幸福の葉
「ヒスイのリンゴ」という名の道具屋が、最近の彼のお気に入りだ。そこはどうも奇妙なところで、実用品でないものばかり置いてある。しかも、全く売れた気配がないのにつぶれないのだ。
彼はそこであるものに出会った。
「幸福の葉」という札のついたヒイラギの葉をかたどった銀のブローチである。思いのほか高かったので、彼は値切ってやろうと店の主に声をかけた。
「どのあたりが幸福なんだ?」
「それか」
主はちらりと見て、ぼそりと答えた。
「持ち主が幸福になる」
「本当か」
からかいを込めた彼の問いを主はあっさりと返す。
「俺は幸福になったぞ。おまえさんが店の品を買ってくれるのだからな」
FIN