対戦は心配?なのです
大会、いけるかな?
その日の放課後、皆で部室に集まり、朝の会話の続きが始まりました。
「私達のクラスの総合優勝の夢が~~、潰えました~」
「それ、元からフェリノア様任せの他力本願だから、リルさん」
「そうは言っても、実際楽しみでしたから。アマンダさんも、少しは期待してたでしょう?」
「全然ないとは申しませんが、フェリノア様が絶対勝つ試合と言うのも、見ごたえがないかもと。ですが、現役騎士団の方なら、実力が判るかもしれませんわ」
「どちらの?フェリノア様?騎士団?」
「両方ですわね。騎士団の方って、どのくらいお強いのでしょうね?」
「ロイス様に聞いてみます?」
「カトリーナ様なら同じクラスですしね。それとなく聞けるかも」
「皆さん、聞くなとは言いませんが、そもそも実力って、目安があるのですか?誰がどの位の強さって、同じ場所で訓練してる方なら、誰以上、誰未満とか言うのかもしれませんが、誰も知りませんし」
「あ、そうですわね。フェリノア様の言われる事にも一理ありますわ。ロイス様が俺以上だ、と言われても、それがどれ位かなんて、判りませんものね」
「アナスタシア様は、フェリノア様が、騎士団の方と模擬戦されるのは、心配ではありませんか?」
「え、何故ですか?」
「ケガとかなさるかもとか?」
「ありえませんわ。数人がかりで魔物を倒す騎士団が、お一人で多数の魔物を倒される、フェリノア様相手にケガをさせるなど、出来る筈はありませんわ」
「冒険者の方なら、ランクがあると聞いてるんですけど、騎士団にもあれば、目安位にはなりそうなのですが」
「フェリノア様、本物の冒険者をご存知ですわよね?どの位お強いのでしょうか?」
「私の領の冒険者さんで、集団で私に少し劣る位かと」
「・・・・ちょっと待って、春香。あなたの領って嘆きの森の事よね?」
「そうだよ咲姫ちゃん。それがどうかしたの?」
「どうかしたの?じゃないわよ。貴女どんな鍛え方したのよ」
「カトリーナ様、どうなされたのですか。突然大声で?」
「今回も彼女の非常識さに驚いただけですわ、ご心配お掛けしました」
「で、カトリーナ様。何をそんなに驚かれたのです?」
「模擬戦の未来が見えたので、少々残念ですわ。友人の全力は見れそうもありませんね。
あ、と言うか、春香。朝、先生が話されてたって言う、生徒のメンツの話。騎士団の副団長ならもっと厄介じゃないの?逆恨みとかされたら」
「あ、それは、多分大丈夫だよ。出場させるのを言い含めたのが、陛下と騎士団長だから。其処は考えられてると思う。なにせ、鼻を折る事が前提だから」
「あ、あの~カトリーナ様?」
「アマンダさん、御免なさい、話の途中で。なんで驚いたか、でしたわよね」
「はい」
「あのですね、この国内の職業で人気があり、普通の人々が目指すのが騎士団なので、人の部類で行けば強いと思うのですが、基準は普通の人の強さなのです」
「で、冒険者の、それも高位と呼ばれる方々は、国境がない仕事上、経歴が必要ないのです。なので、貧しい学がない人や、過去に表に出せない事がある方など、騎士団に入る事など出来ない方が多いのですが、その強さは、人外です。基準が人ではなく、魔物なのですから」
「はい、それは、言われれば何となく判りますが、それが何か?」
「フェリノア様のご実家は、この国、最高難易度の魔物の巣である、嘆きの森。その森に派遣される方は、その人外の中でも、更に上澄みの、国外にも招かれる方々。そんな方を、集団で自身に少し劣ると、堂々と言われた友人に、少し呆れただけですわ」
「・・・・、という事は」
「はい、生徒を相手すると同様、瞬殺かもしれませんね」
「まあ、まあ、まあ。流石フェリノア様。私今度の武術大会がとても楽しみになりましたわ。早くそのご勇姿を拝見したいですわ」
「「「私達もです、フェリノア様」」」
「それを、そのまま題材で、物語が書けそうですね」
「アマンダさん、それ面白そうですわね、フェリノア様物語」
「ご勘弁を、アマンダさん、メルシアさん」
「え~、私も面白そうだと思うな~」
「エリザさんまで。ただの模擬戦ですよ、其処まで面白くありません」
「そうかな~。と言うか、フェリの生れてから、これからの事も、友人視点で書くとか、面白そうだけどな~」
「友人なら面白いかもしれませんが、赤の他人だと、そうでもないのでは?私自身は自分が面白いなど思った事もないのですが」
「自覚無し、だからね~、春香は」
「それを言うなら、充分、咲姫ちゃんも面白いと思うけど」
「いやいや、春香には劣りますよ」
「え~、まとめると、今度の試合は心配いらないという事で、宜しいのでしょうか?カトリーナ様」
「ええ、アマンダさん。万が一の心配もいらないと思うわ」
「でしたら皆さんで、安心して見学できますわね」
「「「我が部の行事の初舞台です、目立ってください、フェリノア様」」」
「え~、そう言われると、出たくなくなってきましたわ」
「目立つは、禁句だものね、春香の。言葉だけは。行動は目立ちまくりだけどね」
「え~、そんなことないよ。普通にしているでしょ?」
「「「「・・・・・」」」」
「そこ。皆さん、急に静かにならないで」
これで、今日の騒ぎはやっと終わりかな、と皆を眺めながら思うのでした。
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