きさらぎ駅回想
きさらぎ駅の話題を見かけて、
そういえば昔、仕事しながら楽しく妄想していたことがあったな~ということを思い出した。(2022年08月30日)
以前、派遣で移動体通信の基地局の仕事をしていた。わかりやすく言えば、携帯電話が通じるように電波塔を建てるお仕事。
電波塔といっても鉄塔や金属柱だけでなく、高い建物の上に設置する現場や、トンネル内・トンネルのあかり部分なんかの現場もあった。しがない派遣社員の自分は内勤で、現場には行けなかったけど。
同じ仕事に携わる人には、若い人からベテラン勢までいて、中にはポケベルの現場もやった、という年季のはいった人もいた。
そんな仕事柄、ちょいちょい、きさらぎ駅の話題を見るにつけ、
『きさらぎ駅周辺は一部通信が入るんだよな~どこに基地局建てたんだろう。』などと考えてみたり、
『付近のアンテナが特注品で、きさらぎ駅異界の電波を拾ったとか?いやいや、基本、アンテナの種類なんて両手があれば数えられる程度だし、それはないな。むしろ全アンテナが異世界からの電波を拾えるほうが筋が通る。』などと、エクセルでぽちぽち備品リストを作りながら想像してみたり、
『やはり基地局が駅周辺のどこかに……じつは原さん(=再雇用組のベテラン勢、当時69歳)あたりが過去に施工してたりして。異界地区、D社の鉄塔建設工事。最前線の人って不思議話のひとつやふたつ持ってるもんな~。「おう五日さん、今日は異界遠いから直帰するわ!ボスに言っといて~」なんてねー。』などと妄想して楽しんでいた。当時は。
関連の仕事から離れて、違う仕事を経過して、今。
当時ほど鉄塔を見つめることもなくなって、ちょっと思った。
ふつうの人は、基地局なんて気にしてないんだよな~と。
大半の人は通勤通学のルート上などで、鉄塔やビルの上やトンネル内の、そういういくつかの基地局をたしかに見ている。だけど、どこにいくつあるとか形とか高さとか、意識してる人は、きっとそんなにいない。
人は、そうやって、見ているけど意識していないモノがあるのだろうと思う。べつに、基地局だけではなくて、たぶん、日常で他にも。
たとえば、横断歩道で待っているとき車がどれだけ通り過ぎたかなんて、覚えていない。窓の外に見える向かいのビルが何階建てかなんて、まるで意識してない。
そんなとき、車が一台多くても少なくても、建物が一階分多くても少なくても、きっと気がつかない。すべて、たしかに見ているのに。
ありがちな空想だけど、つまり、何が言いたいかというと。
きさらぎ駅もそういうモノのひとつだったら?
見てるけど意識していないだけで、きさらぎ駅は、いつもすぐそばにあったりして。なんてねー。