっこり笑ってよしよしいう風に

頭をぽんぽんとした。


ショッピングモールがあった駅から

電車に乗って海の近くの駅で降りる。

空羅は慣れている感じで

道をスタスタと歩いて行く。


着いたのは海辺の高台だった。

夕方で沈みかけてる太陽が見える。

「ここどうしたの?」

「ん?俺のとっておき」

「…あの丘みたいな?」

そうと軽くつぶやいて

海を見つめている。

「もう少しだな。まだ早かった」

なにが?と聞こうとしたが

この間の丘の事があるので

なんとなく想像がついてしまった。


日が暮れて夜になった頃。

さっきまでの明るい雰囲気から

少し冷たい風が吹くさみしい雰囲気に

変わって帰りたくなってしまう。

するとさっきまで

手すりに腰かけていた空羅が

かばんをごそごそやりだした。

取り出したのは、

小ぶりのカメラだった。

デジカメとかではなく本格的な。

「空羅って写真撮るんだ」

「うん。でも俺は夜空しか撮らない。特に星が綺麗な」

そう言ってカメラを空へ向けた。

つられて私も見上げる。

「うわぁ!星いっぱいだ」

「でしょ?俺の第2のとっておき」

そして空に向かってシャッターをきる。

車の通る道から遠くあたりには

シャッター音が大きく響いた。


しばらく撮ると満足したかのように

カメラを下ろした。

私はその瞬間なぜか

ダジャレを思いついてしまった。

ふふっと笑いながら思わずつぶやく。

「空羅が空の写真を撮る、かぁ」

「おもしろいか?ん?」

空羅にほっぺたを指でつつかれる。

うんと答えるとむにっとほっぺたを

つままれた。

「これで俺の名前は一生忘れないな」

「そうだね。空見るたびに思い出しちゃう」

そう言っておでこをくっつけられ

ふたりで笑う。

おでこを離すとシャランと音がした。

胸元に違和感があり、見ると

さっき雑貨屋さんで空羅が

買ってくれていたネックレスだった。

「ほら、この空と一緒だろ?」

上を見るとネックレスと

同じ色の空に星が

散りばめられていた。

「…うん、きれい。ありがとう」

私は空を見上げる優しい顔を見て

少し背伸びをした。

唇が重なると空羅は一瞬びっくりして

でもすぐに抱きしめてくれた。

顔を離すと空羅はすごく優しい顔で

嬉しそうな顔をしていた。

私ははじめて自分からキスをして

少し顔が赤くなったが

なんだかすごく幸せな気持ちになった。

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