部室のお披露目なのです
進行が遅くて申し訳ないです。
「さあ、皆さん着きました。ここが先程言った部室です」
「フェリノア様。聞いて宜しいでしょうか?」
「ええ、何でしょう?アマンダさん」
「私の記憶によれば、この学園校内にこのような建物は無かったはずですが。というか、違う小屋の様な建物があったはずなのですが」
「ああ、あれ?確認に来たら、雨漏りしてる部分と、壁には覗けそうな穴まであったので、修理しておきましたよ」
「フェリノア様、これはもう、修理の域を超えてますよ。立て直しです。先程言ったばかりなのに・・・」
「え~、此処を修理したの、さっきの話の前だよ、カトリーナ様」
「あなたの常識の無さには、先も後もありません。反省してください、フェリノア様」
「まあまあ、取り敢えず、此処で立ち話も何ですから、中を見てみましょう。そこで話の続きをすれば宜しいのでは?」
「そうね、アマンダさんの言う通り、他の方達もいる事ですし、続きは中でする事にしましょう」
「え~、続けるの~?」
「貴女に反省の色というものが見えませんからね、覚悟してください、フェリノア様」
「「「「なにこれ~~~」」」」
「どうかしましたか?メルシアさん、エリザさん、それに、リルさん、ロッテさんも」
「な、な、中が。建物の中が・・・」
「皆さん何をそんなに、って、え~~~」
「アマンダさんまで、覗いた瞬間どうしたの?って。これは・・・・春香、やりすぎ」
「素が出てるよ、咲姫ちゃん」
「もうここまでくれば、身内のみでしょう。それにアナスタシア様やキャロライン様も、皆さんと仲良くやれそうですし、いつまでも隠し事して話すのも大変でしょ。貴方を呼ぶ時、一々どちらにするか考えるのは、面倒なので、このメンバーの時くらい構わないでしょう」
「それはま~私もそうは思うけど」
「で、これはいったい何?どうしてこんな事に?」
「え、皆さん言ってましたよね?料理をしたり、薬を作ったりもして良いって。なので、あの部屋の広さでは、とても足りませんでしたので、空間魔法で思いっきり拡張しておきました。ちゃんと、キッチンも作っておきましたよ。それとこれは、女性陣には絶対必須、個室のトイレも作っておきました」
「わ~すごい、って、そんな事で誤魔化せるか~~。何故ここまで飛びぬけて常識を認識できてないのか、理解が出来ないわ」
「フェリノア様は、その辺りを伺う相手が辺境にいなかったうえ、ずっと嘆きの森に、籠ってらしたからなのでは?あそこには、常識しらずの高位冒険者の、たまり場だそうですので。その方々を、常識の見本となされば、少し外れてるくらいなのでは?」
「恐ろしい場所なのね、辺境って。そんなとこに生まれなくて良かったわ」
「え~、慣れたら、其処まで酷い処じゃないよ~。その?高位冒険者さん?っていうおじさん達も、気の良い人が多かったから」
「影の様に付き従ってる、リリシアさん、聞いて良い?この子の言ってる事、ホント?」
「侍女の私の発言を、許してもらえますでしょうか?」
「ええ、此方が訊ねているのですから。で?」
「半分、本当でしょうか」
「半分?どういう事?」
「あの方たちは、実力のある人しか認めません。ましてや、力ない者があの森に挑む事など、絶対に許さないでしょう。それが彼らの誇りなのでしょうから」
「で、その彼らが、春香の事は認めている、と?」
「認めているのではなく、下にも置かない状態ですね。お嬢様は彼らを、森の中で何度も助けておりますので、森の外ではもう、猫可愛がりですよ。お嬢お嬢と、もうデレデレですね」
「それで、こんな常識外れが出来るのね」
「あの~、そんなに常識外れなのでしょうか?」
「なに?リリシアさんまで。こんなにジャンジャン魔法を使う人なんていないでしょう、普通」
「そこなのです。以前お嬢様も言っておりましたが、髪の色から察するに、皆様それぞれ何らかの魔法をお持ちですよね。王都では、それを何故使われないのです?お嬢様の使う魔法を見て、便利なので、辺境では皆、生活に利用してますよ。それに・・・」
「それに?」
「お嬢様曰く、魔法は使えば使う程、練度が上がり、魔力量も増えると。それを日常生活にも使う事で、なお熟練させる事が出来ると。なので、せっかく持っている宝を磨かないのは勿体ないと思うと言っておりました」
「そうなの、春香?」
「そうだよ。私だって初めっから、こんなに魔力があった訳ではないから。鍛錬の賜物です、エッヘン」
「変な体操の賜物ですね、お嬢様」
「あ~また言った。あれはちっとも変じゃないって。ね、咲姫ちゃんからも、リリに言ってやってよ」
「いや、変だから」
「今度ト〇様、馬鹿にしてやるんだから」
「何言ってるの、それとこれとは別でしょう?」
「同じです。わが師の技を貶すのは、同義です」
「お二方、話が進みません。それで、フェリノア様、此処をこれから、私達の部室として自由に使って宜しいという事ですか?」
「もちろん。それにまだ、仕上げてないよ。取り敢えず収納にあった物を出しただけ。今度必要な物を作るなり買うなりして、持ってくるから」
「「「「・・・・・・」」」」
「もう、充分だと思うのですが。カトリーナ様はどう思われます?」
「春香、何が足りないと思うの?」
「まず、全員が一度に座れるイスとテーブル。それと調合用の道具と、料理道具、それから・・・」
「あ~判りました。でも、それは徐々に増やしていこう。それこそ物語を創作して、必要になってから」
「そう?今作りたいのに、って、ならない?」
「なりません。そもそも、商売じゃなくて、部活なの。揃ってなければ翌日でもいいでしょう。商機を逃す商人じゃないんだから」
「「「「ウンウン」」」」
「しょうがないな~、皆がそう仰るのなら、今は諦めます」
「ずっと諦めてて」
部室が決まり驚く皆を横目に、ついつい嬉しくて、燥いでしまうのでした。
楽しく読んでいただけたら幸いです。励みにしたいと思いますので、よろしかったら、評価等々頂けたら嬉しいです。でも、酷評は避けてくださいね、お願いします。作者、メンタル紙ですので書く気力が・・・無くなる可能性があるのです。読み手様が増えてくれるのを願いたいです~。




