前編/きみの記憶
『愛夢=アム』
この作品は、自作の中に組み込んだ作品。いわゆる、小説の中に登場する作家の作品です。
一般的に伏線といわれる箇所を、大幅な加筆・修正した単独の作品です。
携帯小説は始めての試みで、皆様のご意見・ご指導を感想欄より頂ければ幸いです。
ミヤーン
《きみの記憶》
作者 丘 七草
Nanakusa Oka
前編/過去の観覧
〈プロローグ〉
「おはよう。〇〇さん(又はくん、又はちゃん、又は様、又は敬称略)」
そんな書き出しの物語があったとするね。
読者はどう思うかな?
そんなのにお目にかかれば、、、
〇〇さんには『昨日』はないのかな?
それとも、
のちのち『昨日』を描くのかな?
それとも、
目覚める直前の夢のお話しするのかな?
それとも、
たんに駄作なのかな?
何か思惑があるのかもだけどね、、、
それにしても芸がないよね。まったく。
そんな読者の気持ちわかるんだけどね…。
それでも、
「おはよう。あむ」
と、きみの声が聴こえた時から物語は始まる。
しかたがない。
なんせ、目が覚めたら記憶がなかった。
ここがどこなのかもわからない。
わかるのは、、、
①今までベッドの上で眠っていたこと。
②性別、女性。
(年齢、不詳。だけど自分の手の甲を見るかぎり年老いてはいない)
ベッドの上で膝をかかえあたりをみわたす。
病院の個室のようだった…。
自分がどこの誰かわからない。
一生懸命『昨日』を探す。
それでも『昨日』は探せなかった。
「あむ。気分はどう」
と、きみの声がもう一度聴こえた。
いいはず、ない。
記憶が、ない。
シャレになんない。笑えない。
だから返事をしたくない。
無意識に、ほっぺをチュ~っと吸い込んだ、ひよこのくちばしのようなカッコウをしていた。
「どうしたの、あむ。ボ―っとして?」
と、きみは人の気を知らず続けた。
ボ―っとしているつもりは、ない。
…。
…。
…。
思考中。
あむ=(イコール)名前。
『愛夢・愛舞・亜夢・亜舞・編む』
四通りのかわい文字プラスワンが頭ん中にうかんだ。
まっ先にうかんだ『愛夢』にきめた。
何もかもが消えて、ない。
あなたならどうするぅ?
愛夢は何事もないかのように、きみにいった。「もう少し、ねる」。