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陽キャの自爆、あるいは陰キャがざまぁしてないのにしたっぽい気分になった話

以下は、陰キャのねちゃねちょとした精神で構成されています。苦手なかたは、勇気ある撤退をお願いいたします。


よろしいですか?




(2025年03月14日)



 私は自他ともに認める陰キャである。

 厨二の頃からもう他人と居るとそれだけでストレスを感じる、筋金入りの陰キャである。

 うぇ〜いとか、もってのほかである。


 だが、こんな私でも学生の頃は同属性の友人が数人いた。これは、そんな私と友人達の思い出話でもある。

 ――基本的に、友人達もあまり他人と親しくする性質ではないので、卒業後は疎遠なのだが。


 学生の頃、私と友人達はわりとクラスで浮いていた。馴染んでいなかった。至極当然だろう。陰キャというのは、近くに誰かいるというだけで正気度(SAN値)を失う種族なのである。

 そんな連中に近づくのは間違った対応である。遠くからそっとしておくのが正解で、浮いていて馴染んでいないほうが正常なのである。


 なのに、だいたいの人が心得ているその正解を知らないのか、それとも意図的に正解を無視していたのか。クラスメイトのうち数人は、こちらをどこかバカにするような態度を向けたり、下に見る様子を示していた。

 直接的な害は何もなかったから、とくに抗議などすることもなく、避け流していたが。


 ――もちろん陰キャとて、バカにしたり、見下したりする、そういう数人の気持ちがわからないわけではない。

 自分と違うものを排除したくなる、それは他人と居るとストレスを感じる私がしていることと、あまり変わらないことだからだ。それに、集団で行動するのに、浮いた人間がいたのではやりにくいのも想像がつくからだ。

 でも、わかった上で相容れないから、陰キャなのである。


 閑話休題。


 この思い出話は、集団での行動を求められる学校行事、体育祭がきっかけになっている。

 私は陰キャの中でも、とくに運動ができない学生だった。体育祭では活躍どころか、足手まといになる側である。


 体育祭で華々しい活躍を見せる陽キャたちからは、『お前は休んでたほうがクラスの成績が良くなる』とか思われていたかもしれない。実際、私が休んだほうがクラスの成績が良くなるのは確実だったので、陽キャたちの気持ちもまあわかる。


 体調不良と忌引以外で休むのは学費がもったいないという生来の貧乏性と、それから、正々堂々不正なしに陽キャたちの足を引っ張れるという若干の暗黒面の誘惑がなければ、きっと不参加を決め込んでいただろう。

 そんな心情で、体育祭には参加したもののやる気底辺だった私は、待ち侘びた閉会式が終わると可及的速やかに下校した。

 言うまでもなく、私の友人達の中にも体育祭に思い入れのある面子(メンツ)はおらず、順次帰宅している。


 一方で。

 閉会式後、体育祭の熱も冷めやらず、余韻にひたるクラスメイトたちはというと。

 打ち上げ行こうぜ!という話になったらしい。

 いかにも陽キャな流れである。

 私と友人達数名以外の、クラスのほとんど全員が打ち上げに参加するべく、学校近くの飲食店に向かったそうだ。




 そんな体育祭の振替休日も明けて翌週。


 朝、学校に登校すると。

 教室は妙に静かで、がらんとしていた。

 教室内には私の友人達と、他に一、二名しかいない。片手の指の数よりはちょっとだけ多かったね、という人数。もうすぐ始業のチャイムも鳴る時間なのに。

 こんなに欠席者がいたら普通、学級閉鎖だろうに。学校からの公式連絡もとくに来ていない。


「え。なに?なにかあったの」


 私は教室にいた友人達に聞いてみた。


「何かあったらしい」

「よくわからない」


 友人達も、あまり要領を得ない。

 クラスメイトたちがほとんどおらず、スッカスカの教室で席に座っていると、担任がやって来た。

 始業のチャイムが鳴って、私と友人達と、他の一、二名は先生からこの異常事態の説明を受けた。


 体育祭のあと、打ち上げ先の飲食店にて。

 制服もしくは校名入りジャージ着用の打ち上げ参加者数人が、店内で堂々喫煙したという。私もクラスメイトも当時、二十才未満。

 購入時の年齢確認も、まだあまり進んでいない時代だった。


 ――順当に、学校に苦情が来たらしい。


 担任はじめ先生がたは、対応に奔走。

 打ち上げでやらかした数人はもちろん、やらかさなかった人も同じ店内にいたというのに喫煙を止めなかったとして咎められた。全員、数日間の停学処分。

 そして一連の出来事は年度が終わる頃には、進学先への密告――別名を内申――という最終形態に至ったようだ。


 まっすぐ帰宅した私と友人達、それから、運良く用事があって参加しなかった人だけが難を逃れたのである。ひどい自爆もあったものである。陰キャで良かった。


 ――私や友人達は、クラスメイトたちに対してやり返すとか何か積極的な行動をとったわけではないから、べつにざまぁしてないのだが。


 陽キャがいなくなった教室は静かで少し寂しく、でもどこか清々しかった。




自分の中で、身バレの可能性と「なろう読んでる人なんてそんなおらんやろw」という可能性を天秤にかけた。後者が勝ったw

各所に迷惑がかからないように書けているとは思う、たぶん。


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