第11話:魂共鳴テスト、前代未聞の反応
「本日、4限目は《魂共鳴テスト》を実施します。全員、ペアを組んで講堂へ移動してください」
担任教師のアナウンスが教室に響いた瞬間、生徒たちの間にざわざわとした空気が広がった。
「共鳴テストって、あれでしょ。相性診断みたいなやつ」
「誰と組むかで将来の進路にも影響するって聞いたよ」
そんな噂話の中で、私はそっとアリエルのほうを向く。
「えっと、アリエル、私と……」
「ごめん! わたし、生徒会補佐の手伝いで別枠なの。先生に呼ばれちゃってて……」
「あ、ううん、大丈夫……!」
本当は、内心ちょっとホッとしていた。
“魂の波動を合わせるテスト”なんて、聞くだけでハードルが高すぎる。
ペア相手がいないまま講堂に向かうと、試験監督の教師が私の名前を読み上げた。
「ユリエル=アマミヤ。……君は、ナオ=アストラリアと組むように」
「……えっ?」
聞き返すより早く、すっと隣にナオが立っていた。
ミルクティー色の髪、淡い琥珀の瞳。
今日も穏やかで、どこか寂しげな空気を纏っている。
「よろしくね」
「よ、よろしく……お願いします」
背中が強張るのを感じながら、私は彼と共に、中央の測定台へと向かった。
***
測定は、台の上に立って“共鳴水晶”に手をかざすだけ。
魂の波動がどれだけ一致するかで、数値が示されるのだという。
(大丈夫、きっと……何も起きない)
震える手で水晶に触れた、その瞬間——
ピキッ。
小さな音を立てて、水晶がひび割れた。
「え……?」
一拍おいて、バキンッ!と鋭い破裂音が響いた。
水晶が砕けた。
教師陣がどよめく。
「過負荷反応!?」
「魂の波動、干渉率∞……?」
「こんな数値、前例が……!」
その場の空気が凍る。
私の手が、ふるふると震えていた。
(えっ、えっ……なにこれ、どうして!?)
思わずナオの方を見ると、彼は静かに目を伏せたまま、片手をそっと胸に当てていた。
「……君、何者なんだろうね」
それは、責めるでもなく、ただ淡く滲むような言葉だった。
でもその指先が、かすかに震えていたのを、私は見逃さなかった。
(……ナオくんも、驚いてる。これ……偶然、なのかな)
騒然とする周囲。
遠巻きにこちらを見つめる視線。
「神託の魂と、魂共鳴∞……?」
「もしかして……運命のペア?」
聞こえるはずのない囁きが、なぜか耳に届いてくる気がした。
私は、何も言えなかった。
ナオも、何も言わなかった。
でも——
たしかにこの瞬間、
ふたりの間に“なにか”が生まれたような気がした。
まだ言葉にならない、けれど確かな“繋がり”が。
──それが、私と彼の“はじまり”だった。




